“イヤーカフ型イヤホン”はなぜ流行しているのか? お洒落で軽いだけじゃないメリットとは

新年度を迎え、進学、就職などで新しい生活を始めた方も多くいらっしゃるだろう。ありきたりな言い方にはなるけれど、新生活のスタートに当たって、身近に愛用するアイテムをリニューアルしようと思っている人もいるはずだ。今回はそんな皆さんに向けて、完全ワイヤレスイヤホン(TWS)のなかでも、最近、アイテム数が増えているイヤーカフ型について考えてみたい。
完全ワイヤレスイヤホンには、どんな種類がある?

TWSは10年ほど前に登場した、イヤホンとしては比較的新しい製品カテゴリーだ。しかし最近では「イヤホンといえばTWS」というほど広く普及し、音楽鑑賞からリモート会議などのビジネス用まで日常的に使われている。
さてTWSを含めたイヤホンは、耳への装着方法によって大きく「インイヤー型」と「オープンイヤー型」に分類できる。
インイヤー型は耳甲介(耳の内側のくぼんだ部分)にイヤホンを差し込んで使うタイプで、広く普及しているタイプと考えればいい。イヤーチップを耳の穴に差し込んで固定するカナル型と呼ばれるモデルもその一形態と言えるだろう。
対するオープンイヤー型は、耳の穴を塞がないのが特長だ。これまではフックを引っ掛けて耳の穴の近くにイヤホンを固定する形が主流だったが、ここ数年は耳介(の耳たぶの上の部分)を挟んで装着するイヤーカフ型が注目を集めている。
どうして今、イヤーカフ型が人気なの?

ではそのイヤーカフ型とは、どんなイヤホンで、どうして注目を集めているのか?
まずイヤーカフ型の本体は、ドライバー部分とバッテリーなどを内蔵した部分のふたつをワイヤーでつないだ形状で、これで耳介を挟む仕組みだ。イヤホンが耳の穴を塞がないので圧迫感がなく、またジムなどのアクティビティでもずれにくいといったメリットがある。
“TWSあるある”として、装着しようとした時に左右の区別がしにくいという件もある。ここについてもイヤーカフ型はイヤホン本体には左右の区別がなく、耳につけた段階で自動的に左右を識別してくれるものがほとんどだ。充電ケースから取り出す時に左右を意識しなくていいという手軽さは、大きな魅力になるだろう。
その他にも、オープンイヤー型の特長として耳を塞がないのでイヤホンを付けたままでもそ外の音や会話が聞こえる。これは屋外での使用時にも安心だし、広い意味での安全にもつながる。他にもほどよい音量で楽しめるのでイヤホン難聴の心配もないし、細かい所では耳垢がイヤホンにつくことがないといった点も見逃せない。
眼鏡ユーザーやピアスとの相性もいい

さらに多くのイヤーカフ型イヤホンは極めて軽く(片耳あたり5g〜7g)、耳を挟むテンション(強さ)もよく考えられているので、長時間付けていても耳が痛くなったり、疲れることもない。実際に、多くの製品では肌に触れる部分にシリコン素材を使うなど、装着感への配慮も充分なされている。イヤホン本体のカラーバリエーションも豊富なので、アクセサリー的な使い方もできるだろう。
もうひとつ、インイヤー型はピアスやイヤリングと物理的に干渉する可能性もあるし、耳掛け型の場合はイヤホンのフックが眼鏡とぶつかってしまう。でもイヤーカフ型ならそういったトラブルはないし、様々なシーンで活用できるのも人気の理由だろう。
さらに、イヤーカフ型は、最近のイヤホンの使い方として人気の“ながら聞き”にもぴったりだ。先に書いたように本体も軽く、装着感も快適なのでずっと付けていても気にならないからだ。お気に入りの音楽はもちろん、ポッドキャストやオーディオブックを常時楽しみたいという方にもおすすめできる。
見逃せない、イヤーカフ型完全ワイヤレスイヤホンのメリット
・装着感が快適なので、長時間付けていても疲れない
・安定性が高いので、スポーツで使ってもずれにくい
・左右の区別がいらないので、付けるもの簡単
・耳垢も大丈夫
・アクセサリーや眼鏡の邪魔にならない
イヤーカフ型は、音漏れしない? 気になる音質は?

とはいえイヤホンは音楽を聞くアイテムなのだから、音質も重要だし、イヤホンをつけて電車に乗ることも多いから、音漏れはないのか、外の音がどれくらい入ってくるのかといった点も気になる。
イヤーカフ型は耳を塞がないなので、インイヤー型と比べると音漏れはどうしても発生する。しかし実際にはドライバー部分と耳(鼓膜)との距離が近いこともあり、音量を極端に上げなくても充分なボリュウム感が得られるので、音漏れをそこまで心配する必要はない。
それでも音漏れは避けたいという方は、音漏れをキャンセルする(打ち消す)機能を搭載したイヤホンも発売されているので、それらの中から選ぶといいだろう。
どのモデルも、ボーカル曲との相性がいい

イヤホンとしての音づくりは、もちろん製品ごとに異なっているが(そうじゃないと趣味のアイテムにならない)、筆者自身があちこちの展示会や取材でチェックした印象では、人の声の再生を重視したモデルが多いと感じている。ボーカル曲でも声が明瞭に届いてきて、男声らしい胸板の厚さ、女声の伸びやかさなども楽しめるはずだ。
低音はさすがに大迫力というわけにはいかないが、こちらもブランドごとに色々な技術が採用されており、それなりの量感で楽しめる。もっと力強い低音が欲しいという場合は、専用アプリを使ってイコライザーを調整してみるといいだろう。
先に書いた通り、オープンイヤー型なので外部の音(車や電車のエンジン音や人の話し声など)は当然聞こえる。そのため音楽に没入したいといった使い方には向いていないが、逆に友達や家族から声をかけられても気が付かないといったトラブルは避けられる。試してみたら、イヤホンをつけたままで普通に会話もできた(もちろん常識的なボリュウムで)。
イヤーカフ型完全ワイヤレスイヤホンの音のポイント
・声の再現が得意で、ボーカルにぴったり
・心地いいバランスで、ながら聞きにもぴったり
・外の音が聞こえるので、安心・安全
・アプリで好みのサウンドバランスに調整できる
イヤーカフ型イヤホンの現行ラインナップはこれ!
冒頭で最近イヤーカフ型のTWSが増えていると書いた。では実際どんな製品が販売されているのか? 家電量販店などで売られている主なモデルをピックアップしてみた(価格順で掲載)。
今チェックしたい、イヤーカフ型完全ワイヤレスイヤホン
RADIUS HP-10BT 5,750円(税込) ※4/29発売
QCY Crossky C30 6,580円(税込)
SOUNDPEATS CC イヤーカフ 7,280円(税込)
Edifier R1 8,980円(税込)
JLab Flex Open Earbuds 9,900円(税込)
Earaku SoundClip F308 1万4,980円(税込)
Edifier LolliClip 1万6,980円(税込)
ambie AM-TW02 1万7,000円(税込)
Soundcore AeroClip 1万7,990円(税込)
VICTOR HA-NP1T 1万円9,800(税込)
HUAWEI FreeClip 2万7,800円(税込)
Shokz OPENDOTS ONE 2万7,880円(税込)
Bose Ultra Open Earbuds LE 3万9,600円(税込)
ここに上げただけで13モデル、他にもネットストア等で販売されている製品も多く見かける。これらすべて2024〜2025年の新製品で、中にはクラウドファンディングで多くの支援を集めたモデルもあることからも、イヤーカフ型が人気を集めているのがわかるだろう。ではどのモデルがあなたの新生活にぴったりなのか?

これらの製品は対応Bluetoothコーデックなどのスペックはほぼ共通で、機能面での極端な違いはなさそうだ。一方で価格面では6000円弱から約4万円と6倍近い差があり、ここに各社の音作りやこだわりが込められていると考えていい。
イヤホンなどの製品選びで重要なのは、本当はこういった物作りに関わる部分、さらには音の好みや装着感といった点なので、新生活のお供を探したいという方は、ぜひそこにも注目しながらイヤホンを選んでいただきたい。なお、今後は複数のイヤーカフ型の深堀りレビューをお届け予定なので是非、注目してもらいたい。
Shokz初のイヤーカフ型イヤホン『OPENDOTS ONE』 クラウドファンディング実施の注目製品を試してみた
Shokzは新製品ワイヤレスイヤホン『OPENDOTS ONE』を発表。GREEN FUNDINGで、3月18日から5月21日の…