『ポケモン』主題歌、山寺宏一との共演、人気声優のVTuber化……興味深いバーチャルの新展開

興味深いVTuberのニュースが続々到着

 ここ最近は、VTuber業界で注目すべき事例が連続している印象だ。いくつかを取り上げてみたい。

ポケモン主題歌に内閣府案件 大躍進をなしとげたひとたち

 まずは「大躍進」の話だ。シンガーソングライターのぼっちぼろまるが、アニメ『ポケットモンスター』の新OPアーティストに抜擢された。楽曲「ハロ」の作詞・作曲・編曲を手掛け、歌唱はyamaとのタッグで務める。

 マスコットのようなVTuberとしても活動してきたぼっちぼろまるは、いまやソニー・ミュージックレーベルズの「FUNSUI」に所属するメジャーアーティストだ。昨年の『おとせサンダー』からの躍進はめざましく、そして今回の主題歌抜てきはまさにその象徴だろう。稀有な経歴をたどるアーティストとして、今後もその活躍に期待したい。

ぼっちぼろまる・ピーナッツくん・星街すいせいの例から考える VTuber楽曲の“垣根を越えたヒット”が意味するもの

2022年から2023年1月現在にかけて、VTuber〜バーチャルタレントの楽曲が立て続けにヒットを飛ばし、その存在がシーンの外…

おとせサンダー / ぼっちぼろまる (Music Video)

 それから、個人勢VTuberの宇推くりあが内閣府主催『第6回宇宙開発利用大賞』のPRキャラクターに抜擢された。政府主導の「宇宙開発利用の推進に多大な貢献をした事例」へ贈られる賞のPRキャラクターということで、こちらも非常に大きな躍進だ。

 宇推くりあは、「ロケット工学アイドル」というVTuber界においても珍しいタイプのタレントだ。さまざまな宇宙ロケットの打ち上げを配信し、その様子をつぶさに観察・実況するという活動内容が特徴で、その広範な知識量は専門家と呼べるほどの逸材だ。

 また、衛星通信サービスである「Starlink」をかつぎ、打ち上げ現地で配信を行うといった技術的な取り組みも目を引きつつ、しっかりと「アイドルVTuber」としても活動している稀有な存在である。そんなタレントが、“推し”というキーワードを用いて「宇宙開発利用大賞」のPRに起用されているというのは興味深い事例だが、同時に一つの時代性を示しているようにも感じる。

まさかの国案件!?宇宙開発利用大賞PRキャラクターになったよ!打ち上げ実況もあるよ!【#宇推くりあ】

「メタルギア」に山寺宏一 驚きのコラボを果たすひとたち

 続いては、カバー株式会社が運営するVTuberプロダクション・ホロライブの話題だ。フィメールラッパーとしても高い実力を誇る「ホロライブEnglish」のMori Calliope(森カリオペ)が、なんと「メタルギア」シリーズとのコラボを果たした。『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1』の発売を記念し、公式コラボソング『SNEAKING』が10月20日に発表された。

 作中のBGM『Encounter』やSEをサンプリングしつつ、シリーズの印象的なセリフを引用したリリックという、「メタルギア」シリーズの要素を随所に刻み込んだ楽曲だ。これは誰にとっても予想外のコラボだが、もしかすると以前に小島秀夫が同プロダクションに所属する兎田ぺこらの配信を見ているとコメントしたことが、少しだけ影響しているのかもしれない。

 一方、ANYCOLOR株式会社が運営する事務所・にじさんじに所属する周央サンゴは、大御所声優・山寺宏一との共演を果たした。これはYouTubeアニメ『世界の終わりに柴犬と』の吹き替え企画によるもので、山寺宏一が柴犬を、周央サンゴはその飼主の役を演じる。

 周央サンゴといえば『にじさんじ』内でも「演技派」なタレントとして知られており、公式番組ではナレーションを務めるなど、声優としての実力にも定評があった。しかし、それにしても「まさかの共演」ではある。それだけ、両者とも話題性は十分であるということだろうか。なお、周央サンゴ以外にも、『にじさんじ』より成瀬鳴、シスター・クレア、黒井しばらが参加する。黒井しばに至っては、自身も「柴犬」でありながら、「柴犬役」を演じるという、奇妙な構造が成立しているのもおもしろい。一連のキャストが出演する吹き替え企画動画は、10月27日に公開予定だ。

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