商業施設「ハラカド」TikTokを見て来た人が約3.25倍に! その秘密をキーパーソンに聞く

立ち上げ時期には“あえて”インフルエンサーを起用しない
ーー商業施設でコアなファンを作るために、どのような動画制作に力を入れてきたのでしょうか。
水野:特に力を入れているのは、新しいテナントのオープンやイベントの周知です。オープン初日に店舗を訪れて撮影して、その日のうちに編集をして投稿するようにしています。次の日になるとユーザーの投稿に埋もれて、新鮮さがなくなり、すぐにスワイプされてしまうんですよね。エンゲージメントやコメントの数も大きく減ります。商業施設の場合、動画を視聴した人に「行きたい!」と思ってもらう必要があるので、投稿するスピードは重視しています。
ーーイベントの撮影はどのように進めているのでしょうか?
田澤:隔週で開いている定例会でイベントを共有して、どのような施策を打つのか話し合っています。ハラカドは毎日のようにイベントを開催しているんです。
水野:取り上げるイベントやショップが決まったら、ファンが欲しい情報を考えた上で、事前のプレスリリースを元に構成を考えます。ただ、現場に行って初めて気づくことも多く、その場で構成を組み直すこともあります。たとえば、2024年8月にワンピースの『麦わらストア』がオープンしたときのことです。ショップを訪れてみると、写真で見るよりも広さを感じましたし、思ったより商品ラインアップも多かったです。広い空間の魅力も伝えたほうがいいなと考えて、カメラのアングルなども変更して撮影しました。現地で感じた驚きを反映したことで、よりリアルな動画ができたと思います。
ーーインフルエンサーは積極的には起用していないのでしょうか。
水野:これまではアカウントを立ち上げたばかりの時期だったので、インフルエンサーはほとんど起用しませんでした。アカウント立ち上げ期にインフルエンサーを起用すると、動画がバズってもアカウントにファンがつきにくい現象が起こります。インフルエンサーには全国にファンがいます。ただ、「ハラカド」は原宿の施設なので、遠いところに住んでいる人がフォローしてくれたとしても来店には繋がりにくいんですよね。フォローいただけることでアカウントは成長するのですが、実際の効果に繋がっているのか見えにくくなります。
田澤:フォロワーの方に来店いただくことは重要ですよね。ただ、施設のオープンから半年以上経って、当初の目標値の一つであるフォロワー1万人も達成しました。土台は固まりつつあるので、今後はインフルエンサーの方にお願いすることもあるかと思います。
水野:実際に、2024年のクリスマスイベントでは、うちの会社に所属するクリエイターのいよちゃんさんに出演してもらっています。
@harakado_omokado いをんサンタがプレゼント収集🤶🎁 イベントの詳細はこちら⬇️✨ 【期間】2024年12月25日(水) 【17:00~19:00】この投稿を保存&コメントをした画面提示で先着150名に整理券を配布 【19:00~20:00】プレゼントの抽選&引換 【場所】東急プラザ原宿「ハラカド」4Fハラッパ 【注意事項】 ・整理券は1名に対して1枚のみ ・複数の整理券を所持している事が発覚した場合は参加不可 ・抽選の際に当選者が不在の場合や整理券を紛失した場合は無効 ・整理券の再発行は不可 プレゼントの商品一覧はコメント欄へ📝 #ハラカド#オモカド#原宿#表参道#クリスマス#サンタ#仮装#コスプレ#プレゼント#おすすめ#吉田いをん#いをん#いよちゃん ♬ レクイエム「怒りの日」(ヴェルディ) - LEOPARD
イベントへの集客を促す動画でもハラカドのファンを増やすために気をつけているポイントがあります。クリエイターと企業のコラボにおいては、訴求としてどちらかに偏ってしまうと効果的なPRができないという点です。クリエイターに偏ると企業側で訴求したい内容が伝わりきらず、ファンのみにしか刺さらない内容になりますし、企業側の伝えたいことに偏ってしまうとクリエイターの色を消してしまい、コンテンツとしてのおもしろみを出すことができません。企画段階からどのように掛け算をしてPRコンテンツを生み出すかを常に考えてコンテンツ設計をしています。配信結果としても、1分という縦型動画の中では比較的長尺でありながらも高い完全視聴率を記録し、いよちゃんのファンやハラカドアカウントのフォロワーにいい形でイベントを訴求できたと思います。
ーー公式アカウントでは集客率も重要かと思います。動画を作る際にはどのような指標を重視しているのでしょうか?
水野:保存数が一番来店につながる指標だと考えています。ユーザーが動画を見てどのように行きたくなって、後で見返すための保存という行動をするのか、強く意識していますね。
ーーここまでアカウントを運用してきて最も手応えのあった施策を教えてください。
@harakado_omokado ハロウィンはハラカドへ🎃#ハラカド#オモカド#原宿#表参道#ハロウィン#ハロウィン仮装#ハロウィンコスプレ#原宿グルメ#ハロウィンスイーツ ♬ ハロウィン・かわいいホラー曲 - PeriTune
水野:ハロウィンのときに投稿した、限定グルメと撮影会告知の動画です。その際に、動画を見た人がどのくらい施設に足を運んだのか測定しました。結果、公式TikTokを見てきてくれた人が動画投稿前と比べて約3.25倍に増えてうれしかったです。
田澤:TikTokの集客効果を測定するのって難しいんですよね。ハロウィンで調査を実施したことにより、データを把握できたので、次の施策に繋げたいと思っています。
ーーちなみに、来場者は動画のどういった部分に魅力を感じていたのでしょうか?
水野:ハロウィン限定グルメに加えて、撮影会に参加をすると500円クーポンがもらえることに魅力を感じた方も実際にいました。動画の最初でわかりやすく魅力を伝えた上で、ひと押しになるお得情報を最後に折り込むよう工夫しました。どの内容でも、訴求動画を作るときに気をつけている部分ですね。
ーーありがとうございます。最後に今後の展望を教えてください。
田澤:11月30日には、1階にディオールのショップがオープンしました。まだまだハラカドは発展途上で、これからも多くのショップがオープンしていきます。とにかく足を運んでもらえれば、良さが伝わる施設になっているので、その魅力を伝えていければと思います。























