なぜ”平成”コンテンツはZ世代女子を虜にするのか 「平成女児」「平成ギャル」の流行から考える

”平成”コンテンツがZ世代女子の心を掴む理由

 いま、Z世代の女子たちにとって熱いワードのひとつが”平成”である。当時爆発的な人気を誇っていたバンダイのおもちゃ「たまごっち」ブームが再来したり、マクドナルドで平成のバーガーが復活したりといったニュースは大きな話題を呼んだ。また、平成リバイバルはファッショントレンドにもなっている。特に、90年代ギャルのアイコンであったルーズソックスやへそ出しルックなどは「Y2Kファッション」として再び人気を集めている。

2023年にバンダイから発売された「Tamagotchi Uni」。たまごっちたちのメタバース・「Tamaverse」で世界中のユーザーが育てたたまごっちと交流できるのが特徴。(バンダイ公式サイトより)
2023年にバンダイから発売された「Tamagotchi Uni」。たまごっちたちのメタバース・「Tamaverse」で世界中のユーザーが育てたたまごっちと交流できるのが特徴。(バンダイ公式サイトより)
マクドナルドで期間限定販売された、平成生まれの大人気バーガー3種。(マクドナルド公式サイトより)
マクドナルドで期間限定販売された、平成生まれの大人気バーガー3種。(マクドナルド公式サイトより)

 ”平成”コンテンツが大衆人気を獲得した理由の一つに、10代〜20代に利用されているプラットフォームであるTikTokにおいて流行したという点が挙げられる。なかでも興味深いのが、TikTokの「#平成女児」というハッシュタグである。これらのハッシュタグでは、シール交換をしたり、ニンテンドー3DSで遊んだりする様子が投稿されている。コメント欄には、子どものころ夢中になったキャラクターグッズの数々を見て、ノスタルジックな気持ちにひたる大人が続出した。

 また「#平成ギャル」というハッシュタグの動画では、懐かしいというコメントに加え、その時代を知らない世代からも「おかんがこんな感じだった、ほんとにあこがれ」といった肯定的なコメントが目立った。

 元号が平成から令和に変わってから6年が経ったいま、「なぜ”平成”コンテンツは実際にその文化を経験したかどうかにかかわらず、Z世代の女子を夢中にさせるのか」について本記事で分析していく。

TikTok「#平成女児」に投稿された動画

・平成女児パッキング

@fancy_merara 妄想パッキングごっこ楽しい☺️日曜日に家族でジャスコに行くのが最高のレジャーだった🥰#平成 #懐かしい #パッキング #ラブandベリー #ワンタメ ♬ オリジナル楽曲 - 平成女子♡めぐ

懐かしいグッズが数多く登場する平成女児パッキング

 この動画は、平成に流行したキャラクターグッズやおもちゃをパッキングするという内容。コメント欄では、「なんかもう懐かしすぎて泣きそう嬉しい戻りてぇな」「97です。ぜんぶぜんぶ自分がハマったもので、子供の頃にタイムスリップできたみたいで嬉しい☺️」などといったコメントが寄せられた。“平成女児”だった筆者にとっても、懐かしいものばかりだ。なかでも、気になるものをいくつかピックアップしてみる。

・ラブベリカード

渋谷PARCOで開催された「ラブandベリー」のコラボカフェは、当時のファンから大きな反響を呼んだ。(ラブベリ - オシャレ魔女 ラブ and ベリー 通信 公式サイトより)
渋谷PARCOで開催された「ラブandベリー」のコラボカフェは、当時のファンから大きな反響を呼んだ。(ラブベリ - オシャレ魔女 ラブ and ベリー 通信 公式サイトより)

 2000年代半ばにセガから登場したキッズカードゲーム『オシャレ魔女 ラブ and ベリー』のカード。同ゲームは「ラブベリ」の相性で親しまれ、社会現象を巻き起こした。実際に筆者もラブベリをプレイするために、町に一つしかないゲームセンターに連れて行ってもらっていた記憶がある。

