カプコン「第4の柱」は育つのか? ミリオン達成の新作『プラグマタ』からIP戦略を考察

『プラグマタ』カプコン「第4の柱」に?

 国産ゲーム市場には強力な人気IPが数多く存在する一方で、新規IPが育ちにくくなっているようにも見える。たとえば『ポケットモンスター』や『モンスターハンター』は世界中で人気を集めているものの、その盛り上がりが未来永劫続くわけではないだろう。そんな状況のなかで注目したいのが、カプコンが模索している「第4の柱」のIP戦略だ。

カプコンを支える3つの柱と、完全新規IP『プラグマタ』の登場

 現状のカプコンを支える柱といえば、『モンスターハンター』、『バイオハザード』、『ストリートファイター』という3つのシリーズが挙げられる。ゲームソフトが安定した売り上げを記録しているだけでなく、映画化などのメディアミックス展開も盛んに行われており、元々強力だったIPの価値がさらに高まっている。

 そんなカプコンが4月17日にリリースしたのが、完全新規IPのアクションアドベンチャー『プラグマタ』だ。三人称視点のガンシューティングとパズル要素を組み合わせた斬新な戦闘システムが特徴的で、レビュー収集サイト「Metacritic」のメタスコアではPS5版は86点、PC版は88点を記録。Steamのレビューでも一時「圧倒的に好評」を獲得するなど、高い評価を得ている。

作り込まれたアクションと、ヒロイン・ディアナという発明

 同作の魅力はなんといってもアクションの完成度にある。ハッキング(パズル)を行いながら、敵の攻撃を回避しつつ銃で狙撃するというマルチタスクが要求されるのだが、ゲームバランスが作り込まれており、プレイするうちに自然とプレイヤーが習熟していく。

 そしてもう一つの功績は、ディアナというヒロインを生み出したこと。このキャラクターは高度なハッキング能力をもつアンドロイドだが、見た目や性格は無邪気な少女そのもので、人気声優の東山奈央が声を当てている。

 とくに注目すべきは、カプコンがディアナにフォーカスしたショート動画を投稿するなど、キャラクターを押し出す戦略を見せていることだ。

君の名はディアナ #プラグマタ月面ショート No.15

『NieR:Automata』『サイレントヒルf』との共通点は「ヒロインの魅力」

 すでに強力なIPを多数抱えているカプコンだが、次の10年を戦うためには「第4の柱」とも言うべきIPを作り出す必要がある。そこでヒロインの魅力を押し出すようなゲームを展開したことは、戦略的に冴えたやり方ではないかと思われる。

 『マリオ』や『ソニック』など、キャラクターの魅力に牽引される形で人気を得ているIPは数多く存在する。とくにヒロインという括りでいえば、“2B”ことヨルハ二号B型を生み出した『NieR:Automata』、深水雛子を生み出した『サイレントヒルf』などが挙げられるだろう。これらの作品はゲームとしての面白さとキャラクターの魅力を両立させることによって、IPの価値を安定させている。

『プラグマタ』はカプコンの「試金石」になるか

 そもそも既存のIPで手堅く勝負するのが定石となった今のゲーム業界で、完全新規IPに挑戦したことは、それだけでも高く評価されるべきではないだろうか。昨今ではAAAタイトルのゲーム開発費が高騰しており、実績のないIPに多額の投資をすることのリスクが跳ね上がっている。

 『プラグマタ』は発表から6年を経ての発売というかなりの難産だったが、それでもこのタイトルで勝負することを決断した以上、制作陣にはたしかな勝算があるのかもしれない。

 もしくは『プラグマタ』は、新規IPでも戦えるのかどうかを計る試金石だった可能性もある。今後は同作をシリーズ化させていくのか、それともまた新たなオリジナルタイトルで勝負するのか。カプコンのIP戦略に注目していきたい。

『エルデンリング』、『SEKIRO』に『Bloodborne』も なぜいま日本産ゲームが続々映画化されるのか

『Bloodborne』のアニメ映画化が発表され話題に。『ELDEN RING』『SEKIRO』に続くフロム・ソフトウェア作品の…

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる