ごく普通の大学生がマッチングアプリで大親友を作った話 in LA

　YouTube、TikTok、そしてX…… 筆者がSNSを開くと、たちまち目に映るのは「マッチングアプリ」関連のコンテンツ。

　たとえば、YouTubeの動画視聴中に流れてくるのは、人気タレントの映る洗練されたマッチングアプリの広告。Z世代人気の高いYouTuberは、視聴者から寄せられた「マッチングアプリ」での経験談について議論し、なかには自身の体験談を赤裸々に語る発信者もいる。

　また近年では、マッチングアプリの戦術を伝授する発信者も多い。アプリ上で掲載される個人写真の選び方、自己紹介の書き方、メッセージの返信速度など、そのほとんどがマッチングアプリ内で完結されるものだ。そんな現状を客観的に見ていると、筆者はこんなことを考えてしまう。

　「純粋に出会いを楽しめているユーザーは、どれほどいるのだろう……」

　そんなことを考えていたある日、筆者はこれまでの人生史上、最高の出会いを経験してしまった。場所はアメリカ・ロサンゼルス。しかもマッチングアプリを通じて。

　今回の記事では、筆者が海外でマッチングアプリを始めた経緯、そしてどのような活用によって素敵な体験を得られたのかについて紹介する。選択肢の多い現代において、この記事が誰かの前向きな一歩を踏み出すきっかけになると嬉しい。

YOUは何しにアメリカ・ロサンゼルスへ？

　まずは簡単に、海外へ行った経緯をお話する。現在大学4年生で、今年の3月に大学卒業を控える筆者は、「卒業前に何か大きなチャレンジがしたい……」という野望を抱いていた。こうして結果的に選んだのが「海外1人旅」だった。

　とは言っても、海外経験がほとんどなかった筆者。当然、各国の治安問題や物価に関して、そして地理的な知識すら乏しかった。そんななか、語学学習も兼ねて英語圏の国に絞って行き先を決める時に、友人から「（筆者は）アメリカだったら西側ってイメージだな〜」と一言。単純すぎる筆者は、その言葉だけを頼りに初・一人旅の行き先を決めてしまった。

　そしていざ、ロサンゼルスへ。実際に行ってみると、この都市を選んで正解だったとすぐに感じられた。

　たとえば街を歩いていると、「あなたの髪色最高だわ！」「ネイル可愛いわね」「そのニット素敵！」などと、通りすがりの見知らぬ人にたくさん褒められた。こんなにも美容やお洒落に投資してよかったと思えたのは、人生で初めてかもしれない。

　たとえ相手が知らない人だとしても、思ったことは素直に伝える。そんなロサンゼルスに住む人々の人柄に、何度も心が温まったのだった。

いざ、マッチングアプリ開始。

　実は筆者、短期で語学学校にも通いながら旅を楽しんでいたのだが、旅の前から「現地の友達を作る！」という目標も立てていた。当然、語学学校で出会う友人は日本人と同様、英語を学びに来る他国の生徒。ロサンゼルスに住む現地の友達を作るには、自分の力で何かアクションを起こす必要があった。

　そんな時に初めてみたのが、Bumbleというマッチングアプリだ。

 

　Bumbleは、2014年にサービスを開始したマッチングアプリ。創業者であるWhitney Wolfeという女性は、Tinderの立ち上げ当初から開発に関わり、その後独立を果たしてBumbleをスタートしたという。

　そんなBumbleだが、興味深いのが活用目的の幅広さ。日本でマッチングアプリと聞くと、恋人探しというイメージが広がっているが、Bumbleでは恋愛以外にも様々な交友関係が築ける。

　使い方は「Bumble Date」、「Bumble Bizz」、「Bumble BFF」という3つがあり、それぞれ恋人作り、ビジネスパートナー作り、友人作りに役立つ。そうして筆者が活用したのが、友達作りのための「Bumble BFF」だった。

　基本的なUXは、日本で一般的なマッチングアプリとほとんど変わらない。いくつか言及すると、まずTinderと同様に自身の現在地から相手ユーザーとの距離が表示されるため、必然と"距離的に会いやすい人"と繋がる仕組みになっている。

　マイページも色々とカスタマイズできるようになっていて、たとえばSpotifyと連携して自身のよく聴くアーティストを自動表示でき、またInstagramと連携して自身のフィード投稿の一部を見てもらうこともできる。

 

　実際にやってみた肌感だが、「Bumble BFF」に関して言えば、現地ユーザーはかなりライトにマッチングアプリを活用していると感じた。自己紹介文は簡潔にまとめるユーザーが多かったし、大半のユーザーが「休日一緒にお洒落なカフェ行ける人探してる〜」「最近こっちに引っ越してきたから誰か友達になろう〜」みたいなノリだった。純粋に新しい出会いにワクワクしながらアプリを使っている人が多い印象で、筆者は密かに嬉しかった。

ロサンゼルスにて、マッチングアプリの醍醐味を生で味わう……

　英語が流暢でない筆者は、時々Google翻訳に頼りながらも、合計5〜6人ほどのユーザーとマッチングし、チャットでお話をした。趣味で繋がるユーザーが多く、好きな音楽や映像の話をすることが大半だったが、「この子気になる！」と思った時はすぐに自分からアクションをするように心がけていた。

　そしていざ、1人の女の子と対面で会う約束を……！休日の午後2時に、ダウンタウンにあるカフェにて待ち合わせをすることになった。

　結果、会ってすぐに意気投合し、その翌日もドライブやショッピングへ！そんな彼女とは、帰国後の今でもずっと連絡を取り合う仲に。国内でもこんなに気の合う友人を作るのは難しいのでは？と思うくらい、本当に大親友と呼べるような、そんな人と出会えたのだ。

 

　余談だが、実は会う日の前日、お世話になっていたホストマザーに「アプリで知り合った女の子と明日会ってくる！　楽しみ！」と伝えると、

　"Huh?! Awww…… Okay, anyway, be careful. "

　こんな感じで、かなり青ざめた表情（ちょっと怒ってた？！）で言われていたのだ。そんなことがあった翌日だったため、実はかなり緊張していたし、何かあったらどうしようかなんて、不安もゼロではなかった。もし相手がおじさんだったら、宗教に勧誘されたら……いまではすべて笑い話になったが。改めて、本当に海外でマッチングアプリを使ってみて良かったなとしみじみ感じている。

いつまでも出会いにワクワクする人生でありたい

　アメリカひとり旅を終えて約1ヶ月経ったが、いまでも鮮明に覚えているのは、見た景色でも、食べた味でもなく、出会った人たちの顔だった。意外な場面にも出会いは広がっていて、ふらっと立ち寄った雑貨屋さんのオーナーや、語学学校のあるビルの警備員さんなど、なかにはドライブやディナーに行くまで仲良くなった方もいた。どんな場所で、どんな会話をし、どんな感情の揺らぎがあったか、友人に語れるくらいには記憶に残っている。

　そして今回、私はBumbleを通して素敵な出会いを得ることができたが、マッチングアプリは出会いの手段の一つに過ぎない。ぜひ新しい出会いへのワクワクを絶やさずに、マッチングアプリなどのツールとは向き合っていきたいものだ。

　拝啓 Bumbleよ。最高の出会いをありがとう！！　読者の皆さんにも素敵な出会いがあることを願って、今回の記事の結びとする。