THE PRIMALSが振り返る“チャレンジ”の夏 フェス、東京ドームを経て舞台は「横浜アリーナ」へ
人気オンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』の音楽を手がける祖堅正慶が率いる、公式バンド“THE PRIMALS”が、9月21日、22日に横浜アリーナで2デイズライブ『THE PRIMALS Live in Japan Darkest Before Dawn』を開催。それに先駆けて9月7日には、1stアルバム『THE PRIMALS』以降に発表された楽曲と、新曲「Give it All ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~」を収録したニューアルバム『THE PRIMALS - Riding Home』、1月7日、8日に東京ドームで開催された『ファイナルファンタジーXIV ファンフェスティバル 2024 in 東京』でのスペシャルライブを収録した『And Back Again: Live Performances from the FINAL FANTASY XIV Fan Festival 2024』の2アイテムをリリースする。
結成10周年を迎えた今年は夏フェスに初参戦するなど、キャリアに甘んじることなくさまざまなことにチャレンジしたTHE PRIMALSの夏を振り返りながら、横浜アリーナに向けたいまの思いを聞いた(マイケル・クリストファー・コージ・フォックスは所用により欠席)。
真夏な「DAWNTRAIL」のMV撮影は真冬だった!?
ーーまず、発売中の『DAWNTRAIL 7-inch Vinyl Single』について伺います。反響はいかがですか?
祖堅正慶(以下、祖堅):これまでのTHE PRIMALSって、暗くて怖いけれど、燃え盛るといったイメージが強かったと思います。それとは対照的な、明るめの曲調で主題歌を作ったのは初めてのパターンなので、「上手くやれたかな?」「上手くやれているといいな」という心境です。ライブもまだなので、初披露したときのみんなの反応がすごく楽しみだし、評価を下すのはそれからという感じですね。
たちばなテツヤ(以下、たちばな):陰鬱としたダークな感じから、いきなりすごく明るい方向に振り切っていて、レコーディングする前は不安ではないけれど「上手くまとまるかな」という懸念が少しありました。でも、いい感じに仕上がって良かったです。映像も含めて、“夏休み”のようなイメージで捉えてもらえたら、成功だと言えるのではないかと思います。
ーー「Open Sky - The Theme from Dawntrail」ミュージックビデオは、青空の下、浜辺で演奏している爽やかなシーンもあって、これまでになかった明るさを象徴していました。
イワイエイキチ(以下、イワイ):真夏っぽく映っていますけど、撮影したのは真冬です。明るめの曲調だけれど、衣装はいつものままということで、不思議な感じがしました。でも出来上がりを観たら、すごくバランスがいいなと思いましたね。
祖堅:めっちゃ寒かったですよ。撮影現場に向かう時の気温は0℃で、長袖とはいえ「こんなところにシャツ1枚でいたら死んじゃうよ!?」って(笑)。
GUNN:いまだったら逆に暑くて死んじゃうけど(笑)。でも「Open Sky - The Theme from Dawntrail」を最初に聴いたときは、「え? こんなに明るいんだ!」と、ビックリしたのが第一印象でした。これをTHE PRIMALSでやるんだ、と。でも「ワ~イ!」みたいに明るくはできないけどね! という気持ちもありながら、パワー感があってポップさもあるという音が録れたんじゃないかと思います。
ーー7月13日には、茨城県・国営ひたち海浜公園で開催された『LuckyFes 2024』に出演しました。野外フェスへの出演は初めてだったそうで。
たちばな:はい。結成当初からの願望で「音楽フェスに出たいね」って話をずっとしていたんですけど、やっと呼んでもらえました。
ーーTHE PRIMALSのことをまったく知らないお客さんもたくさんいたなかでのライブはどんな感覚でしたか?
たちばな:「意外と通じたぞ!」という手応えでした。
GUNN:最初は「新参者なのでよろしくお願いします!」という気持ちだったんですけど、ライブをやっているうちにお客さんが「おや?」って興味を持って、ほかの場所から聴きに来てくれる様子がチラホラ見えてうれしかったです。ちゃんと届いているんだなって。
イワイ:個人的に音楽フェスというものに出ること自体が10年ぶりだったんですけど、前はバンドのサポートメンバーというかたちだったんですね。今回はちゃんとメンバーとして参加することができて感慨深かったし、すごく楽しかったです。
ーーたちばなさんはSPARKS GO GOなどでもフェスに出演してきたと思います。
たちばな:たしかになじみのある環境ではあるけれど、THE PRIMALSというちょっと成り立ちの変わったバンドが、どういう風に受け入れられるのか、ちょっと思うところはありました。これまでの経験から「絶対ウケるはずだ」という自信はあったけど、やってみないと分からない部分もあるので。でもやってみたら、もちろんヒカセン(光の戦士/FFXIVプレイヤーの愛称)もたくさん来てくれていたし、そうじゃない人たちも集まって来てくれた。目に見えてそういう結果が表れたときは、すごくうれしかったです。
GUNN:バックステージで懐かしい顔なじみと再会して、結構みんな観に来てくれました。観るまでTHE PRIMALSのことは知らなかったけど、「このバンドなに? すごくカッコイイじゃん!」って言ってくれた人もたくさんいて。バンド仲間からそういう意見をもらえたのも良かったなって。
ーー祖堅さんは初フェスですが、いかがでしたか?
祖堅:もともとフェスは、出るより観るのが一番という人間で、かつては『FUJI ROCK FESTIVAL』や『SUMMER SONIC』などに足を運んでいました。Rage Against the Machineが来るときは必ず行ったし、NOFX、The Offspring、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、Hi-STANDARD……。野外で好きなことをしながら、爆音で好きな音楽が聴ける、なんて贅沢なことだろうっていつも思っていて、そんなステキな場所に出る側で立てたことは、すごくうれしかったです。
ただ、いつもはゲームの追体験を主としたパフォーマンスをやっていますけど、『Lucky Fes 2024』は、ゲームから切り離した音楽だけを、いかに来てくれたお客さんに楽しんでもらうかという勝負でした。純粋に音楽力やパフォーマンス力が試されるというか、いつも持っている複数の武器をそぎ落とされた状態で、武器をひとつだけを持たされて「これで戦ってこい」と送り出されたイメージです。だからいつもとは違う心持ちでトライできたのは、新鮮ですごく良かったです。始めてしばらくすると「なんかやってるね」って感じで人が集まって来て、「ゴリゴリした音を出しているな」って男たちが結構観てくれて、中盤ぐらいになるとほかのステージからどんどん人がやって来て、しまいにはみんな「ウォ~!」って叫んで盛り上がってくれて最高でした。
GUNN:祖堅くんがMCで、「僕はサラリーマンで……」という話をしたとき、前にいた警備スタッフの人が、「え!?」って驚いた顔でステージを振り返っていたのが面白かったです(笑)。
祖堅:ギョッとしていたね。