言葉の壁がキスシーンに影響　『韓国ドラマな恋がしたい』は新しい恋リアトレンドを作る？

　今年もさまざまなオリジナル設定の恋愛リアリティーショーが放送されてきた。しかし、個人的な“最高傑作”の恋リアを聞かれたら、間違いなく『韓国ドラマな恋がしたい』を挙げるだろう。本シリーズはキスシーンのある恋愛ドラマの共演で俳優と女優は恋に落ちるのかを追った恋愛番組。『脱出おひとり島』『あいの里』を贈り出してきたNetflixが、恋愛番組『恋愛ドラマな恋がしたい』シリーズを制作・配信する「ABEMA」とタッグを組むなんて、面白くないわけがない。

日本からも演技経験豊富なメンバーが参加

　この『ドラ恋』シリーズでは恋愛ドラマでのキスシーンを通じて、俳優と女優が実際に恋に落ちる可能性を探るのだが、今回ペアになるのは日本と韓国の計8人の俳優。すベてのロケはソウルで行われる。彼らは、ドラマの主演を勝ち取るためにオーディションに挑むのだが……。韓国ドラマのような高い純度のロマンスとリアルな切なさが、未だかつてない“最高潮”の連続を生み出す。

　日本からの参加メンバーとしては、主役やキスシーンの経験豊富な山下リオをはじめ、10年近い演技経験を持つ若手の工藤綾乃と北原帆夏がいる。また、E-Girlsの元メンバーで俳優に転身した坂東希も参加。韓国からは、ドラマ『女神降臨』や『還魂』に出演した経験豊かなウォンシク、モデル活動もするドンギュとテギュン、日本でSUPERNOVA（超新星）のメンバーとして活動し、俳優に転身したジヒョクが加わる。

「話にならない」と厳しいFBが飛び出すシーンも

　まず番組の大きな魅力は、妥協を許さないハイクオリティなドラマパートにある。今回のオーディションは非常に本格的で、映画界で活躍する現役俳優や演技コーチ、『梨泰院クラス』（Netflix）の制作スタジオの本部長や映画制作会社の代表などが厳しい審査を行う。最初のオーディションでは、審査員から「話にならない」という厳しいフィードバックが飛び交う場面も。短いながらも各ドラマのストーリーは見ごたえがあり、ファンタジーから余命もののシリアスなドラマまで、どのペアがどんな物語を演じるかも注目のポイント。「演技にその人の感情表現の波や人柄が表れる」とはよく言われるものだが、役者たちの“演技の真髄”がみられるのも見どころの一つだ。

　また『韓国ドラマな恋がしたい』は、番組最大の見どころである「恋」がだいぶ過酷な雰囲気を纏っているのも視聴者としてはたまらない。その理由の一つが、韓国が舞台となるからこその言葉の壁だ。一部の韓国俳優は日本語が話せるものの、日本の俳優たちは韓国語を話せないため、男女間のコミュニケーションは翻訳アプリに頼ることに。それゆえ、非言語コミュニケーションが際立つ場面も多い。加えて言語が通じないからこそ、ドラマパートでのキスシーンの“意味合い”がだいぶ心境に関わる部分もあるのだろう。韓国俳優たちの紳士的なリードが、女性陣を徐々に恋愛モードに変えていき、完全に予測不能な“ドラマみたいな恋”が始まっていく。

韓国ドラマの聖地巡礼要素も

　さらに、メンバーたちの関係を深める場所も、運命の出会いにふさわしい韓国ドラマのロケ地となっている。ドンギュが希と出会った場所は、『わかっていても』でジェオン（ソン・ガン）とナビ（ハン・ソヒ）が出会ったJR PUB。ウォンシクが第1話で女性メンバーを待ち受けていたのは『スタートアップ：夢の扉』（Netflix）のロケ地、ヨイド漢江公園だ。テギュンが女性メンバーを待ち受けた場所はバンポ大橋で、『梨泰院クラス』でのイソ（キム・ダミ）とグンス（キム・ドンヒ）のシーンの撮影地でもある。華やかなロケ地に美男美女8人が揃うだけで“映え”てしまう。

　オーディションの合間のデートシーンでは、大人気のクァンジャン市場、デートスポットとして有名な漢江、梨泰院のスタイリッシュなワインバーなど、韓国の若者に人気の場所が多数登場し、韓国の最新トレンドを垣間見ることができる。韓国と日本の距離を考えれば、聖地巡礼もそう難しくはないだろう。

　『韓国ドラマな恋がしたい』には、数多くの“ドラマ”が詰まっている。8人の登場人物にはそれぞれの物語があり、その結末がハッピーエンドであるとは限らない。ただ一つわかるのは、恋リア戦国時代に新たなトレンドを生み出す、最高のコンテンツが誕生したということだけだ。この冬をホットに彩る、“韓国ドラマな恋”はもう始まっている。

■詳細
『韓国ドラマな恋がしたい』
2023年11月28日よりNetflixにて配信中