インプレゾンビが“迷惑な存在”から脱却? 400万インプレッションを獲得した投稿とは

インプレゾンビが“迷惑な存在”から脱却?

 2023年7月、Xに『広告収益分配プログラム』(※)が導入されたことを受け、トレンドワードを無数に入れ込んだ脈略のない投稿をしたり、特定の投稿に寄せられたリプライや引用ポストをコピペしただけの投稿をしたりなど、インプレッションを稼ぐためだけの迷惑投稿を行うユーザー、通称“インプレゾンビ”が増加の一途を辿っている。

(※)広告収益分配プログラムとは、ポストのリプライ欄に配信される広告から得た広告収益の一部をユーザーに分配するもの。

 先日もインプレゾンビの暴走と言っても差し支えない事態が起きた。5月中旬、中日ドラゴンズに所属する龍空選手がトレードしたことを予想させる「龍空トレード」がトレンドワードとして浮上。ただ、いざ「龍空トレード」というワードをチェックしてみると、龍空選手がトレードしたという事実は一切なし。そのことを報じるニュースサイトもない。ただただ「龍空トレード」というワードが入った外国人アカウントによるコピペ投稿がずらりとタイムライン上に現れるだけだった。

 「龍空トレード」と入れて投稿すると、効果的にインプ稼ぎができると考えたインプレゾンビのアカウントが大量発生。さらには、ゾンビがゾンビを呼び寄せるかたちとなり、しまいにはトレンドワードになるまで発展させている。つまりは、インプレゾンビによってトレンドワードは簡単に作り出すことができ、場合によってはフェイク情報を拡散されてしまうリスクも伺えた。

いいね5.6万を稼いだ投稿とは

 インプレゾンビによって辟易しているXユーザーは少なくないが、ここに来てインプレゾンビの投稿が転換点を迎えようとしている。先日、とあるXユーザーが露骨なインプ稼ぎではなく、自国の日常を日本語で投稿するように促した。

 この投稿を参考にしたのかは不明ではあるが、実際にこのアドバイスの通りにインプレゾンビと思われるアカウントが自国の伝統文化に関する投稿をした結果、3.5万いいね、165万インプレッションを稼ぐ大バズリを見せた。他のXユーザーは自国に関する質問を募る投稿をしたところ、5.6万いいね、425万インプレッションを記録。

 これらの大バズり投稿が誕生したことをキッカケに、今後は“インプレゾンビ的な投稿”ではなく、自国の伝統文化や日常を投稿するほうが効率的にインプ稼ぎができると考えるインプレゾンビは増えるかもしれない。つまりはインプレゾンビの。投稿に苛立つことは減り、トレンドワードに振り回されるリスクは減っていくだろう。

 とはいえ、先述した投稿がバズった背景として、“これまで迷惑な存在でしかなかったインプレゾンビが健全な投稿をしている”というギャップが大きかったように思う。自国の日常を日本語で投稿するXユーザーが増えれば、そのギャップは解消される。インプ稼ぎは難しくなり、また投稿の傾向を変えなければいけない。そのとき、いま以上に誤情報が飛び交ったり、タイムラインが見にくくなって有益な情報をキャッチできなかったりなど、不都合な事態に発展する可能性は低くない。今後のインプレゾンビの動向に注目したい。

Xでインプレッション稼ぎのリプライが増加 ITジャーナリストに聞く“分配プログラムがもたらした変化”と“今後のSNS勢力図”

X(旧Twitter)では7月から、投稿の閲覧数(インプレッション数)などに対して報酬が支払われる「クリエイター広告収益分配プロ…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる