現役高校生の青春を届ける「あの日の放課後」 ストリートから学校公認へーーコンテンツが成立したワケ

目指すは動画コンテンツからの脱却
ーー改めて、学生たちを撮影し続けて感じたことはありますか?
神田:意外とカメラを向けられても物怖じしないことですね。よくコメントでも「高校生がカメラを向けられたらこんなのできない」って声もあるんですけど、案外できるんです(笑)。
あとは、感情の賞味期限が短いということですね。学校のなかで僕の存在って異質なはずなんです。始めはすごく興味津々でたくさん話しかけてくれるんですけど、けっこうすぐ慣れちゃって「今月の広告収益いくら?」とか「寿司奢ってよ!」とか普通に言われます(笑)。彼らのなかで“メディア”とか“バズる”というのは、身近なことなんだなと感じますね。あと彼らが日常のなかで吸収する情報量って、僕らに比べると何倍もあるなと思っていて。毎日新しいものや興味の湧くことが溢れているなかで、「あの日の放課後」は そのひとつの要素に過ぎないので。昨日まであれだけ目をキラキラさせて撮ろうと約束してたのに、当日すっぽかされることとかも普通にあります(笑)。でも……卒業式に「一緒に写真撮りましょう」と声をかけてくれたのはめちゃくちゃアツかったです。
ーーこれから、「あの日の放課後」をどのように展開していきたいと考えていますか?
神田:やっぱりいまは“男子高校生大騒ぎアカウント”“青春大爆発”みたいなイメージを持っている視聴者の方が多いと思うんです。僕ももちろん学生のそういう部分は大好きなんですけど、もう少し深いところで話題にできたらと思っていて。
ーーそれでいうと、3月に公開された「【卒業式】全員泣いた保護者代表挨拶「19年前、エコーで見えたあなたの心臓は、逞しく動いていました。」という動画は、いつもとは違うテイストでありながら300万回以上再生され、話題になっていましたね。
神田:そうですね、学生たちが盛り上がっている動画の方が再生数は多いんですけど、一人ひとりの感情に訴えかけるのはこういう動画の方が強いのかな、と思っています。視聴者の方の感情が揺れ動くことを目指して発信しているので、この卒業式の動画がしっかりと見てもらえたのはよかったです。
でも動画を見てもらえなければ何も始まらないので、バズったり再生数が増えることは大事だと思っています。そこは捨てないで根幹に据えつつ、自分たちのやりたいことを実現するために、いまはいろいろと考えていますね。
ーー具体的には、今後どういったことに挑戦していきたいですか?
神田:「あの日の放課後」を、青春を体現する存在にしていきたいなと思っています。いまは動画メディアとして知ってもらえるようになってきましたが、これからはリアルでも学校全体を巻き込んで仕掛けていきたいです。
ーーこれからの「あの日の放課後」がどうなっていくのか楽しみにしています。最後に、動画を通してどんなことを伝えたいですか?
神田:これは学生たちに向けてなんですけど、「お前らマジ最強だぞ」っていうことですね。なんかあのころの尊さとか輝きって、絶対にあとからじゃないと実感できないと思っていて。もちろん、当時も楽しいって言う感情はあったと思うんです。友達と飯食って、バカやったりとか。
それこそ僕はあまり学校に行っていなかったんですけど、どれだけ尊い時間だったかをあのとき少しでも実感していたら、きっともっと学校に行っていたし、あのとき先生にちゃんと謝っておけばよかったなとか、帰り道あの子に声かけておけばよかったなとか、1歩踏み出すことができたと思うんです。
いま僕らが感じる学生に対しての想いとか感覚を、彼らの生活のなかに完全に取り入れてもらうのは難しいと思うんですけど、少しでもそこに気づいてもらえたらというか、ちょっとでもその感覚に触れてもらえるような存在になりたいと思っています。そしたら、その学生の3年間が変わるかもしれないし、将来何かを少しだけいい方向に変えるきっかけになるかもしれない。そういうふうになれたらいいなって思っています。



















