後の“定番”となったシステム変革 発売30周年『ロックマンワールド4』はシリーズ史における重要な名作だ

派生作にも影響を及ぼした『ロックマンワールド4』は今後も語り継がれていく価値のある名作だ

 「ロックマン」シリーズの新たな定番を確立しただけではない。ゲームボーイ後期の作品としての技術面の成熟ぶりが現れた迫力満点のイベントデモ、オリジナルの巨大ボスたちと新たな戦闘曲、そして過去3作にも増して圧倒的な存在感を誇る「ロックマンキラー」の「バラード」など、『ロックマンワールド4』には他にもたくさんの見どころと魅力がある。

 特にイベントデモは圧巻の完成度で、制約があるなかでロックマンを始めとするキャラクターを可能な限り動かし、迫力ある映像を作り上げている。あるボスに至っては、なんと専用の登場シーンまで用意されているほどだ。本作が本編「ロックマン」シリーズに肉薄、あるいは超えるものを作ろうとした開発スタッフの本気を実感させられる。

 なお、本作の後にも続編として『ロックマンワールド5』が発売された。

『ロックマンワールド5』(1994年7月22日発売)

 こちらは「スペースルーラーズ」なる、オリジナルの8体ボスたちと戦う完全な新作になったが、完成度にはますます磨きがかかり、『ロックマンワールド4』に引けを取らない傑作に仕上げられている。ただ、「ロックマンワールド」シリーズはこれを持って展開を終え、以降は本編「ロックマン」シリーズに集約されていくことになった。しかし、それからも「ロックマンワールド」シリーズが大きな影響を及ぼし続けたというのは前述の通りだ。

 ちなみに派生作『ロックマンX』も、ゲームボーイ(ゲームボーイカラー)向けに「ロックマンワールド」シリーズのような外伝作品で、『ロックマンX サイバーミッション』と『ロックマンX2 ソウルイレイザー』を発売している。

『ロックマンX サイバーミッション』と『ロックマンX2 ソウルイレイザー』

 この2作も登場するボスたちは本編『ロックマンX』シリーズ2~3作から選出されているなど、「ロックマンワールド」シリーズとの共通点がある。

 他にキャラクター周りでも『ロックマンワールド3』に登場した「ロックマンキラー」の「パンク」は『バトルネットワーク ロックマンエグゼ3 BLACK』にて、名人のネットナビとして出演。『ロックマンワールド2』のオリジナルボスで、「ロックマンキラー」の肩書きは持たない「クイント」も、詳細は伏せるが、ある意外な作品に影を残している。

『ロックマン10 宇宙からの脅威!!』(※『ロックマン クラシックス コレクション2』より)

 また、2010年発売の『ロックマン10 宇宙からの脅威!!』では、「ロックマンキラー」の3体(エンカー、パンク、バラード)がカラー化して登場するスペシャルステージが有料ダウンロードコンテンツとして発売された。『ロックマン クラシックスコレクション2』収録版では、このダウンロードコンテンツがデフォルトで実装されているため、購入の必要もなく3体の待つステージが遊べる。さらに「EXTRA CHALLENGE」には、(少し条件を必要とするが)3体とすぐに戦える特別なチャレンジも用意されている。

 そして、「ロックマンワールド」シリーズ5作もニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで配信された。だが、2023年3月28日の「ニンテンドーeショップ」のサービス終了をもって配信終了。以降の新規購入はできなくなっている。

 本編「ロックマン」シリーズは『ロックマン クラシックス コレクション』2作により、現行のプラットフォームで遊べるようになっている。だが、「ロックマンワールド」シリーズは外伝作品ということもあってか、2023年10月現在も復刻は実現していない。

 このまま「ロックマンワールド」シリーズは復刻されず、過去のゲームとなってしまうのだろうか。特に『ロックマンワールド4』の歴史的な重要性を思うと、さすがにそれは看過できない事態だ。

 ただ、幸いにして昨今はゲームボーイタイトルの復刻が増加傾向にある。「ロックマンワールド」シリーズと同じく、ゲームボーイで誕生した『Sa・Ga(サガ)』シリーズは、すでにそれらをまとめたコレクションタイトルが現行プラットフォーム向けに販売済みだ。

 Nintendo Switchでも、2023年2月からNintendo Switch Online加入者限定コンテンツ『ゲームボーイ Nintendo Switch Online』の配信が開始。すでに『星のカービィ』、『ゼルダの伝説 夢をみる島DX』などのタイトルのほか、カプコンからも『レッドアリーマー MAKAIMURA GAIDEN』がラインナップ入りしている。

 このことから、「ロックマンワールド」シリーズも復刻の見込みはあると思われる。それがどんな形になるのかはカプコン次第といったところだが、筆者としては『ロックマン クラシックスコレクション3』としての復刻を強く望みたい。

 本編『ロックマン』はナンバリングのシリーズはすべて復刻したが、「ロックマンワールド」シリーズを始めとする外伝といった作品の復刻はまったく進んでおらず、それが結構な数に及ぶのだ。その看板的存在として「ロックマンワールド」シリーズ、そして発売から25年が経過しながらも復刻が進まないスーパーファミコンの『ロックマン&フォルテ』を掲げ、出してみるのも一興ではと思うのだが、いかがだろう……?

 とにもかくにも、いつの日かそんな吉報が聞ける時をファンのひとりとして心待ちしたいところだ。繰り返しになるが、締めにこの一言を綴ろう。

 「ロックマン」シリーズを語るとなれば、『ロックマンワールド4』は決して外すことができない重要な名作なのだ!

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