安野貴博×バーチャル美少女ねむが考える、メタバースとAIが変える世界のカタチ

ねむが語る、メタバースの基本のキ

「メタバースを全人類へ」 バーチャル美少女ねむが抱く野望

ねむ:今日1番聞きたかったことなんですが、安野さんは技術を用いて、どんな社会を作りたいですか?

安野:メタバースに関する話で言うと、肉体を完全に操作可能にできるといいですよね。外見、年齢、性別をシュッと変えたり、戻したりできたらいいな。人種や性別、身体特性によって、生まれた瞬間に可能性や選択肢が制約されない社会の方がいいですもんね。僕、テクノロジーは人間の選択肢を広げる性質を持っていると思っていて、たとえば視力が悪い人も、メガネをかければ普通に生活を送ることができるじゃないですか。これはメガネによって広がった選択肢ですよね。テクノロジーをうまく育てて活用していくことで、選択肢を広げまくることができると思ってます。

ねむ:なるほど。安野さんみたいに何でもできちゃう人が、政治や国と連携して動いているのが不思議だったんですよ。

安野:テクノロジーをどう使うかはかなり重要な話ですが、誰も言及していないですよね。そもそもこれが政治的な議題だと認識すらされてない状況です。技術が社会に与える影響はものすごく大きいのに。これを議論するようになる人が1人でも増えるように、自分のできることをやりたいです。ねむさんは今後どんなことがしたいですか?

ねむ:私の次のミッションは、メタバースを全人類に拡大することです。少しさかのぼってVTuberのブームの時、「VTuberは企業だけじゃなく、普通の人にできることだ」と発信し続けたんです。その後[1] 違う自分として活動できるメタバースの世界が広がり、今では数百万人が住んでいるので、それをさらに全人類にまで拡大したいです。具体的な活動としては、「メタバース進化論」の英語化ですね。英語版を出版して世界中で大ヒットさせ、ノーベル文学賞か平和賞のどちらかを取って、授賞式の時に「人類皆アバターで生きていく宣言」をして、一気にシンギュラリティを起こす予定です。

脳波入力で没入できるメタバース空間は実現するのか

安野:視聴者からこんな質問が来ています。「現在のメタバースは視覚聴入力ですが、将来的には脳波入力で没入できるメタバースが誕生すると思いますか?」。いかがでしょうか?

ねむ:思考による操作の実用化で今1番進んでるのは、イーロン・マスクが行っているニューラリンク(Neuralink)ですね。頭の中に電極を入れるんです。ただ世界観に没入するには、出入力の両方が必要なんですが、現在イーロン・マスクがやっているのは出力側なんですね。入力は難しいようで、私が生きてるうちに一般化することはないんじゃないかな。

安野:東大の渡邉正峰先生が提唱しているブレイン・マシン・インターフェースの話がおもしろいですよ。やはり脳に書き込みをするのはすごく難しくて、電極を脳の奥に挿して刺激をしたとしても、特定の1つのニューロン(脳細胞)だけを刺激することはできないんですよね。ただその中でも、右脳と左脳の交信を司る脳梁(のうりょう)という部分には可能性があると言われていて、ここを切って隙間をあけてセンサーを埋め込むと、個別のニューロンに対してアクセスできるようになるのではないかと。受信も発信もこの連絡線で制御できるので、いろんなことができると渡邉先生は考えているようです。

ねむ:おもしろいですね。いやーまだまだ話し足りないな。アプローチは違いますが、安野さんと私は、人間を進化させるという意味で、目指してる方向は同じだと思いました。

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「メタバースで生きていく」世界はすぐそこに? バーチャル美少女ねむと紐解く、2年後の「メタバース進化論」(前編)

2022年3月19日、技術評論社より『メタバース進化論――仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界』(以下、『メタバース…

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