“AIでサボる”ために始めた「#100日チャレンジ」 話題の著者に聞く、令和に「やりたくないことをやらない」ための思考法
「サボるために全力を尽くす」
そう語るのは『#100日チャレンジ 毎日連続100本アプリを作ったら人生が変わった』(日経BP)の著者である大塚あみさんだ。
最初はただの興味本位から使い始めたChatGPTが、いつしかその魅力と可能性に惹かれ、AIと真剣に向き合うようになる。100日間の挑戦は、彼女にとって人生の大きな転機となった。
その過程で見つけた独自のアプローチや思考法は、AIの活用だけに留まらず、人生のあらゆる選択肢に活かされている。
今回は大塚さんに、「#100日チャレンジ」を通じて得られた学びや気づき、さらにはAI時代に役立つヒントやマインドセットまでたっぷりと語ってもらった。
「幹」と「枝葉」で考える課題への向き合い方
ーーChatGPTに出会ったのは大学4年生のときで、そこから怠け者だった自分が変わった、というのが本著の趣旨なのですが、序盤のChatGPTにさまざまな角度から質問をしていたところに、すでに大塚さんの非凡さを感じました。ChatGPTに出会う前の自分はどんな人間だったのでしょうか?
大塚:面白そうな戦略ゲームや経営ゲームがあれば、そのパラメーターを徹底的に検証し、「どうすれば効率よく攻略できるか」を考えるのが昔から好きでした。ゲームの攻略に関しては、本当に一生懸命になって検証した思い出がありますね。
ChatGPTを最初に見たときは、単純に興味本位で触ってみたというか。正直なところ、ただ学校の宿題をサボりたかっただけなんですよ(笑)。でも、使っていくうちにどんどん上手く活用できるようになり、それがすごく面白く感じるようになってきて。
ネットにはあまり出ていない活用の仕方を工夫しながらいろいろと試していくと、自然とスキルが上がっていったように感じます。気づいたら誰も思いつかないようなChatGPTの活用方法を次々と生み出せるようになっていました。
たとえば宿題を渡されたら、自分がやったように見えるような”作品”を作る方法を何パターンか見つけ出すんです。それをさらに発展させていく過程がすごく楽しかったですね。海外の論文ではChatGPTで作った内容か否かの検出方法などが紹介されていましたが、よく考えてみると、それを回避するやり方はいくらでも見つかるんですよ。その対策を簡単に見つけられるのが面白くてたまらなかったです。
最初は宿題をサボる目的で使い始めたChatGPTも、次第に日常の相談相手としても活用するようになるなど、いま振り返っても、当時はChatGPTに熱中していたと思います。
ーー書籍のなかでも印象的な人物として描かれるのが「伊藤先生」です。大塚さんがChatGPTに出会って以降の人生における最重要人物のように映りますが、大塚さんからみた伊藤先生はどんな方でしょうか?
大塚:伊藤先生は「これをやりなさい」と指示するタイプではなく、私が参加できる場や挑戦できる環境を提供してくれる方でした。いろんな機会を与えてくれるとともに、「とりあえず自分でやってみて」と背中を押してくれるというか。
何かをやるうえで必要な機材や知識といったものはだいたい用意してくれるんですよ。そういう意味では、ゲームのなかに出てくる「チュートリアルのキャラクター」みたいな存在だと思っています。
ーー「#100日チャレンジ」による自分で決めた課題と伊藤先生から与えられた課題が重なる時期も経験されたと思うのですが、それぞれどのようなスタンスで向き合ったのでしょうか?
大塚:まず、私の考え方の根本に「コアとなるもの」があるんです。「#100日チャレンジ」などがその核となる存在で、基本的にはそこに自分の持てる力を注ぎ込みます。このコアとなるものを軸に、さまざまなかたちで話を展開していくわけです。たとえば、論文として執筆したり、SNSに投稿したり、文章としてまとめたりと、アウトプットのかたちを変えて広げていきます。
そのため、私にとって「#100日チャレンジ」は“幹”であり、先生から与えられる課題などはそれに付随する“枝葉”のようなものだと考えています。具体的には幹に対して7割の力を注ぎ、枝葉の部分には残りの3割を使いながら、与えられた課題をこなすようにしています。このスタイルはいまでも変わっていません。
現在は「エンジニアとしての開発能力」と「文章を書く力」という2つの軸を持っており、自分のブランディングもこの2つを基盤に成り立っています。これらに関連するものを枝葉として付け加えながら、幹となる部分を成長させるように、どのように仕事を受けるかなどの戦略を考えています。