オーディオ評論家・野村ケンジがShokzの誇る新製品『OpenSwim Pro』と『OpenFit Air』の実力を語る

Shokzの『OpenSwim Pro』と『OpenFit Air』

 Shokz(ショックス)といえば、骨伝導イヤホンを語るブランドとして欠かせない存在であり、そもそもリスニング向け骨伝導イヤホンという新しいジャンルを開拓した立役者でもある。いまでこそ音楽鑑賞をメインに据えた骨伝導イヤホンをラインアップするメーカーは数多くあるが、その元祖がShokzであることは確かだ。

 実際、現在も先駆者として高いアドバンテージを保っており、最新のフラッグシップモデル『OpenRun Pro』は、帯域バランスや音質のよさなどから、(骨伝導イヤホンのメインな使い方である)ながら聴きユースだけでなく、十全に音楽を楽しめる製品として大いに好評を博している。

 そんな、骨伝導イヤホンのオピニオンリーダーであるShokzから『OpenSwim Pro』と『OpenFit Air』、2つの新製品が登場している。どちらも特徴的であり、Shokzならではのこだわりやアドバンテージが盛り込まれた完成度の高い製品に作り上げられている。ここでは、新製品2つの特徴について解説したい。

水中でもリスニングを可能とする驚異的なテクノロジー

 まず『OpenSwim Pro』は、本格的なスイミングでの使用を想定した製品。Shokzが得意とするネックバンドタイプの骨伝導イヤホンで、IP68の防塵・防水性能を持ち、2メートルまでの水中で使用が可能。

 また、32GBの内蔵メモリを搭載しており、Bluetooth接続に加えて内蔵メモリによるMP3モード再生もできるため、水中でも音切れなく音楽再生(MP3モードで最大6時間)を楽しむことができる。さらに、付属品として耳栓が付属しており、これを活用することで水中での音色変化を最小限にできるという。

 もちろん、水中以外、日常での使い勝手も万全だ。最大9時間の連続再生、2つのノイズキャンセリングによるクリアなマイク通話、Bluetoothで2つのデバイスを接続し自動切り替えできるマルチポイントなど、機能的にも充分な内容を持ち合わせている。水はけのよいケースが付属するなど、ユーザビリティに関しては様々な配慮がなされている。製品本体にも付属品にも細やかな配慮が見られるのは、Shokzらしい気遣いといえる。


 そして、実際の装着感についてもなかなかのもの。『OpenSwim Pro』はネックバンド型の骨伝導イヤホンで、耳の前側に振動ユニットが配置されるタイプだが、バンドや振動ユニットのデザインや角度設定が絶妙で、頭部にピッタリと装着される。

 それでいて強く押しつけられることもなく、長時間装着し続けていても痛くなることがない。世にネックバンドタイプの骨伝導イヤホンは数多あれど(筆者を含むアジア人にとって)ここまで絶妙なフィット感を持ち合わせる製品はあまり多くはない。振動ユニットが程よい場所に落ち着かず、浮きがちになってしまうのだ。その点だけでも、Shokz製品に対する信頼はかなり高くなる。

 フィット感のよさは、音質にも大きな影響を与える。『OpenSwim Pro』には、独自の骨伝導技術に加えて「PremiumPitch 2.0+」という最新のサウンド技術も採用しているが、これが十全に発揮できるのは、理想的なフィット感があってこそ。実際、『OpenSwim Pro』のサウンドはなかなかのもの。低域もある程度の量感が確保されており、さらに中域も及第点をクリア。


 骨伝導イヤホンとしては望外とすらいえる、ヌケのよいのびのびとした歌声と迫力のある演奏を楽しむことができる。もちろん、低域の迫力については耳穴を密閉できるカナル型イヤホンと同等まではいかないし、最上級モデル『OpenRun Pro』と(ユニット構成などが異なっているのだろう)同等とまではいえない。とはいえ、普段使いはもちろん、水中ですら存分に楽しめるのは、大きな魅力といえるだろう。全天候下で気にせず使える骨伝導イヤホンはとても使い勝手のよい製品といえる。

軽く圧倒的な装着感が魅力で長時間リスニングにもぴったり


 もうひとつ製品は、2023年あたりから普及が進み始めたオープンイヤー型と呼ばれる製品だ。音声ユニットが耳の上、宙に浮いた場所に配置されている、耳型タイプの完全ワイヤレスイヤホンだ。


 そう、骨伝導イヤホンの雄であるShokzが、骨伝導でない製品を積極的に展開したこと自体が興味深いが、音楽を楽しみつつも周囲の音が聞こえる“ながら聴き”利用ができる製品として共通項がある。また、製品としては骨伝導イヤホンの技術が随所に活かされているなど、特徴的な製品に仕上がっている。

 そして、今回紹介する『OpenFit Air』はShokzにとってオープンイヤー型完全ワイヤレスイヤホンの第2弾製品で片側8.7gという軽量さ、イヤーフックと呼ばれる耳掛け部分が細くなりメガネを使用している人でも掛けやすくなっているなど、よりカジュアルに利用できるパッケージとなっている。


 ホワイトやピンクのカラーバリエーションも、製品意図を反映したものだろう。ちなみに、細めのイヤーフックの内部にはニッケルチタン合金のワイヤーが配置されており、細いのにしっかりした固定を行うことが可能だ。

 音質の要となるドライバーユニットは18×11mmというオーカルサークル型振動板を採用するダイナミック型ドライバーを採用。小柄なイヤホン本体と迫力のサウンドを巧みに両立している。イヤーフックも含め、Shokzならではのイヤホン技術が活かされた特徴といえる。

 このほかにも、4基のENCマイク採用によるクリアな通話や2つのデバイスを自動切り替えしてくれるマルチポイント接続、必要充分なIP54の防塵防滴機能など、日常利用では十分な機能性を持ち合わせている。

 さて、実際のサウンドはというと、完全にリスニング用として活用できる、いい意味で“普通”な帯域バランスを持ち合わせている。もちろん迫力の重低音は望めないものの、まずまずの量感の低音を確保しているし、クリアに中域によってヴォーカルやメイン楽器の音がしっかりと届いてくれるので音楽を充分に楽しめる。

 音楽に集中したい場合は、ボリュームを大きめにすればよし(試聴に使ったスマホだと8割程度)、ながら聴きで楽しむ場合は下げめにすればOKだ。構造上、外への音漏れはある程度はあるが、想像よりも少ないため電車内でも音量を小さくすれば気にならない程度だ。なによりも、長時間装着し続けても装着部が痛くならず、疲れもしない点がいい。散歩やジョギングのお供としても最適、上手く活用すれば、とても快適なイヤホンとなるだろう。

 このように、Shokzは独自の技術やポリシーによって、とても優秀な製品を作り続けている。『OpenSwim Pro』も『OpenFit Air』も、充分にオススメできる製品となっているし、最上級骨伝導イヤホン『OpenRun Pro』のサウンドを是非一度は体感して欲しいところ。

 その絶妙で完成度の高いモノづくりの確かさに驚いて貰えるはず。現在の製品はもちろんのこと、将来どう言って展開を押し進めるのか、Shokzというブランドを大いに注目して欲しい。

 なお、こちらの両アイテムは7月20日〜21日の両日、代官山 蔦屋書店で開催されるオーディオガジェットのイベント「オーディオLABO Session1」でタッチ&トライが可能。筆者もコンシェルジュとして会場で皆様からの相談にお応えする。入場は無料なので、この機会にShokzが誇るオーディオガジェットの実力を体感してほしい。

オーディオ評論家・野村ケンジが代官山 蔦屋書店でコンシェルジュに! リアルサウンドテック主催の展示・視聴イベントを開催

『オーディオLABO Session1』では、野村ケンジ氏がオーディオ製品の総合的なアドバイスを行う。イヤホンからスピーカーまで…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる