“枠”を超える者と、去る者と。 3人の識者が振り返る、2024年のバーチャル業界(中編)

識者たちが振り返るバーチャル業界(中編)

現地音楽ライブの盛り上がりと、脅迫事案について

【YTFF2024】星街すいせい「ビビデバ」special stage

草野:そのほか話したいトピックとしては、現地音楽ライブが非常に盛況な件もあります。まぁ、火を見るより明らかなんですが。

たまごまご:盛り上がってますよね。

草野:盛り上がってます。多分ですが、VTuberのリアルライブは今年が一番多かったんじゃないんですかね。コロナ禍も過ぎ、ファン層が増えたこともありつつ、会場をちゃんと押さえられるようになったことも大きいですね。

たまごまご:星街すいせいさんとか、よくさいたまスーパーアリーナ押さえましたよねぇ……そして次は武道館ですよ。そんなに簡単に借りられないですよね。

草野:借りられないですよ〜! 「うわっ、よくとれたなあ!」って思いましたもん。そのくらい、ホロライブやにじさんじクラスの影響力が強まっているということですね。

ーーライブの増加でいえば、ライブ会場自体もずいぶん増えたように思います。

草野:コロナ禍以降に新しくできたぴあアリーナMMも、「VTuberのイベント、だいたいあそこでやってるな」と思えるくらいライブをやってますね。それだけ、VTuberの影響力が強くなってきたんだなと感じますね。

浅田:集客力を獲得してきたからこそ、大きなハコもOKを出せるようになってきているんでしょうか。

たまごまご:個人の方でも、コロナが落ち着いてノウハウが溜まってきたからなのか、積極的にイベントをやろうという動きが見られますよね。ただ、全体的にはいい話題が多いものの、爆破予告などの話も多かったですね。あのような脅迫一通で、どれだけの損害が出るのやら……。

――そうした脅迫・営業妨害は断固として許容してはいけないものですし、企業側もそうした経験を経て対策を講じるようになってきましたね。

たまごまご:このあたり、特ににじさんじはとても厳しくなってきましたよね。

草野:ちょうど今日(座談会実施日)、逮捕者も出ましたね。

浅田:脅迫・業務妨害容疑での逮捕ですよね。こうした事案だと、訴訟や示談は報告がありましたが、逮捕まで至るのは初ですよね?

草野:初めてだと思います。相当ですよね。これは「この業界が法律的にも強くなったんだよ」と示す象徴的なニュースなのかなと思います。いろんな裁判も進んでいますし、2〜3ヶ月に1回ぐらい報告があることもいいことです。

たまごまご:「守ってくれている」という点は、企業に所属するたしかなメリットですよね。

――脅迫などへの対処以外でも、企業として守らないといけないルールの見直し・コンプライアンスの強化といった動きがずいぶん見られました。

浅田:業界が本当に大きくなるからこそ、襟を正すべき場面がたくさん出てきていますね。

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