石田ひかりが語る“YouTubeをやる理由” 飛び込んで気づいた「私がやる意味」と「奥深さ」

映画『ルノワール』の裏側
ーーここからは、石田さんがご出演された映画『ルノワール』についてお伺いしていきたいと思います。最初に台本をいただいたときは、どのように感じましたか?
石田:早川千絵監督の前作である『PLAN 75』を、実は公開初日の初回に見に行ったんです。本当に面白くて、ゾッとするほど衝撃を受けました。だから、こんなに早く早川組に参加させていただけるとは思わなくて驚きましたね。台本もいただいてから一気に読んだのですが、『PLAN 75』とはまったく違う雰囲気で、それにも驚きました。
ーー今作『ルノワール』は、主人公・フキの心情が静かに描かれているのが印象的ですよね。石田さんはフキの母・沖田詩子を演じられましたが、役柄についてはどう感じましたか?
石田:詩子は常に不機嫌ですよね。すべてが上手くいかなくて、撮影中も明るい気持ちになることはあまりなかったです(笑)。

ーー夫は闘病中、仕事はパワハラと言われてしまい、そしてフキとの生活もある……。詩子が置かれている状況はかなり過酷だったように感じます。
石田:娘は「みなしごになってみたい」なんて変な作文を書きますしね(笑)。でも、詩子の気持ちはすごくよくわかります。すべてがちょっとずつ上手くいかないストレスって、誰にでもありますよね。しかもそういうことって、大体自分ではコントロールできないところで起きるじゃないですか。
あのひと夏は、詩子の人生のなかでそういうことが重なる時期だったのかもしれないです。あと実は、私もすごく怒りっぽいんですよ(笑)。
ーーそうなんですか!? まったくそんなイメージがないのですが……。
石田:リリーさんにも言われました。「あなた怒るの?」って。でも怒ってばっかりですよ。もう起きた瞬間から寝るときまで怒ってますから(笑)。でも監督が、私の怒ったときの顔は「情緒がある」って言ってくださったんです。だから、少しでも私の怒りっぽさが作品につながったのだとしたらよかったかな……(笑)。

ーーフキを演じた鈴木唯さんは、オーディションで抜擢されたとお伺いしました。
石田:唯ちゃんは物怖じせず、すごく不思議な子でした。お姉さんのようなときもあれば、幼いところもあって。それこそYouTubeが大好きで、現場でもニコニコしながらずっと見ていましたよ。
ーーそうなんですね……!(笑)。
石田:あと「おもち」っていう名前の猫のぬいぐるみを大事にしていて、不安になったらギューって抱きしめるんです。そんなときもあれば、「カンヌにはおもちは連れて行きません」って言ったりして(笑)。「なんで? 連れて行ったら? おもちにもドレス着せて抱っこしてレッドカーペット歩いたらだいぶエモいよ」ってリリーさんにも言われていましたが、彼女は頑なに「いや〜多分連れて行かないと思います」って(笑)。本当に面白くて魅力的な子ですよ。
ーー子どもと大人の面があって、小学6年生らしいですね。
石田:でも完成した作品を見たときは驚きました。そこには、私の知らない唯ちゃんがいました。しょっちゅう「おもち」を抱っこしていたとは思えない、本当にかっこいい唯ちゃんした。
ーー最後に、これから作品を視聴する方にメッセージをお願いいたします。
石田:この映画を作っているときから、そこにいる全員が、これは大変なことが起こっているんじゃないかという予感のようなものを感じていたと思います。それは、大ヒットするとか、たくさん賞を取るとかそういうことではなくて。本当に素晴らしい作品をいま私たちは作っているんじゃないか、という“幸福感”をすごく感じていましたし、実際その通りになったなと思っています。私が言うのもおこがましいですが、どこを見てもらっても恥ずかしくない作品になっています。映画館に足を運んでいただいた際は、そのすべてを楽しんで見ていただきたいです!
■映画『ルノワール』
日本がバブル経済絶頂期にあった、1980年代のある夏。11歳のフキは、両親と3人で郊外に暮らしている。ときには大人たちを戸惑わせるほどの豊かな感受性をもつ彼女は、得意の想像力を膨らませながら、自由気ままな夏休みを過ごしていた。ときどき垣間見る大人の世界は複雑な事情が絡み合い、どこか滑稽で刺激的。だが、闘病中の父と、仕事に追われる母の間にはいつしか大きな溝が生まれ、フキの日常も否応なしに揺らいでいく――。
〈キャスト〉
鈴木唯、石田ひかり、リリー・フランキー、中島歩、河合優実、坂東龍汰
〈スタッフ〉
監督 脚本 :早川千絵
〈公開日時〉
2025年6月20日






















