『ゲイと女の5点ラジオ』しょうちゃん×ヴァジャが語る“どこにも属せない私たちの番組作り”

『ゲイと女の5点ラジオ』流の番組の作り方

霊感商法に自己啓発セミナー……トークで「黒歴史をはやく換金したい」 

――ポッドキャストを続けるなかで、手応えを感じた瞬間はありますか?

ヴァジャ:この回をきっかけにブレイクした、みたいなのは全然なくて。もう毎日地道なことをやってきただけなので。最初の頃は、Twitter(現X)で毎日100人フォローしたりもしていました。本当にジワジワとリスナーが増えていった感じですね。

――そんな地道な努力もされていたんですね。

ヴァジャ:私たち、最初から絶対にこれを仕事にするって決めてたので。「好きだから趣味でやってるんです~」みたいなことではなくて。だから必死の営業活動を毎日してました。

しょうちゃん:毎月月末にヴァジャさんからレポートが届くんですよ。今月はこのくらいリスナーが増えました。でも、来月までにここまで増えなかったら、もうポッドキャストは辞めます、みたいな。もうとにかく厳しくて。

ヴァジャ:営業とかやったことないんですけど、レポートをつくりながら「私、もしかしてめちゃくちゃ営業に向いてるのでは」とか思ってました(笑)。

――最初から仕事にすることを意識していたというのは、すこし意外でした。

ヴァジャ:趣味でなにかをやる、みたいな感覚がよくわかんないんですよ。多分、それは親の影響もあって。子どもの頃、結構いろんな習いごとをさせてもらったんですけど、ちょっと経つと「プロになる気はあるの?」って聞いてくるんです。それで「そこまで本気じゃないかも」と答えると、すぐに辞めさせられちゃうという。小学校5年生のときに、「音楽家か、書道家か、医者か、官僚か、どれになるか選びなさい」って言われて、ドン引きしたのを覚えています。だから「楽しいからやる」みたいな感覚がわからないままで、いまも趣味とか全然ないんですよね。

しょうちゃん:私はそこまで極端ではないですけど(笑)。でも、趣味であることを言い訳にしたくはないというか、どうせだったらお金をもらえるくらい価値あるコンテンツをつくりたい、というのは最初から思っていました。あとこれは番組でもよく話していますけれど、私は20代のころに自己啓発セミナーにハマって、時間もお金もたくさん無駄にしたので。そのことを面白おかしく話すことで「黒歴史をはやく換金したい」みたいなところもありますね(笑)。

ヴァジャ:しょうちゃんは自己啓発セミナーで、私は霊感商法。でも、いろんな経験をしておいてよかったと思います。一生ネタにできますからね。当時はそれどころじゃなかったですけど。

――そういう経験をしているおふたりだからこそ伝えられることも絶対にありますよね。

しょうちゃん:どんなお悩みに対しても「正論」を吐かなくなった、というのはあるかもしれません。自己啓発セミナーで言われるがままに転職して、引っ越しして、挙げ句に借金まで背負って。そういう経験をしていると、クリーンなだけの「正論」なんてなんの救いにもならないことが身にしみてわかるんです。

ヴァジャ:綺麗ごと、言おうと思えば言えるんですよ。でも言っても解決しないのはわかってるからね。だから本当に思っていることしか言いません。

拒食症に苦しんでいるリスナーに、ヴァジャがかけた言葉

――これまで番組を続けてきて、特に嬉しかったことはありますか?

しょうちゃん:ポッドキャストは毎週月曜日に配信しているんですけど、「月曜日が憂鬱なのを乗り越えられるのは5点ラジオのおかげ」と言ってくださる方が結構多くて、それは嬉しいですね。

ヴァジャ:そうやって楽しみにしてくれてる人がいると、私たちにも居場所ができたような感じで嬉しいよね。

しょうちゃん:あとほら、拒食症のリスナーさんからのお便り。

ヴァジャ:あ~! あったねえ!

しょうちゃん:すごくざっくり言うと、「拒食症で苦しんでます」っていうお便りに対して、ヴァジャさんが「体型じゃなくて髪のツヤとか気にしてみたらどうですか」って答えたんですよ。

ヴァジャ:髪のツヤってやっぱり栄養とか睡眠が大事なので、健康にならないと得られないんですよね。それに、どんなにスタイルがよくても、髪の毛がパサパサだとあまり印象が良くないじゃないですか。だから、特に深くは考えず、素直にそう答えたんです。

しょうちゃん:そしたら数カ月後にまたお便りがきて、「お陰様で拒食症が治りました」って。しかも「昔から夢だった飲食店を間借りではじめて、それが雑誌で取り上げられましたって」いう報告まで添えられていて。あれは嬉しかったよね。

――めちゃくちゃいい話ですね……! そんなおふたりとリスナーが、これからどんな番組と作っていくのか、とても気になります。最後に、今後の展望や目標があれば教えてください。

ヴァジャ:もっと色んな場所でイベントを開催できたらいいなと思っています。まだ東京と大阪でしかイベントができてなくて、いろんな場所に住んでる方からウチにも来てくださいとお声がけいただいているので。

しょうちゃん:これ一本で食べていけるようになったらいいですよね。そのためにも、ぜひポッドキャストの方にもスポンサーがついてほしい……!  素敵な企業さんからのお声がけ、お待ちしています!!  そして5点ラジオのオフィシャルストア『五点倶楽部』もよろしくお願いします。

ヴァジャ:私、子どものころからラジオが好きだったので、一通のハガキをきっかけに、なにかモノが生まれたり、大きなイベントにつながったり、みたいな流れにすごく憧れがあって。私たちの番組でも、リスナーさんからのふとしたメールとか、お便りをきっかけに、なにか形に残るものがつくれたらいいなと思っています。みんなで面白いねって言いながら、本気でふざけたい。スタッフさんやリスナーさんとともに、そんな番組が作れたらいいですね。

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