うるう年、まさかの延長!? ひらめきだけを武器にカレンダーのページを集めるショートパズルゲーム『Leap Year』レビュー
2024年はうるう年であった。地球の公転周期と暦にズレが生じるため、2月が29日まである年のことである。ちなみに英語では「Leap Year」と表記する。
そんな2024年を記念してか、一本のパズルゲームが発売された。その名も『Leap Year』。散らばってしまった2024年2月のカレンダーのページを集めることが目的のパズルプラットフォーマーである(ちなみに発売は2024年6月14日であり、うるう年と全然関係なさそうなのが面白い)。
世界中のゲーマーから絶賛を浴びた本作を、先日発売されたDLCとともに、あらためて紹介させていただきたい。
己の知識だけで2月を完成させろ……気持ち良すぎる頭の体操『Leap Year』
本作はDaniel Linsenという開発者がひとりで作った作品だ。販売はSokpop Creativeが担当しており、この手の数時間で終わる小さなゲームをコンスタントに出している会社である。
ゲーム自体は非常にオーソドックスなメトロイドヴァニアの画面構成であり、主人公である白い人間は左右移動とジャンプしかできない。あらゆるところに置かれているカレンダーのページに触れて、すべてを回収していこう。
ゲーム開始直後のステージにおいて、すぐ近くに『ドラゴンクエスト』のりゅうおうの城のように29日のページが置かれており、どうやっても取れないのがニクい。当然ながら、あのページを取得するのは最後になる。
主人公はジャンプしかできないうえに『スペランカー』よろしく足腰が貧弱で、自分がジャンプした地点と同じ高さであってもミスになってしまう。なので、1段高い箇所か、1段低い箇所に着地するように気を付けていこう。
しかしながら、途中で明らかに無事では済まされないような奈落が主人公を遮る。そこで勇気を出して一歩踏み込んでみると、このゲームが本当の意味でスタートするのだ。
本作はナレッジノードパズル、知識アンロックパズル、メトロイドブレイニアなどと称されるタイプのゲームであり、パワーアップやアイテム追加といった要素はなく、その代わりにプレイヤーが試行錯誤したうえで得たひらめきや知識だけでゲームをクリアすることができるようになっている。
しかも、いわゆる抜け道や落とし穴を見つけるために虱潰しに壁にぶつかるような退屈な解法ではなく、あるひとつのルールをどこでどう応用するか、ここからあそこにはどう行ったらいいのか、といった納得感のある構成になっているのが良い。なんなら、ステージの壁をよくよく眺めていくと、重大なヒントが描かれていることすらある。
決して口では説明しない絶妙なバランスの謎解きと、それらを自分で解いたという自信が得られるパズルゲームとして完璧なタイトルだ。これが2時間弱でスパッと終わるのだから、本当に言うことなしである。
うるう年じゃなくても遊びたい! まさかの3月突入『Leap Year March』
といった具合で、パズルゲーム界隈に大絶賛された『Leap Year』だったが、2025年2月28日に待望のDLCが発売された。その名も『Leap Year March』。
「3月のうるう年」という意味不明なタイトルだが、本作もまたパズルゲーマーをうならせる出来になっていた。
基本的な操作はすべて同じだが、本編をクリアするまでに得た知識やひらめきを大前提としており、最初から全力でパズルを解いていかなければならない難易度になっている。
今度は3月のカレンダーのページが散らばり、例によって拾い集めることになる。スタート地点のビーチに31日のページが置かれており、取りに行こうとすると波にさらわれてしまうのが、またしてもニクい(しかし、そろそろ春めいてきたとはいえ、ここの住民たちはこの時期にビーチにいて寒くないのだろうか)。
本編で用意されていた、自分でこの世界のルールを発見し、未知の感動に触れた瞬間はそこまで感じなかったが、応用編としてファンを満足させるつくりだったのは間違いない。
気の抜けた音楽と、温かみのある手描きのグラフィックはどちらも素晴らしい。未プレイの方は、本編とDLCをどちらも駆け抜けてほしいところである。