内山昂輝、生成AI音声は「すぐにオリジナルに取って代わるものではない」 声優としての向き合い方とアフレコ現場のリアル

砂田将宏(BALLISTIK BOYZ)主演の単発ドラマ『AIに話しすぎた男』(日本テレビ・関東ローカル)が4月29日深夜25時35分より放送される。
本作はドラマを入口とし、その視聴体験がやがて現実世界に侵蝕していく体験型エンターテイメント・ARG(Alternate Reality Game:代替現実ゲーム)の新ブランド「Minibreak.(ミニブレイク)」の第一弾。プレイヤーは「流出した台本」を片手にドラマ本編や密着アーカイブ映像を視聴しながら「ドラマ制作現場」の調査を行い、台本流出の背景や物語の真相に迫っていく――という多角的な体験が用意されている。
『AIに話しすぎた男』は、結婚を翌日に控えた青年が、AIチャットに相談を始めたことで、誰よりもAIを盲信してしまい破滅へ向かっていくという「ダークラブサスペンス」。劇中に登場するAI「MIRA」の声を担当した、声優・内山昂輝にインタビューしたところ、業界内でも啓発活動が活発化している生成AI音声について、“声”を生業にする者としてのリアルな本音が聞こえてきた。(ヒナタカ)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】
「技術の発達で、AI音声のしゃべり方に明快な答えがなくなった」

――まずは、本作に出演することになった経緯を教えてください。
内山昂輝(以下、内山):制作チームの皆さんが「AIという難しい役ではあるけど、AIの“無機質さ”がありながらも、人の心に働きかけるような部分を表現してくれるのは誰がいいか」と協議された上でオファーをいただいたとのことで、とてもうれしく思っています。
――台本を読んだときの第一印象はいかがでしたか?
内山:「思ったよりもセリフが多いな」と感じました。これまでにも実写作品に声の出演で関わらせていただくことはありましたが、ワンシーンだけの出演だったり、ひとつのパートの声を少しだけ担当するくらいがほとんどだったんです。今回はワンシチュエーションものということもあるのですが、ここまでしっかりと主人公と絡んで、お話に影響を与えていくということはなかなかないため、貴重な経験をさせていただきました。
――内山さんが演じられた「MIRA」は、主人公・相内亮佑のパートナー的な存在でもありますが、亮佑役の砂田将宏さんにはどのような印象を抱かれましたか?
内山:実は、編集された映像を見ながらセリフを入れていくという収録方法だったので、砂田さんとは本読みの時に一度だけご一緒したのと、撮影現場でお会いしたくらいで、撮影中に2人でセリフのやり取りをしたことはないんです。本編映像をすべて拝見した上では、なんとなく、明るくフレンドリーな方なのかなという印象はありますね。
――先ほど「AIの“無機質さ”」というお話もありましたが、具体的にどういったところを意識して演技をされたのですか?
内山:いろいろなことを考えました。「AI」と一口に言っても、いろいろな声でしゃべりますし、サービスも多様ですからね。今回、セリフを収録する前に、会話ができる最新AIの声を聞いてみたら、機械的なしゃべりに囚われていない、“キャラクターが乗った”ようなしゃべり方もするとわかったんです。いろいろなアプローチができる一方で、あまりにも機械的すぎると「人がそこにいる意味」が薄れてしまうと思うので、やはり「人の声を乗せる意義」も考えなければならないと思いました。

――実際に演じた上で、難しかった点や苦労した点があれば教えてください。
内山:今では技術の発達によって、AIもいろいろな声で話します。進化にともなって「こういう感じでしゃべればAI音声でしょ?」という明快な答えがなくなった。少なくとも、わかりやすいイメージが浮かびにくくなったと感じました。機械的に「こんにちは」って言うのも、一昔前だったらアリだと思いますが、自然に話すタイプの最新のAIはそんなしゃべり方はしませんから。
そんなふうに、はっきりとした正解があるようでない中で、MIRAというキャラクターを作っていかなくてはいけなかったため、監督と一緒にああでもない、こうでもないと話し合って調整をしました。「AIの機械音声です」というイメージではなく、普段アニメのキャラクターを演じているときと同じように、“MIRAというキャラクターを演じる”意識でいるとちょうどいいのかなと、収録をしながら役をつかんでいった感じがしました。
それでも「どれが正解だろう」と分からなくなるときもありましたが、時間をかけてたくさんテイクを録ったので、納得できるMIRAになったと思います。
――内山さんはアニメ『僕のヒーローアカデミア』シリーズの死柄木弔や『呪術廻戦』シリーズの狗巻棘など、これまでダウナーな役を多く演じられている印象があります。今回の役で、これまでとは異なると感じたところはありますか。
内山:僕自身も「今回もダウナー系なのかも」と思ったのですが、実際にはけっこう違う部分もあり、いろいろな表現ができたかなと思います。具体的にどう今までの役と違うかというとネタバレになってしまうので言えませんが(笑)、ドラマ後半では亮佑を煽ったり、マインドコントロールをするようなシーンもあり、少なくともローテンションのままのキャラではなかったですね。
「ニュースとか情報系のナレーションはAIの活躍が増えるかもしれない」

