“マリカー”ライクなレースゲーム×読み合いの深さが面白い 『アルティメット ゴッドスピード』レビュー

『アルティメット ゴッドスピード』レビュー

 PC(Steam)向けに5月27日に発売されたパーティーレースゲーム『アルティメット ゴッドスピード』をレビューしよう。

 本作はオンラインまたはローカルで最大8人まで遊べるゲームであり、決められたコースをいかに早く突破できるかを競う。

 いわゆる『マリオカート』に代表されるジャンルだが、一味違うのはコースの上に罠を設置することができるという点だ。

 プレイヤーは普通にコースを走って順位を決めたあと、ひとりにつき1~2個の罠を選択し、取得することができるフェイズが挟まる。手に入れた罠をコース上のどこかに設置し、難易度が上がったステージでまた全員でレースをするわけだ。

 罠は様々あり、奈落やトゲ、大鎌といったプレイヤーを直接傷つけるようなものや、コースの上部にアクセスできる傾斜や台、プレイヤーの動きに作用するブーストや氷塊といったものもある。

 これらの罠に他プレイヤーが引っ掛かると、ゴール時に自分のポイントに加算されるが、自分で置いた罠に自分で引っ掛かると、自滅として大幅にポイントを減らされてしまう。いかに自分が引っ掛からず、他プレイヤーが引っ掛かる位置に置けるかが大事だ。

 このあたりのメカニクスは『Ultimate Chicken Horse』という先行作品に類似しており、あちらは2Dプラットフォーマーだが、こちらはそれをレースゲームにしたという印象を持った。

 人の罠に引っ掛かって落下しても、誰かを罠にかけてもどちらも面白く、プレイ中は笑いが絶えない素敵なパーティーゲームであった。

 しかしながら、気になる点もある。

 まずボリューム不足が挙げられる。最初に選べるステージはたったの4つで、複数回遊んだときにアンロックされるステージもそれらをリバースにして変化を付けたようなものばかり。1時間足らずでだいたい見終えてしまうのが問題だ。

 また、その割にはアイテムやスキンをアンロックするためにステージ内にランダムで出てくるアイテムボックスを割らないといけないので、同じステージを何度も遊ばなければならない。この点に関しては、なるべく早急にアップデートで追加してほしいところである。

 音楽やキャラクターといったゲームの外側の部分に関しても、そこまで強烈に惹かれるものはなく、フリー素材感を覚えてしまった。現時点では特にゲーム内世界を広げる要素もないため、あくまで友人と集まるときに入っていると楽しいものとして買っておくのが良いだろう。

 とはいえ、ゴール前にみんなが好き勝手に置いた罠をギリギリで潜り抜けていく快感や、しょうもないミスで1位を逃してしまったときの脱力感など、良い意味でパーティーゲームに必要な要素が詰まっている作品ではある。6月11日までセールを行っているため、良かったらチェックしてみてほしい。

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