『ジャパンモビリティショー2023』がついに開幕 各社の気になる最新モデルを紹介(モビリティメーカー編)
2023年10月28日から11月5日まで東京ビッグサイトで開催される『ジャパンモビリティショー2023』。それまでのモーターショーからモビリティショーに名称を変更しての初開催となった今回のイベント。先立って報道機関向けに行われたプレスデーの現場から、注目車種をコメントとともに紹介したい。
名称一転で開催
ジャパンモビリティショーはコロナ禍の一回休会を挟んでの開催で、名称もそれまでの東京モーターショーから一変しモビリティショーに。主催者曰く「自動車業界の枠を超えて。他の産業やスタートアップ、来場するお客様含め、日本の未来を新しい仲間と一緒に創っていくショー」という。アナウンス通り、参加企業も自動車メーカーや関連企業だけでないのが特長だ。そのあたりは別の記事をを見ていただくとして、ここではぜひ注目したいモデルをご紹介しよう。
クルマ屋らしいBEVのコンセプトカー(トヨタ)
トヨタブースの注目車種は数あれど、『FT-Se』はぜひ見ておきたい一台。これからのカーボンニュートラル時代に向けてスポーツカーとしてのスタディモデルに位置する。メカニカルコンポーネンツの基本はレクサスブースに展示されていた『LF-ZC』と共用。もちろんレクサスのそれはSUVゆえ、足回りは『FT-Se』用という。完全BEVで前後に配されたモーターのため、駆動方式はAWD。他業種がクルマ産業に参戦するなか、佐藤社長は「クルマ屋らしいバッテリーEVをつくる。その意味するところは、クルマづくりの原理原則に立ち返って、航続距離などの基本性能はもちろん、バッテリーEVでしかできない価値を実現していくことです。そのひとつが、今までにない低重心と広い空間を両立するクルマをつくること。そのためには、基本コンポーネントを徹底的に小型化、軽量化し、それを最適なパッケージングにつなげていく『クルマ屋の力』が必要です」と自動車メーカーのノウハウをすべて投入して、開発につなげる意気込みを語っていた。
フラッグシップのLを冠したコンセプトモデル(レクサス)
2035年までにブランドの新車販売車両をすべてBEVにする方針を掲げるレクサス。同ブースでは注目の2台のコンセプトカーが展示される。LSがセダン、LCがクーペ、LXがクロスオーバーと、レクサスブランドの各カテゴリーの旗艦モデルがLから始まる車名を名乗る以上、発表された2台のLFもBEVモデルのフラッグシップとしての可能性は高い。同じコンセプトカーながらZCの方は2026年に量産する予定といい、注目はソフトウェアプラットフォームの車載OS「Arene」の採用だ。これは音声認識からドライバー個々人に合わせた学習など先進機能を充実させる。また次世代電池パフォーマンス版を用いることで従来のBEV比2倍の航続距離である1000kmを目指している。
あのワゴンとスポーツカーのコンセプトモデルか?(日産)
『ハイパーツアラー』は日本ならではのおもてなしの精神や上質さと、自動運転など数々の先進技術を融合したプレミアムEVミニバンだ。次期型エルグランドのベースコンセプトモデルとも噂されるモデル。EVの滑らかな走りと力強さをより高めるためアリア譲りの電動駆動4輪制御技術、E-4ORCEを搭載。コンセプトモデルはヘッドレストに搭載されたバイオセンシング付AI機能が乗員の脳波や心拍数などから気分を判断、空調や照明を自動調整するという。また電化されると噂の次期型GT-Rの一つの布石ともなるコンセプトカー、ハイパーフォースも登場。全個体電池と高性能モーターにより最高出力1000kW(約1360PS)を誇るという。
往年のネーミングを持つコンセプトカーが登場(ホンダ)
ホンダブースでは時間や空間といったさまざまな制約から解放するモビリティ、そして人の能力と可能性を誇張するモビリティがテーマだが、今回一つのサプライズとして発表されたハイブリッドパワートレーンのコンセプトカーがある。その名はプレリュード コンセプト。スペシャリティクーペとして人気を博したX世代には響くネーミングのモデルだ。「ホンダはいつの時代もスポーティーな車づくりにこだわってきた。このモデルは、本格的な電動化時代へ“操る喜び”を継承する、ホンダのスポーツマインドを体現するモデルの先駆け=プレリュードとなる」と三部社長がコメント。またブースには80年代、90年代のコンパクトカー、シティを彷彿とさせるSUSTAINA-Cコンセプトや同様のモトコンポをオマジューしたようなPocketコンセプトの姿も。これらは回収した使用済みアクリル樹脂を再利用して作られているのが特徴。
ロータリーエンジン搭載の次世代スポーツカー(マツダ)
マツダブースでは「マツダはこれからもクルマは楽しいものだ、いいものだと理屈抜きに感じていただけるようなクルマをお届けし続ける」と毛籠勝弘社長のコメント通りのコンセプトカー『ICONIC SP』をワールドプレミアした。パワーユニットはマツダの象徴とも言えるロータリーエンジンを搭載するが、発売中の『MX-30』のような1ローターではなく、よりスポーティな2ローター採用のEVなのだ。またこのエンジンは水素などの次世代燃料にも対応可能という。ヴィオラ・レッドと呼ばれる鮮やかなボディカラー、上に開くドアなどクルマ好きは一見の価値ありだ。
次期型デリカにつながる?!三菱のコンセプトカー(三菱自動車)
『D:X Concept』は三菱ブースで世界初公開された 電動クロスオーバーMPV。同車は未来のデリカをイメージしたモデル。現行モデルでも採用されるリブボーンフレームをさらに強化し、大空間のキャビンと高い安全性を両立。気になるパワートレーンはプラグインハイブリッドシステムで、駆動方式は4WD。現行デリカも2006年デビューから15年を経過した熟成モデル、このコンセプトモデルのどこまでが次期型に採用されるか注目したい。
ドライバー中心のクルマ作りはBEVでも健在(スバル)
スポーツモビリティのコンセプトは「EV時代も日常から非日常まで意のままに運転し、いつでもどこへでも自由に走って行ける楽しさ」。SUBARU SPORT価値の進化を予感させるBEV(バッテリ電気自動車)だ。これはドライバーを中心とした4輪を意のままにコントロールするイメージを基本骨格としたEVスポーツカー。スポーツカーらしい低い着座位置ながらも、視界と見切りの良さを実現したという。また出自が航空機メーカーのスバルらしく、空の移動革命を実現するようなエアモビリティもコンセプトモデルとして展示される。
次期型『コペン』は登録車になる?(ダイハツ)
ダイハツブースでぜひ見ておきたいのはオープンカーのコンセプトモデル。一見すると『コペン』を大きくしたようなクルマだが、それもそのはず。搭載されるエンジンは1300ccという。初代コペンのデザインを深く継承し、コペンのアイデンティティアイテムでもある電動開閉式ルーフも装備。駆動方式はFRとなるが「FRレイアウトとCN燃料の活用を見据えた内燃機関の組み合わせにより、走る楽しさを極めた新たな小型オープンスポーツを提案」とダイハツの弁。たしかに初代モデルの後期型である欧州仕様は1300ccエンジンを搭載しているので、現実度などは高いと感じた。
スズキは世界戦略車をお披露目(スズキ)
世界戦略のEV車を展示していたのは、スズキのブース。このモデルは『eWX』という軽ワゴンEV車だ。軽No.1のスズキブランドを象徴する近未来的なクルマ。軽自動車枠に収まる同車は230kmと必要十分な航続距離を実現したという。現在市販される軽EV車のそれを大きく上回るのが魅力だ。室内は快適な空間を実現している。スズキによれば「生活する人が普段の足に使えることを重視している」といい、SUVらしい力強さと冒険心を表現したというデザインはその表れかもしれない。