『ピザハット』がTikTokで急成長を遂げた要因とは? キーパーソンが語り合う“成功の秘訣”
「必ずしもクリエイターが必要ではない」LCのキャスティング論
ーー天下一品さんとのコラボ企画で、動画にSHIGEさんを起用した理由を教えていただけますか?
フィギギ:私たちのTikTokは男女比が50:50で、天下一品さんのファン層は男性が多いんです。男性にアプローチしたいと考えた時に、いま勢いがあって自然に面白く訴求してくれる人というので、SHIGEさんがいいんじゃないかなと思って。
@pizza_hut_japan SHIGEさんが来てくれました!!#ピザハット #天下一品 #ラーメンピザ ♬ オリジナル楽曲 - 【公式】ピザハット
もともとLCさんと取り組み始めた頃に投稿した動画で、勝手にSHIGEさんの動画をパロディーさせてもらっていたんです。そこから見てくださっている方は、「ついに本家とコラボ」みたいに盛り上がってくれるのではないかと思って、SHIGEさんの良さを100%出す企画で、天下一品さんとのコラボを自然な形でやりたいと打診させていただきました。
ーー作り込んだうえでのコラボだったんですね(笑)。井上さんは自社のクリエイターを起用する際に考えていることはありますか?
井上:僕たちは必ずしもクリエイターが必要ではないと思っていて、クリエイターを出すことで掛け算になって、動画が伸びていくとかバズるのであれば起用した方がいいという考えなんです。単に影響力が強くてフォロワーが多い人をキャスティングして失敗した事例もたくさん見てきたので、クリエイターの普段の投稿のトンマナやそのクリエイターのフォロワー、企業の目的がちゃんと掛け算になっているか、そのインサイトをすごく大事にしています。
ーーピザハットさんとSHIGEさんの相性は良かったということですよね?
井上:これはピザハットさんが先に動画でパロディをしてくれていたことが大きいです。
フィギギ:SHIGEさんはファッション系のクリエイターで、飲食の我々とは囲っているファン層が違うというのもあって、新規の方に見てもらう機会がより増えるんじゃないかと思ったんです。
ーーSHIGEさんはピザハットさんと天下一品さんのコラボ企画動画に出演されましたが、ピザハットさんの印象を教えていただけますか?
SHIGE:ピザハットさん、体張っているなと。コンテンツを見てみると、魚のコスプレをしていたり、意外と面白い企業なんだと思いました。
ーーピザハットさんの魅力を伝えるために意識したところ、工夫したことはありますか?
SHIGE:赤と黒の洋服でピザハットカラーを表現したり、コーディネートを少なくしてピザが映るシーンを多くしました。あまり食レポをしたことがなかったんですけど、商品の良さとピザハットさんの楽しさを伝えられたと思います。予想以上に数字も伸びましたね。
ーーピザハットカラーを使ったファッションは印象的でしたが、クライアント企業の魅力を伝えるためのクリエイターができることはありますか?
SHIGE :洋服で企業のイメージを作るというのも、自分の面白さのひとつなんですね。これまでもファッションを軸にしていろいろやってきたので、ファッションとブランドをイメージさせるものを組み合わせて面白さを伝えることや、何か絡められるものはないか意識しています。
ーーその考えが反映された結果、いい動画ができたんですね。天下一品さんのほかにもこれまでさまざまな企業とコラボされていますが、やってみていかがでしたか?
フィギギ:クリエイターや企業とのコラボはユーザーの反応がとてもよく、「ピザハットってそういうこともやるんだ」という意外性も面白さにつながっていると思います。まったく異なる業界や企業、ジャンルが違うクリエイターの方々と取り組むことは、我々の想像力にしっかり活きてくると思いますし、視聴者のファン化に繋げられているようなので、LCさんやコラボ先のみなさまには本当に感謝しかありません。
ーーすでに大きな成果が出ているTikTok運用ですが、今後の展望を教えていただけますか?
井上:当初は若年層やほかSNSにはいない層をとりにいくことが目標でしたが、これまでの取り組みでその層にはリーチできたと思っています。ここまでの過程も含め成功だと感じているので、次はそのリーチをフォロワーやファン化し、コミュニティを作ることが役割だと考えています。コミュニティに変えていければ、TikTokはほかのSNSとは違った活用ができるので、新規のリーチは取り続けながらもライブ配信やリアルイベントに挑戦して、リアルとデジタルを行き来させるような仕組みを作り、ファンを固めていければいいなと思っています。
フィギギ:いままでにやったことがないライブ配信に挑戦したいなと思っています。現在、フォロワーのみなさんにはコメントをいただき、返信をするというデジタル上のやり取りしかないので、今後面白い商品を企画したときに、試食会などのリアルイベントを企画して、みなさんの反応を見たり、感想を聞いたり、直接交流できる場も作っていきたいです。
芸能人とインフルエンサーの境目はさらに縮まる? BitStar渡邉拓代表に聞く“動画市場の未来”
コロナ禍の終息後、動画コンテンツ市場は顕著な変化を遂げた。エンターテック企業・BitStarの渡邉拓氏に、クリエイターに求められ…