抜群の迫力と没入感がもたらす“想像以上”の満足度 『PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット』レビュー

『PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット』レビュー

 2024年2月21日、ソニー・インタラクティブ・エンタテインメント(SIE)はPlayStation 5向けの周辺機器『PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット』を発売する。本稿では、SIEから商品の提供を受け、発売に先駆けて実施した同製品の実機レビューをお届けする。

 昨年末から『PlayStation Portal リモートプレイヤー』(以下、『PS Portal』)、『PULSE Explore ワイヤレスイヤホン』(以下、『PULSE Explore』)と新製品の発売が続いているPlayStation 5関連の周辺機器。今回発売される「PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット」(以下、『PULSE Elite』)もまた、無線技術(リモートプレイ/PlayStation Link)を活用してPS5のプレイ環境をより充実させるための製品であると捉えて良いだろう。製品名が示す通り、本製品は完全ワイヤレスイヤホンの『PULSE Explore』に対するワイヤレスヘッドセットという位置付けで、オーバーヘッドという形状を活かした、より臨場感や安定感のあるリスニング環境を求めている方にオススメのヘッドホンとなっている。

 一点、今回のレビューについての留意点だが、他製品と異なり、『PULSE Elite』においては以前から発売されている「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」という製品という明確な先代機種が存在する。だが、残念ながら筆者は同製品を所持していないため、本稿では両製品の比較検証については割愛させていただきたい。

開封してすぐにプレイ環境が完結するシンプルな構成

 PULSE Eliteの接続方法はシンプルだ。同梱の「PlayStation Link USBアダプター」をPS5本体に接続して、ヘッドセットのPlayStation Linkボタンを押せばペアリングが完了する(ただし、初回起動時は恐らくファームウェアアップデートが入るため、ヘッドセットとアダプターを両方PS5に接続する必要がある)。これは『PULSE Explore』についても同様だったが、本体側で特に操作をすることなくペアリングが完了するのは細かな点ではありつつ、とてもありがたい。一度ペアリングをしてしまえば、あとはアダプターを挿しっぱなしにしておけばヘッドセットのオン/オフですぐにプレイ環境が完成するため、Bluetoothワイヤレスヘッドホンにありがちなペアリングの煩わしさに苛まれることがない。もちろん、通常のワイヤレスヘッドセットと同様に、PCやスマートフォンとBluetooth接続して普段使いすることも可能だ。

 筆者が『PULSE Explore』のレビュー時に驚かされた、PlayStation LinkとBluetoothの同時接続については本製品でも可能となっており、ほかの機器と接続した状態でも、そのままPS5に接続してプレイすることができるようになっている。取り回しを考えると『PULSE Explore』ほどのメリットは感じづらいかもしれないが、それでもプレイ環境をシームレスに移行し、その気になればDiscordなどのツールと併用しながら使用することができるのは、やはり他製品にはない大きな魅力と言えるだろう。

 取り回しといえば、本製品には付属品として「チャージングハンガー」が用意されており、ヘッドセットホルダー兼充電スタンドとして使用することができる。本製品自体は1回の充電で約30時間ほどの使用が可能となっているため、必ずしも頻繁に充電する必要はないのだが、だからこそいざという時にバッテリー切れに悲しむことのない配慮がありがたい。また、マイクについても通常時は格納されているが、引っ張って好きな位置に動かせるブームマイク仕様となっている。各種ボタンについても、マイクの消音切り替え/ペアリング/音量調整がそれぞれまったく異なる位置かつ異なる大きさで配置されているため「どれがどのボタンだっけ?」と混乱することの少ないデザインになっているという印象だ。総じてシンプルかつ使いやすいヘッドセットという印象である。

より没入感のあるゲーム体験を、長時間じっくりと楽しめる良質なヘッドセット

 ここからは、肝心の実際の使用感について書いていきたい。まずは装着感についてだが、耳元にはふっくらとした大きなカバーが用意されており、耳全体を優しく覆ってくれる。頭頂部においても、硬いプラスチック部分の下部にソフトなカバーが付いた構造となっており、全体的にストレスを緩和するつくりになっているのが印象的だ。実際、今回のレビューに際して数時間ほどヘッドセットを使い続けていたのだが、特に痛みや締め付けに悩まされるようなことは無かった(余談だが、筆者は普段メガネを使っているが、フレームの存在が妨げになることもなかった)。ヘッドセットによっては長時間の使用が難しかったりすることがあるのだが、本製品ではそうした悩みは(もちろん個人差はあるだろうが)あまり心配しなくても良さそうだ。

 肝心の音質については、やはり実際のゲームプレイで抜群の真価を発揮する。PS5の「3Dオーディオ」とPlayStation Linkのロスレス技術の恩恵は大きく、どのようなタイトルにおいても、立体的な音響が生み出す没入感のあるプレイ体験を味わうことができる。たとえば、『Apex Legends』のようなFPSでは、各プレイヤーの足音や発砲音について、その方向を含めてかなり正確に把握することができるし、『グランツーリスモ7』のようなレースゲームでは迫力のあるエンジン音に圧倒される。

 そのなかでも特に圧倒されたのは(『PULSE Explore』のときにも取り上げたが)映画的な演出をふんだんに取り入れた『Alan Wake 2』で、鬱蒼とした森のムードや雨音などのリアリティはもちろんのこと、各キャラクターの台詞がしっかりとその方向から聴こえてきたり、ホラー演出が聴覚全体に襲いかかってくるような恐ろしさで響き渡るために、スピーカーでプレイしていたときよりも遥かに高い没入感を味わいながら作品に浸ることができた。普段、スピーカーで満足にプレイできているという方にも、ぜひこの体験に触れてみてほしい。きっと新たな発見がそこにあるはずだ。

 また、普段使いにおいても(さすがに数万超えの高級ヘッドセットと同等とは言わないが)、さすがソニー製品ということで、どの音楽とも相性の良いフラットな音づくりと良好な解像度を楽しめる仕上がりになっている。今回はスマートフォン+Bluetooth環境でいろいろな楽曲を聴いてみたのだが、The Last Dinner Party「Nothing Matters」では吐息の質感も含めたボーカルの歌声の魅力や、美しい余韻とともに鳴り響く楽器が織りなす至高の空間を存分に楽しめるし、Beyoncéの「TEXAS HOLD ‘EM」では軽快に響き渡るバンジョーの音色を筆頭に、小気味良いカントリー・サウンドを楽しむことができる。『PULSE Explore』は完全ワイヤレスイヤホンということもあって、ヘヴィなサウンドやEDMが弱点なところがあったのだが、『PULSE Elite』はヘッドセットということもあって、Bad OmensとPoppyの「V.A.N」のようなヘヴィ・ロックにおいてもしっかりとキレのある音像と深く沈む低音で表現してくれるし、HardwellとBassjackersの「Energy」では引き締まったキックの音色から激しいシンセの音までしっかり鳴らしてくれる。また、ここまで鳴らしてくれるからこそ、Spotify(標準音質)とApple Music(ロスレスオーディオ)の音質の違いをしっかりと感じることができたのもうれしい驚きで、ゲーム目的でここまでの音を出してくれるのであれば、個人的にはかなり満足度が高い。

 というわけで、使用感から実際の音質に至るまで『PULSE Elite』の個人的な評価はかなり高い。正直、昨年の発表時点では『PULSE Explore』と同様に、実際に手に取るまではそこまで必要性を感じることがなかった同製品だが、やはり想像以上に良い製品であるということを強く感じさせる体験を味わうことができた。今後のPlayStationブランドの展開にも注目したいところである。

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