日本は“AI企業の楽園”なのか? Open AIの東京オフィス開設から考える

日本は“AI企業の楽園”なのか?

理由2:日本はAIにフレンドリーな先進国? 国民の肯定的な目線

 OpenAIが日本に進出した理由として、日本がAIに対して友好的な国であることも挙げられる。この論点は、昨年同社のアルトマンCEOが来日した際にも言及されたことであった(※6)。

 世界各国のAIに対する世論を知る格好の資料として、アメリカ・スタンフォード大学が2024年4月15日に発表した「AI Index Report」がある(※7)。同レポートの第9章「大衆の意見」には、「AIを活用した製品とサービスは、利益が不利益を上回っている」というAIをポジティブにとらえる見解に対して、2023年時点で各国民が賛成した割合がまとめられている。

 日本はこの見解に対して52%が「そう思う」と答えており、2022年に同様の質問をした場合と比べて10%上昇している。

 G7に名を連ねる先進国のなかで日本を上回る賛成を得ているのはイタリアの55%であり、日本に続くのがイギリスの46%、ドイツの42%である。そこからカナダの38%と続いて、一番賛成が少ないのが、アメリカとフランスの37%である。もっとも、先進国すべてにおいて2023年の賛成率が2022年のそれを上回っている。

 以上のように日本は、AI開発の規制が比較的ゆるやかなうえに、国民がAIに対して他の国に比べて友好的な態度を示しているとされている。こうした日本の特徴は、世界からAI開発企業を呼び込む際に有利に働くだろう。そして、国内のAI開発企業には自国の強みを生かして国産生成AIを世界に発信することを期待したいところである。

〈参考資料〉
(※1)朝日新聞電子版「『厳しいAI規制は志向しない』日本政府を評価 米オープンAI副社長
(※2)文化庁「文化審議会 著作権分科会 法制度小委員会『AIと著作権に関する考え方について』【概要】
(※3)UNITED STATES DISTRICT COURT SOUTHERN DISTRICT OF NEW YORK「Case 1:23-cv-11195
(※4)OpenAI Blog「OpenAI and journalism
(※5)欧州議会「Artificial Intelligence Act: MEPs adopt landmark law
(※6)Real Soundテック「サム・アルトマンCEOの来日に見る、『ChatGPT』を開発したOpenAIの“過去・現在・未来”
(※7)スタンフォード大学「AI Index Report 2024

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