藤田ニコルがディレクションするファッションブランド「CALNAMUR」ともコラボを実施。(CALNAMUR公式サイトより)
藤田ニコルがディレクションするファッションブランド「CALNAMUR」ともコラボを実施。(CALNAMUR公式サイトより)

 23年5月には藤田ニコルがディレクションするファッションブランド「CALNAMUR(カルナムール)」とコラボし、作品をイメージしたポップなファッションアイテムを発表した。7月には、渋谷で「オシャレ魔女 ラブ and ベリー オシャレまほうカフェ」を期間限定でオープン。あまりの人気に、期間が1ヶ月延長されることとなった。

・メゾピアノ

平成のジュニアブームを牽引したナルミヤキャラクターが令和に大集結。(NARUMIYA ONLINEより)
平成のジュニアブームを牽引したナルミヤキャラクターが令和に大集結。(NARUMIYA ONLINEより)

 アパレル会社『ナルミヤ・インターナショナル』が展開している子ども服ブランド。同社は、他にも「エンジェルブルー」「デイジーラヴァーズ」「ポンポネット」「ブルークロスガールズ」などの大人気ブランドを展開している。

 平成15年生まれの筆者も、小学生時代はメゾピアノの服を着て学校へ行き、ポンポネットのお弁当箱を広げていた。動物をモチーフにしたキュートなキャラクターは、いま見ても胸がときめく。

 2021年からは大人になったブランドのファンに向けたファッションアイテムやコスメなどを期間限定で販売しており、アイテムの売り切れが続出するほど高い人気を集めている。

・HONEY BEE(携帯電話)

京セラから女子中高生をターゲットにして販売されたカラフルな携帯電話「HONEY BEE」。(京セラ株式会社公式サイトより)
京セラから女子中高生をターゲットにして販売されたカラフルな携帯電話「HONEY BEE」。(京セラ株式会社公式サイトより)

 2008年に女子中高生をターゲットにして販売された携帯電話。名前の通りミツバチをマスコットキャラクターとしている。全体的にポップなカラー及びデザインが特徴で、WX334Kのように折りたたみ型の機種も存在するが、ほとんどがストレート型である。待ち受け画像が、ミニーマウスのよくわからないポエムの画像である点も平成を感じるポイントだ。

TikTok「#平成ギャル」に投稿された動画

・平成ギャルのこだわり

@gyaruzu3 平成ギャルこだわり😏✨ 共感できる人いますか? 皆さんお久しぶりです! ぎゃるず投稿再開致します。 これからもぎゃるず3人をよろしくね😊 @みぃ🥂️🫧 @ぱき🎧 @👅🎮めがね女子🐼🎧👻 #平成ギャル#高校生#ギャル#ギャル好き集まれ #ギャルしか勝たん #推してください#ぎゃるず ♬ オリジナル楽曲 - 𝓜

平成ギャルの特徴を細かく解説したイラスト

 180cmのルーズソックスやドンキホーテの付け爪など、当時のギャルの特徴をイラストで紹介している。コメント欄では「やっぱり平成ギャルが1番かわいい。今のは物足りない」「やっぱギャルってこれだよかわいい!!!!!!戻りたい!!!!wwww」といった平成ギャルを絶賛するコメントが寄せられた。また、「幼稚園とか小学生で憧れてた高校生はこれだった😭いざ高校生になった時には地雷系が流行ってました😂」など、「やりたかったけどできなかった」というZ世代からのコメントもあった。

・現役JKによる平成ギャル

@y.m1__u_ 平成ギャルだお^_−☆ #04 #jk #ギャル #平成ギャル ♬ オリジナル楽曲 - みちゃき - M

現役JKが平成ギャルのヘアメイク・ファッションを再現した動画

 04(2004年生まれ)の女子高生たちが平成ギャルの服装やヘアメイクをした動画を投稿している。小麦色の肌やシュシュで結んだ前髪など、細かい部分まで再現されており、127.1Kのライクと500件以上のコメントを集めた。コメント欄では完成度の高さに感嘆の声が上がった。また、「ガラケーにはガラケーの大きさを超えるキーホルダー付けましょう🥰By元平成ギャルより」など、元平成ギャルからのアドバイスもあった。

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