AI PC活用などで新たなる働き方を推進 日本HP2025年度事業説明会レポート

2025年1月16日、日本HPによる事業説明会が行われた。代表取締役の岡戸氏は2025年度のテーマとして「Future of Work」を掲げ、AIの活用やテクノロジーのパーソナライズによってこれを推進していくとした。
事業説明会では日本HP役員による今年度のポートフォリオと導入事例が語られた。始めに登壇したのは日本HP代表取締役の岡戸伸樹氏だ。岡戸氏は昨年度の売上成長は昨年度対比でほぼ横ばいとしたものの、第3四半期・第4四半期と2期連続で成長できたと強調。第4四半期のPCの売り上げに占めるAI PCの割合は15%に到達をすると語り、AI市場の成長を強調した。
また、2025年に注力すべき課題を考えるうえで、世界12か国の従業員と仕事との関係性を調べる調査「HPワークリレーションシップ・インデックス 2024」の結果を引用し、仕事と健全な関係が築けているナレッジワーカーの割合は2023年とほぼ横ばいで28%と低い結果になっていることと語り、この理由とその解決方法について掘り下げた。
そこには3つの課題があり「働き方に合ったツールの提供」「AIによる生産性の向上」「共感力を示せるリーダーの育成」が必要であるという。こうした状況を解決しながら仕事と社員の新たな関係性を支えていくテーマとして打ち出したのが「Future of Work」だ。「AIを活用したITプラットフォーム」「スマートテクノロジーとパーソナライズ体験」「高いコラボレーション体験」の3つの要素を核とし、日本HPは「Future of Work」の実現に向けて取り組みを行うとしてすでに豊富なラインアップが揃うAI PCや、印刷物の制作を助ける「HP Print AI」などの実例を紹介した。
国内ではこれらの取り組みに加えて、セキュリティソリューションを拡充しながら製造業におけるDXを推進するなど、日本HPが「Future of Work」のお手本となれるように尽力していきたいと語った。
岡戸氏の次に登壇したのは日本HP執行役員パーソナルシステムズ事業本部事業本部長の松浦徹氏。松浦氏はAI PC上で実行するローカルなAIソリューションとクラウド上のAIサービスを比べた時、AI PCの優位性はセキュリティとスピード、そしてコストにあるとし、特に法人向けのPCではローカルなAIの優位性は高いということだ。また、個人用PCにおいてもHPはAIを活用したゲーミングPCのサポートソリューション「OMEN AI」を1月16日に発表、今後も新たなソリューションを手掛けることに注力していきたいと語った。
続いて登壇したワークフォースソリューション事業本部事業本部長の前田悦也氏はHP社内におけるFuture of Workの推進事例として、自社8万人のユーザー体験の向上と端末管理の経験について語り、最後に登壇した人事総務本部本部長の濱岡有希子氏は「Future of Workの実現を支える人事戦略」と題してHPにおける人事戦略を解説した。社員のキャリア自律の支援のために定期的なキャリア面談を行うこと、スキルの育成と活躍の場を創出すること、これらの取り組みの基盤としてHP全体にある企業文化「HP Way」が重視されていることなど、変化する環境の中で健全な人事を行うことの重要さと、それを引き続き推進していくということが語られた。
説明会の後に行われた製品展示では、ゲーミングPC「OMEN 16L Desktop」上で、発表されたばかりのゲーミングソリューション「OMEN AI」のデモが行われていた。「OMEN AI」はゲームの最適な動作設定をPCのスペックに合わせて提案してくれるソフトウェアだ。プレイヤーは通常、自身のPCのスペックとゲームの要求スペックを勘案して、フレーム数やシェーダー、テクスチャの品質などを選びゲームごとに最適な設定を"追い込んで"いくものだが、「OMEN AI」はこうした作業をAIによって自動化してくれるので、誰でも最適な設定でゲームを楽しめる。対応ソフトウェアは現在「Counter-Strike 2」のみだが、今後「Valorant」や「League of Legends」「Fortnite」などの人気タイトルでも順次利用可能になる予定。
2024年度より活気づいている「AI PC」の動向は引き続き良好のようだ。個人的に「OMEN AI」はコンシューマ向けのローカルAIの活用方法として非常に有益なものだと感じた。今後もこうしたAIPCの活用方法が各社から提案されていくのだろう。2025年が楽しみになる発表会だった。






























