ホロライブにハマったプロ格闘ゲーマー・小路KOGがバーチャル化を果たすまで

プロ格ゲーマー・小路KOGがV化を果たすまで

そしてバーチャル化へ 『スト6』がもたらした波のなかで大きな分岐を迎えた小路KOG

 そうしてホロライブへと一気にハマっていった小路KOGだが、その出会いは彼の配信活動・格闘ゲーマーとしての分岐点にもなった。

 先程書いたようなホロライブへの熱量が広まったことや、『ストリートファイター6』のプレイ人口が拡大したことにより、小路KOGがコーチ役として配信のなかで呼ばれるという場面が少しずつ増えることになった。

 とくにホロライブを運営するCOVER社による男性タレント事務所・ホロスターズとの絡みは印象的で、『ストリートファイター6』を熱心にプレイしていた律可(りっか)の呼びかけに応じ、律可をはじめとしたホロスターズの男性タレント陣にコーチすることに。また、11月16日には律可が主導して開催された『ストリートファイター6』ホロスタ大会にもMC・実況として参加している。

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 もちろんこの期間にあっても、彼はホロライブの勉強(切り抜き動画視聴)はやめておらず、この機会にあわせてホロスターズの面々の配信やライブを見ていたようだ。ホロライブ/ホロスターズファンから見れば、小路KOGの存在は一層印象に残っただろう。

 また年内に入ってからは個人VTuberとして活動している赫闇(かくやみ)まおが主催する『KAKUYAMI CUP』にも解説役として呼ばれるなど、個人VTuberらを中心に『ストリートファイター6』のコーチング、もしくは他ゲームのコラボ配信にも加わるようになっているのだ。

 大きな要因としては、ズバリ「バーチャル化」にある。2023年12月31日に小路KOGはLive2Dアバターを公開した。SNSのアイコンに使用されていた「サングラスをかけた犬」をモチーフにしたビジュアルで、現在もTwitchでの配信でたびたび使用されている。

【YOUTUBE版】初めてのLive2Dお披露目【VTuber/小路KOG】

 自らがVTuberとなってさまざまな形でのコーチングに携わり、コラボ配信もこなし始めている小路KOG。2023年から一気に縮まったVTuberと格闘ゲーム界隈との関わりのなかで、多くの格闘ゲーマーが知られるようになっていったが、その在り方・変化は格ゲー界隈のなかでも異色な輝きを放っているのだ。

 すこし視野を広くとってみよう。

 VTuberといえば、「中の人の存在を明かさない」という、シーン特有の慣習がある。「姿を見せること無くYouTuber的/ストリーマー的な活動ができる」といった特性を活かしたり、「アニメルックがもたらすファンタジー/空想性を活かす」といったVTuberならではの見せ方も強く影響していよう。

 そういったなかで小路KOGの動きからは、「中の人の存在を存在を明かさない」「アニメルックがもたらすファンタジー/空想性を活かす」といった様式に沿うというよりは、インターネット上でタレント活動をするうえでスムーズかつフレンドリーに振る舞いたいという、ある種の願いのようなものが感じられる。

 また小路KOGのように、とあるスポーツやゲームのプロとして素顔を出して活動していた者たちが、Live2Dのアバターを持ってバーチャル化するという事例は現状かなり少ない。とはいえ、VTuber~バーチャルタレントシーンの盛り上がりに合わせて、Live2Dアバターや3Dビジュアルを活かして活動するパターンは、少しずつ増えてもいる。

 たとえばBobbSappAim、きなこ、kamito、うるかといったFPSを得意としたストリーマーらはLive2Dアバターを使用して配信活動を続けている。彼らと仲のいい渋谷ハルがVTuberとしてシーンを牽引している部分は大いにあるだろう。

 逆にVTuber・渋谷ハルはつい最近3Dビジュアルを初めて公開したのだが、その際BobbSappAimはアバターではなく「本人そのまま」出演していた。3D映像と実写映像のリアルタイム合成という難しいハードルをこなしている内容でありつつ、“実際の自分”と“アバターの自分”というビジュアル的表現の幅と面白さに気付かされた人も多そうだ。

【#渋谷ハル3D】大変お待たせいたしました!【渋谷ハル / ネオポルテ】

 麻雀界からは、因幡はねると仲が良いプロ雀士・松本吉弘と渋川難波の両名が、彼女の誕生日記念ライブに3Dアバターとして出演していた。こちらは愛らしい動物アバターを使用したケースだが、こういった共演の形もアリだと教えてくれるものだ。

【#はねたん】全編無料!因幡はねるお誕生日記念3D歌ライブ!!!ゲスト:緑仙/空星きらめ/周防パトラ/朝ノ瑠璃/松本吉弘/渋川難波/紫水キキ【因幡はねる / ななしいんく】

 プロゲーマーという目線を外してみればこの他に、シーンと親和性の高い声優やイラストレーターらがバーチャル化(アバター化)して活躍の場を広げるというケースが広まっている。この例については以前の記事でも取り上げているが、その影響力・インパクトは計り知れない。

 こういった動きとパラレルするように、KADOKAWA Game Linkageが運営してきた格闘ゲームチャンネル「りーさるぷらん」からは、VTuberが新たにデビューをしはじめている。格闘ゲーム界隈にも徐々に新たなタレントが登場する契機が生まれつつあり、小路KOG並びに多くのプロ格闘ゲーマーにも、ドラスティックな変化が訪れようとしているのかもしれない。

「イラストレーター 兼 VTuber」という存在に見る、多様なバーチャルタレントの在り方

多様化する「バーチャルタレント」の在り方を、「イラストレーター」かつ「インターネットで配信活動を行う人たち」から読み解いていく。

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