『今日好き 九龍編』5話ーー「友達止まりは嫌……」 毅然とした態度の女子は報われるか?
るい、そらを振り向かせる朝デートで“ピアノの連弾”に挑戦
るい(村澤瑠依)は本当に優しい。筆者がもし彼と同じ立場だったら、意中の相手に「お前が始めた物語だろ」とでも言ってしまいたくなるはず。初日のランチで、そら(中川そら)と2ショットに誘われたところをピークに、第一印象で気になった女子には目もくれず、彼女にだけ意識を向けてきながらも、その恋物語は右肩下がりな展開を継続中。もちろん、そらが初日から最終日まで、るいとともに過ごす義務も、ほかの男子を意識してはならない制約も存在しないが、るいにとっては、日増しに落ち着かない感情が膨らむばかりだ。
そんな状況下で、3日目の朝デートに。そらを女子部屋から誘い出すと、るいは以前の約束通り、ピアノの腕前を披露する。『今日好き』に登場する楽器といえば、アコースティックギターが定番なだけに、ピアノが映るのはなかなか新鮮。るいの好青年ぶりをますます輝かせるかのようだ。
まずは「Summer」から「人生のメリーゴーランド」と、久石譲メドレーを届けると「弾く? 一緒に」とお誘いを。用意してきたのは「猫踏んじゃった」。そらには、自身と呼吸を合わせながら、黒鍵ひとつだけをタイミングよく鳴らす役割をお願いした。きっと、自身の演奏から連弾に繋げたり、そらでも簡単に弾ける楽曲をセレクトしたりと、昨晩のうちに色々と考えを巡らせてきたのだろう。
勝手ながら、ここで思い出されたのが『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』にて、主人公の碇シンジが、謎の青年・渚カヲルとの連弾を通して、徐々に心を開いていったシーン。劇中では「上手く弾く必要はないよ。ただ、気持ちのいい音を出せばいい」「ピアノの連弾も音階の会話さ」なんてセリフもあったわけだが、るい×そらの様子を遠目に見ていると、本当にその言葉通りだと思わされる。
しかも、彼らはもしかすると、恋人になるかもしれない間柄。ひとつの椅子を分け合う距離感や、微かに指が触れ合うあたり、これまでにはなかった新しい感情が芽生えていっているはず。彼らを見守る我々視聴者ですら、甘酸っぱい想いを勝手に共有しているのはどうしてなのだろう。
もう少しだけ深く考えると、るいは2日目までアピールを続けてはいたが、それは裏返せば、恋愛的な主導権を握っていたのがそらの方だったといえる。だが、連弾を通して彼女をリードすることで、自身の方に主導権を引き戻す……。そんな意味合いもあったのかもしれない。るい自身は、昨晩までの“しんみりムード”を、なんとか明るい雰囲気に変えたかったとのことだったため、これはさすがに深読みしすぎだろうか。そして、そらの想いは揺れ動いたのか……。