連載:エンタメとテクノロジーの隙間から(第六十四回)
HARIOの省スペースグラインダーでサクサク“淹れ比べ”! サザコーヒー謹製「姫で将軍」な気品漂う高級コーヒーを堪能してみた

リアルサウンドテック編集部による連載「エンタメとテクノロジーの隙間から」。ガジェットやテクノロジー、ゲームにYouTubeやTikTokまで、ありとあらゆる「エンタメ×テクノロジー」に囲まれて過ごす編集部のスタッフが、リレー形式で毎週その身に起こったことや最近見て・試してよかったモノ・コトについて気軽に記していく。
第64回は、早くも今年の自分的ベストバイ製品が『ピップエレキバン』に確定しそうな山本がお送りします。肩こり解消にオススメしてもらったのですが、もう手放せない。
さて以前の担当回に続き、今回もコーヒーに関する話題をひとつ。最近、自分がいただいて衝撃を受けた、サザコーヒーさんの「プリンセス将軍珈琲」の魅力について語りたいと思います。
未知の味わいなのにホッと落ち着く「プリンセス将軍珈琲」
こだわりの自家焙煎豆を提供するサザコーヒー。そのラインナップにおいて、ひと際目を引くネーミングの人気商品「将軍珈琲」。“なぜ将軍か?”のアンサーに関しては、それはそれは由緒正しき謂れと素敵な出会いがあったことが公式サイトにて紹介されています。
そんな「将軍珈琲」に新たな輝きを加える一品として誕生したのが「プリンセス将軍珈琲」。こちらは徳川慶喜公の玄孫である、山岸美喜さんが焙煎監修を手掛けていることが商品名の由来となっているようです。

気になる「プリンセス将軍珈琲」の販売価格は2,330円/100g(税込)。実に「将軍珈琲」の2倍以上、いわゆるスペシャルティコーヒーのなかでもお高めな印象ですが、これは突然変異で生まれた希少なコーヒー豆の品種・チロソを使用しているからなのでしょう。
実際に淹れてみて納得。「確かにこれは、いままでに飲んだことない味だぞ……!」と思わず唸るような奥行きのある味わいであり、それでいてホッとするような安心感も。高級豆と聞くと、知識の浅い自分なんかは“特徴がハッキリと現れた一点特化型の味”という先入観を持っていたのですが、「プリンセス将軍珈琲」はとにかく総合力の高いコーヒーだと感じました。
立ち上る華やかな香りをかき分けながら口に含めば、ゆったりと広がる濃厚なコク。トゲトゲしい苦みは皆無で、むしろ際立つのは芳醇な甘み。そして奥のほうでかすかに残る果実感が、味わいに立体感をもたらしてくれています。
マニアと言わず、コーヒーが好きな人なら誰もが受け入れるであろう“コーヒーらしいコーヒー”というバランスの味わいなのに、未知との出会いを果たしたような新鮮さもあり。なんというか、「難しいことは考えずに、いまはこの余韻に浸るとするか……」という気分になりました。