――ちなみに、内山さんご自身は、AIに対してどのようなイメージをお持ちですか?
内山:どんどん進化しているのは理解していますが、自分としてはあまりAIを利用していないため、“よくは知らない”というのが正直なところです。AIはフィクションの題材としては子どもの頃からなじみがあり、映画好きとして『2001年宇宙の旅』(1968年公開)は特に印象に残っていますし、“人類にとっての脅威”や“人類とAIの戦争”をテーマに描かれていることが多いですよね。でも、今現在のAIは共存するというよりも人間が一方的に利用しているものですし、ポジティブでもネガティブでもなく、ニュートラルに捉えています。
ただ、今作がきっかけで、「人間とAIが出会うことで、これまで起こり得なかったことが起こるのかもしれない」とは思いましたね。
あとは、“どこからどこまでがAIなのか”という判別も難しいと考えました。ネットの検索のアルゴリズムだって、AIといえますし、今ではAIは知らず知らずのうちに利用しているものなんでしょうね。

――声優界では、生成AI音声の無断使用を防ぐための啓発活動を行ったり、「声の権利」を保護すべく公式のソフトやツールを提供する動きが活発化しています。5年後、10年後の声優界はAIの普及によってどう変わっているとお考えですか?
内山:人間の声優の仕事は減っていくとは思うものの、それがキャラクターの声にまで及ぶのかは未知数ですよね。アニメの作画にAIを使うのか・使わないという議論もなされていますが、変わっていくことは確実にあると思います。
だからこそ、今後さらにAIが普及していったときに、「自分は何をやりたくなるんだろう」と興味がありますね。やることがなくなって転職している可能性もありますし、うまく活用できればとは思うものの、キャラクターの声にも“AIだからこそのアプローチ”があるかもしれませんし、やはり、一個人である僕ではまったく先が読めないことです。
また、テレビを見ていると、すでにニュースのナレーションでAI音声が使われていますが、声の抑揚やイントネーションの不自然さもだんだんと改善されていますし、読むスピードの調整が自由にできるとか、絶対噛まないなどの基準で言えば、人間よりもAIのほうがいいという理屈もわかります。「ニュースとか情報系のナレーションはAIの活躍がもっと増えるかもしれない」というような将来の予想は、なんとなくしていますね。
「これからは楽をしようと思えばできてしまう」「僕は『もう一度やります』と言いたい」

――それでも「AIにはこれはできないだろう」ということはありますか?
内山:今のAIの技術の発達のスピードを見ていると、正直に言ってわかりません。それでも、受け取る人が何を良いと感じるのか、どういう表現が胸に迫るのか、という話にも繋がりますが、今の段階ではAIは既存のソースをもとに「再現」をしている側面が強いため、すぐに「オリジナル」の音声に取って代わるものではないとは思います。AIが人間の濃い演技を、それっぽく再現して「すごい」と感じることはあっても、それが、今までにない新たな、オリジナルの表現として成立するのかは、また別の話なのではないでしょうか。
でも、それでもなお「AIのほうがいい」という時代も来るかもしれませんし、シンギュラリティ(技術的特異点)は訪れるかもしれないので、やっぱりわからないですね。
――実際、アフレコ現場などでAIが活用されている実感はありますか?
内山:AIの技術によるものなのかは知らないのですが、この間、アフレコ中に「さっきのテイクよかったけど、この一文字だけ音がはっきりと出てないいから、その1文字だけほしいからもう一回録ろう」というやり方を見ました。機材や録音ソフトの発達によって音声はいろいろな調整が可能になりました。そういったものがAIと組み合わさって、さらに発展していく可能性は十分にあると思いますし、近い将来に「あまり良い演技ではなかったけど、後から編集で直せるからそれでいいか」となってしまう場面も出てくるのかもしれません。
ただ、そのときに大事なのは、そこで「まあいいか」と済ませてしまうのか、それとも「いや、もう一度やります」と言えるのかどうかだと思うんです。おそらく、これからは楽をしようと思えばできてしまう時代になる中で、それでも「ここは人間が頑張らないとダメだろう」というマインドを持ち続けられるかが問われていくのではないかと感じています。僕は「もう一度やります」と言いたいですね。
でも、その「人間が頑張らないとダメ」というのも10年後ぐらいになって、「旧世代の人間の考え方」になっていて、「そんなことより早く終わらせよう」っていう雰囲気になってるかもしれないですね(笑)。AIによる変化は読めないですが、それでも、僕は自分ができることをやっていきたいです。

――最後に、ドラマの見どころや読者の皆さんにメッセージをお願いいたします。
内山:『AIに話しすぎた男』は、年々身近になっているAIをテーマにした作品であり、すでにAIが日常の一部になりつつある今だからこそ、そこから「一歩先に進んだときに、どんなことが起こり得るのか」という問題提起も描かれています。AIを日常的に活用している方はもちろん、僕のようにまだあまり使っていないという方にも、興味を持って観ていただけたらうれしいです。
■作品概要
タイトル:『AIに話しすぎた男』
放送枠:4月29日25:35~26:05
出演者:砂田将宏、藤江萌、内山昂輝
主題歌:「All you need is me」(BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE)
脚本:中村允俊
演出:浦翔也
制作:関根龍太郎、新井秀和
企画/プロデューサー:三井陽介
プロデューサー:伊藤裕史、中村允俊、磯貝美来、川野辺圭吾
企画・制作:storyboard
制作プロダクション:bird and insect
制作協力:AX-ON、エニシ
製作著作:日本テレビ
番組公式HP:https://www.ntv.co.jp/hanashisugita-otoko/
番組公式X:https://x.com/M_ManWithMira_b
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