連載:エンタメとテクノロジーの隙間から(第六十一回)
10年ぶりに『iPad mini』を購入して感じた、通知の波に溺れる現代人との相性の良さ

リアルサウンドテック編集部による連載「エンタメとテクノロジーの隙間から」。ガジェットやテクノロジー、ゲームにYouTubeやTikTokまで、ありとあらゆる「エンタメ×テクノロジー」に囲まれて過ごす編集部のスタッフが、リレー形式で毎週その身に起こったことや最近見て・試してよかったモノ・コトについて気軽に記していく。
第61回は『ウィキッド ふたりの魔女』を観て、かつては自分もアメリカの“自信過剰な子ども”だったなと遠い目をしている三沢がお送りします。
第2世代ぶりに『iPad mini』を購入した
つい先日、『iPad mini』を購入しました。「A17 Pro」を搭載したピカピカの最新モデルです。もともと『iPad mini Retina(第2世代)』をはるか大昔に使っていて、そこから4年ほど前に11インチの『iPad Pro(第3世代)』を購入。以来自宅で写真のチェックとレタッチ用に使っていて、特に不満もなかったのですが、外で持ち歩くタブレットが欲しくなり、新たにお迎えしました。
そもそも物欲が服を着て歩いている……みたいな人間なので、「うわー! 欲しい、欲しいナー!」「ウワー、買っちゃった!」というノリでガジェットを購入することもあるのですが、今回は多少(本当に多少)の目的があって、電子書籍を快適に読むために購入したのと、「Apple Intelligence」に対応するならここからしばらくモデルチェンジは無いと踏んでのことでした。
実際のところ、今使っているiPhoneの画面は6.1インチサイズで、本を読むのに最適とまではいわないものの、十分に読めるサイズではあります。ところが、『iPad mini』を手に入れてみるとあらためてその利点に気付かされました。一番大きな利点は、「アテンションを奪われないこと」でした。
アテンションを奪われないことの価値
今の世の中は「可処分所得時間」を奪い合う、まさに“大アテンション戦国時代”。
「ビッグニュース! SNSのトレンドは新たな話題で大盛り上がりだぞ!」
「新作映画が配信された! さあ、今すぐ再生を開始して文化的な生活を享受しよう!」
「あ、ゲームのスタミナが回復したよ! さあ今すぐ周回に戻ってヒヒイロカネを掘ろう!」
「お世話になっております。こちらの件、至急資料をメールにて……」
エトセトラ、エトセトラ。画面を見ていなくたって、iPhoneはバイブレーションで新着情報の到着をお知らせしてくれる。なんなら、通知が来ていなくなって、私たちの身体はすっかり「ファントム・バイブレーション・シンドローム」に侵されていて、手癖でメッセージ、メール、SNSをチェックしてしまう。いやいや、それ自体は問題無いのです。アンテナを張って新しい情報を常に仕入れて、記事にしていく仕事なので、通知は積極的に受け取っていくべきです。
とはいえ、本を読む時はできれば集中したい。内容が頭に入ってこないのは困ります。通知が一つでも来れば目がそちらに滑って、また読み返すはめになります。単に私が本を読むのが下手なのかもしれませんが。性分によるところも大きそうです(私はRPGゲームで全ての宝箱を回収しないと気が済まず、それ故ものすごいカロリーを使うハメになるのでなかなか手を出せないタイプです)。
こうした経緯から、『iPad mini』には極力通知を飛ばしてくるアプリを入れないようにしています。書籍用のアプリとYouTube、Netflixぐらいでしょうか。いずれも通知はオフで、あとは仕事用にGoogleとAdobe周りのアプリを少々添えるだけ(これも、ほとんどの場合はMacで作業をするので不要といえば不要なのですが)。
こうして、必要な時にはRAW写真の編集もこなせる“パワフルな新しいiPad mini”として、それ以外のときはテキストを読むための単なる板として活躍してくれる、新たな相棒が持ち物に加わりました。
そんなわけで、『iPad mini』はなかなか良い買い物だったと言えます。購入してからは“受動的に開くiPhone”と、“能動的に開くiPad”とで使い分けてやることで、しっかりコンテンツに集中できています。
昔は「スマホの画面サイズだと小さいから、書籍や動画を快適に観るならコレでしょ!」というのが、iPadの売り文句の一つでした。しかし現代においてはよりシンプルに、「デバイスを分けること」が重要なのだと、あらためて実感できたというお話でした。
ああ、そうそう。同時に購入した『Apple Pencil Pro』はまったく活用できておらず、今のところ「ウワー! 買っちゃった!」の域を出ていません。誰か私に便利な活用方法を教えてください……(32歳・編集者・絵心無し)。
“ゲーマー目線”が伝わる4K・QD-OLEDモニターに出会った Alienware『AW2725Q』先行レビュー
リアルサウンドテック編集部による連載「エンタメとテクノロジーの隙間から」。今回は4K・QD-OLEDモニター『AW2725Q』を…