総じて、「お高いコーヒー? 一度くらい飲んでみたい気もするけど、ちょっと手が出ないかな」という人にも、ぜひ飲んでみてほしいと思った「プリンセス将軍珈琲」。多くの方が“美味しいコーヒー”と聞いて期待する要素を十二分に満たしつつ、自分のなかの“コーヒー観”の新たな扉を開いてくれるような、そんなコーヒーではないでしょうか。
もう手挽きには戻れない手軽さ『V60 電動コーヒーグラインダーコンパクトN』
余談ながら、ここからは100gで2000円超えの高級豆にビビった自分が、素人なりに手を尽くして「プリンセス将軍珈琲」の魅力を引き出すべく試行錯誤した記録をお届けします。
お店で飲む“ちょっと良いコーヒー”よりは遥かにランニングコストは良いのですが、日常的にバカスカ飲む自分としては怖いんですよね。お高い味を知ってしまったら最後、帰ってこられなくなりそうで……。
まず前提として、自分はふだんコーヒーを淹れる際に粕谷哲さんという方の「4:6メソッド」という抽出レシピを参考にしています。“誰もが簡単に美味しいコーヒーを淹れられるように”という思想で考案された素敵なレシピなのですが、「プリンセス将軍珈琲」を淹れるにあたっては別のレシピを使ってみました。
というのも、「4:6メソッド」はどちらかというと浅煎り向きのレシピであり、「プリンセス将軍珈琲」では綺麗な味わいになりすぎてしまって、ボディ感が物足りない印象になってしまったから。
「4:6メソッド」はアレンジが容易で自分好みの味わいを作りやすいという長所も兼ね備えるレシピなのですが、せっかくなので今回は井崎英典さんが紹介していたレシピにチャレンジしています。
レシピというと使用する抽出器具や、豆(粉)の量、注ぐお湯の温度と量、注ぐタイミングなどがまとめられているものなのですが、ここで問題となるのが豆の挽目です。
これに関しては各人が使っている手挽きミルや電動グラインダーの性能にもよるため、“中細挽き”、“中粗挽き”のようなアバウトな指定になっていることが大半。「挽目はこれで合っているんだろうか?」「これで本当にレシピを再現できたと言っていいのだろうか?」との不安がつきまといます。
結局のところ、何パターンか試して自分好みの味になる挽目を探すしかないのですが、手挽きミルでは手間がかかるわけで。ここは電気の力に助けてもらうべく、HARIOの『V60 電動コーヒーグラインダーコンパクトN』をお借りしました。


全高312mmとコンパクトながら、コーヒー豆20gをだいたい10秒で挽ききるパワフルさ。挽目はホッパー(豆の投入カップ)部を回すことで簡単に調節でき、家庭用エスプレッソ向けの細挽きから、ハンドドリップ向けの中挽き、コーヒープレス向けの粗挽きまで、39段階に対応しています。

肝心かなめの刃の切れ味については、自分が愛用しているコスパが良いと評判の手挽きミル(実売11,000円程度)と同等かそれ以上の鋭さ。見比べたところ、『V60 電動コーヒーグラインダーコンパクトN』のほうが微粉が少ないように感じました。微粉は雑味の原因になるため、ここがダメだとすべてが台無しと言っても過言ではありません。美味しいコーヒーを淹れたいのなら、まずこだわるべきはグラインダーです!

『V60 電動コーヒーグラインダーコンパクトN』を使用してサクサク豆を挽きまくった結果、挽目の段階は6.0あたりが「プリンセス将軍珈琲」にとってちょうどいいのかも、という結論になりました。5.0~7.0までそこそこな回数を試してみたのですが、挽目の段階によってガッツリ味が変わることが素人舌にもわかって非常に面白かったです。

何より、こうしてちょっとした試行錯誤が楽しめる&やりやすいのがハンドドリップの醍醐味かもしれません。『V60 電動コーヒーグラインダーコンパクトN』のおかげにより“豆を挽く”という一番の手間も解消されたことで、さらなる沼の深みにハマってしまいそうな予感がしています。
なお、『V60 電動コーヒーグラインダーコンパクトN』の駆動音はスマホアプリによる計測で87デシベル前後。「ハンディ掃除機よりも少しうるさいかな」といった印象でした。
また注意すべき点として、挽き終わった際の本体内部の粉残りが多いことが挙げられます。挽く前の豆の重さと比較すると、多いときは0.7gほど内部に残るようなので、使用後は付属するホッパーのフタ(蛇腹状になっておりエアーを送り込める)を押し込んで掃除しましょう。もっとも、粉残りが多い=挽いた豆に微粉が少ないとも受け取れるので、個人的にはうれしく思ったポイントです。
■サザコーヒー「プリンセス将軍珈琲」
価格:2,330円/100g (税込)
焙煎:フレンチロースト
原産国:コロンビア
エリア:アンティオキア ウラオ地区
農園:ラ・マンガ農園
品種:カツーラ チロソ(Chiroso)※エチオピア原種で、BoP2024 VARIETALS部門で優勝した品種
精製方法:ウォッシュド
■HARIO『V60 電動コーヒーグラインダーコンパクトN』
価格:22,000円(税込)
サイズ:幅 130 mm × 奥行 185 mm × 高 312 mm
容量:コーヒー豆 100g
重量(個箱含む):2000 g