『ゼルダTotK』から『Alan Wake 2』まで GOTYノミネートの6作品、選出の理由を考察する
バイオハザード RE:4
2004年発売のサバイバルホラー『バイオハザード4』を元にしたリメイク作品。ロス・イルミナドス教団に誘拐された大統領令嬢を救うため、エージェントのレオン・S・ケネディがヨーロッパの村を訪れるという内容だ。
19年越しのリメイクにあたって、画質が向上しているのはもちろんのこと、明暗や影などの表現が強化されたことにより、ホラー要素がオリジナルより濃くなっている。ストーリーの展開は一部にアレンジこそあるが、基本的には原作版を踏襲しており、村や湖、古城や孤島といった各種マップの地形も、ほぼ当時のものを再現していた。現代の技術で昔の作品を再構築するリメイクのお手本のような作品と言える。
それだけでも十分だが、ナイフの調整も大きい。原作ではこれ1本あればクリアできると言われたナイフが、リメイク版では攻撃に加えて防御にも使えるようになった反面、耐久値が設けられている。これだけでアイテムのリソース管理の負担が増え、サバイバル要素も強くなった。弾薬の精製も追加されたが、精製するための素材をアタッシュケースに収納しなくてはならないため、そのスペースを巡って試行錯誤しなくてはならないというのもよくできた仕組みだ。
『RE:4』は原作を尊重しながらも、物語やアクション、難易度調整などにより磨きをかけ、サバイバルホラーとアクションのバランスが取られている。ファンも新しい層も魅了した作品であり、そこが今回のノミネートにつながったのかもしれない。
スーパーマリオブラザーズ ワンダー
「スーパーマリオブラザーズ」シリーズ約11年ぶりとなる完全新作。クッパに乗っ取られたフラワー王国を救うため、マリオたちはさまざまな敵や仕掛けが待ち受けるコースを突破していく。マリオやルイージ、ピーチ姫にヨッシーなど、操作可能なキャラクターはシリーズ最多の12人に増えた。
本作で重要なのが“ワンダーフラワー”と呼ばれるアイテム。これを取ると“ワンダー”という現象が起こり、コースの状態が大きく変わる。土管やステージ自体が動き出したり、どこからともなく敵の大群がやってきたりと、そのバリエーションは豊富。ゴール地点にあるポールを吹き飛ばして進むことすらあり、そのワンダーを取ったらなにが起こるのか、想像もつかない。コースを遊ぶたびに大小さまざまな驚きが待っている。
これまでに多くの作品を出している「スーパーマリオブラザーズ」シリーズだが、それでもまだまだネタの底知れなさを感じられたのが本作でもある。破天荒とも言えるギミックがありながら、コインを使った誘導を始めとする遊びやすさもあり、ワンダーという要素に振り回されるのではなく、しっかり使いこなしているという印象だ。
ネタは出尽くしたと思われていた“2Dマリオ”の新しい可能性、任天堂の十八番である創意工夫、プレイヤーの予想を超えるギミックなど、『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』には目を見張るところが多い。選考から外すほうが難しかっただろう。
ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム
2017年の「The Game Awards」でGame of the Yearを受賞した『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の続編。地下の遺跡を探索中に行方不明になったゼルダ姫を探すかたわら、リンクは各地で起こる異変などの調査のため、広大なハイラルを巡ることになる。
本作には多彩な能力があるが、なかでも持ち上げた物をほかの物にくっつける“ウルトラハンド”と、ふたつの物体を組み合わせて武器などを作る“スクラビルド”は可能性の塊だ。船や荷車、ロボットも作れるし、2本の棒でリンクの倍以上の長さの槍を拵えたり、矢に魔物の目玉を組み込んで追尾性能を持たせたりと、例を挙げたらきりがない。能力の使いかた次第でさまざまな攻略法が生まれる。
ハイラルの大地に加えて、今回は上空にある“空島”や地下に広がる“地底”もあって、探索の自由度は前作以上と言える。またその自由な世界にも、自由を楽しんでもらうためか細かな計らいがあって、相方とはぐれたコログ族を運ぶ方法を探したり、各地の祠にある謎を解いたりしているうちに能力もなじんできて、気づくと使いこなせるようになっている。ひたすら広い世界のように見えて、実際はプレイヤーが能力を使っていろいろな要素に挑めるよう整えられており、要素に無駄がない。
そうした作りのためか、広大なハイラルを冒険するオープンワールドとしてのおもしろさと、ギミックを使ってさまざまな仕掛けを解いていく伝統的なRPGらしい特色が見事に噛み合っていた。人によって変わる遊びの幅の広さと、それを実現してくれる緻密で自由な世界を鑑みれば、大賞の候補にもなるだろう。
今回選出された6作品のなかから、2023年のGOTYに選ばれるのはひとつだけだ。結果は、2023年12月8日に開催される『The Game Awards 2023』で明らかになる。
前作と同じマップ“だからこそ”の魅力 『ゼルダの伝説 TotK』がもたらしたゲーム史上屈指の体験
惜しみない絶賛を寄せられている現在となってはなかなかイメージが湧かないかもしれないが、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キン…