Z世代の女子学生が予測する“2024年のトレンド” キーワードは「推し活」と「SNS」

Z世代女子学生が予測“2024年のトレンド”

 Z世代向けのサービス企画・コンサルティングやSNS運用代行を提供する株式会社seamint.が、全国の中学生・高校生・大学生約2,000人に対するアンケート調査に基づく、「Z世代の女子学生が選ぶ2023年トレンド大賞&2024年トレンド予測」を発表・解説するイベントを開催した。

 本イベントはseamint.が発表した「2023年トレンド大賞」と「2024年トレンド予測」の結果を元に、現役大学生含むZ世代女子が登壇し、Z世代トレンドの解説を行う。イベント中には質疑応答の時間も設けられ、会場にはトレンド傾向が気になる人や、Z世代の消費行動をマーケティングに活かしたい大人たちが集まった。

 イベント前の待機時間には、TikTokで流行った2023年のトレンドソングがBGMで流され、平成の小学生に流行した「プロフィール帳」に登壇者のプロフィールを記載したものが配布された。この「プロフィール帳」もまたトレンドとして再燃しているという。

 イベント冒頭では、Z世代の特徴や、いまZ世代に注目する意味を解説。特にZ世代幼少期からネットに触れておりデジタル慣れした存在であることや、デジタルサービスにすぐ順応できることを指摘した。Z世代にSNSでのコミュニケーションは欠かせないようだ。また「エモ消費」といって、Z世代は「他者や世間的からの評価でなく、自分の満足感を重視している」とのこと。メリハリを持って消費行動をしており、服は安価なGRLやSHEINを選ぶが、バッグはハイブランドであることに言及。こうした消費行動は食事にも現れており、「2023年トレンド大賞」には丸亀製麺の「シェイクうどん」がランクインしている。

 続いて、「2023年トレンド大賞」の解説に移る。今年のトレンドのキーワードは「親しみやすさ」、「共感」、「+αの余白」の3つだ。飾らない自分や、マイルドに本音を明かすことが今のZ世代に重視されているという。

 また、ランキングで1位になった「ChatGPT」については、現役の慶應大学院生でもあるseamint. CEOの朝比奈ひかりが「ChatGPTと考察の壁打ちをして思考を深めている」と回答。インターンの上村ゆなは「就職活動のESで誤字脱字をチェックしたり、推敲に使っている」と話す。上村にとってChatGPTは「就活の相棒」だそうだ。今回の集計を終えてChatGPTが1位となった理由には、Z世代の生活がChatGPTの出現で変わり、その後の生活にも定着したことを挙げる。今のZ世代は日常のちょっとした不安や相談事にもChatGPTを利用しているという。

 2位の「ちょんまげ小僧」は、突如注目を集めた中学生YouTuberである。人気の理由に、今のZ世代ゆえのリテラシーの高さを言及する声も。自分たちで動画編集をするスキルの高さもあり、まさに期待の新星だ。ソフトバンクのCM出演も決まり、活躍の幅を広げている。

 3位には「BeReal」がランクイン。SNSアプリ「BeReal」は、ランダムに通知が来て2分以内に「今何をしているのか」を撮影、投稿する、 “ありのまま”にフォーカスしたSNSだ。加工機能がなく、友だちが今何をしているのかがわかることがZ世代からの人気の理由であり、気取らない付き合いができるリア友との間で活用されている様子。2分以内に撮らなければいけないため、友人のリアルな寝起き姿などを見ることができ、「特別な気分になれる」そうだ。 

 4位以降はアニメ「推しの子」や、ゲーム「スイカゲーム」、TikTok内で流行した「なぁぜなぁぜ」や「ストリートスナップ」がランクイン。印象的だったのは「なぁぜなぁぜ」、「ストリートスナップ」などショート動画由来のものがランキングに入ったことだ。TikTokで流行した動画の型が“バズりやすいネタ”を飛び越えて日常生活にも馴染んでいったことが体感できる。Z世代にとってのSNSは、インターネットの中の切り離された世界ではなく日常と地続きだ。

 続いて「2024年トレンド予測10選」の解説では、「推し活」と「SNS」がキーワードに挙がる。この推し活とSNSはそれぞれが独立したものではなく、相互に作用しあって影響力を持っているようだ。トレンド予想10選に選ばれた「FRUITS ZIPPER」はまさに、TikTokをきっかけに注目されたアイドル。レコード大賞新人賞受賞に武道館ライブも決定し、リアルでも影響力を拡大中だ。上村いわく「ファンは女の子や、イケてる若い人」なので、従来のアイドルファンとは大きく印象が違うという。盛り上がり方も従来のコール&レスポンスだけではない。ライブ中にTikTokを撮影してSNSにアップし、それがまたバズるなど、SNSの使い方が上手いことが特徴だ。

 トレンド予想10選に「鈴木愛理」の名が挙がっていたことにも驚いた。鈴木は幼い頃からハロー!プロジェクト所属のアイドルとして活動しており、°C-uteのメンバーとして人気を博していた。°C-uteが解散し、ソロシンガーや女優として活動するいま、なぜZ世代から支持されているのかと不思議だったが、理由はTV番組の企画でアニソンのカバーを歌唱したことだった。とりわけYOASOBIの「アイドル」をカバーした動画が一気に拡散され、アイドルファンから一般層にまで知れ渡ったようだ。

 他にも、男性アイドルグループ「Number_i」が選ばれるなど、推し活はZ世代の生活にとって非常に大きな割合を占めている。ブームのきっかけも、かつてのテレビ、CDから配信、SNSに移るなどして、大きく変化した。

 2023年も残りわずか。2024年もビジネスシーンやトレンドを語るにZ世代の存在は無視できないだろう。どんな事象がトレンドとしてあがり、世の中にどう反映されていくのか、引き続き見守っていきたい。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる