LJLキャスター・Revolに聞く『Worlds 2023』のメタとチームの“ガチ分析” 日本代表・DFMの鍵となるのは「BO5」マッチか

LJL解説・Revolの『Worlds』“ガチ分析”

“大会メタ”の「変化を追っていくのも、解説者としては非常に面白い」(Revol)

ーー続いて、現在の『LoL』の環境についても伺っていきましょう。今回の『Worlds』はパッチ13.19での開催が予定されていますが、どのようなメタゲームになると思われますか?

Revol:基本的な全体像は、直前までの環境とそこまで変わらないのかなと思っています。ドラゴンやリフトヘラルドの価値が依然として高いので、それを序盤から着実に取りやすいチャンピオンの配置、レーンの力関係を作っていくのがメインになるでしょう。

 つまり、ミッドやボットレーンをレーン戦からアドバンテージが取れる構成にすること。そして、ただただパッシブにファームを繰り返してアイテムが完成するのを待つような形ではなくて、序盤から主導権を取りに行く、というのがミッドとボットに求められる。そこで取った主導権をドラゴンの獲得であったり、リフトヘラルドの獲得につなげていくという形ですね。

 そこを遂行する上でのチャンピオン選択でいうと、今シーズンは「スタティック・シヴ」を持ったチャンピオンというのが暴れに暴れていました。ですが、さすがに13.19のパッチだとかなりナーフ(弱体化)されているので、減るでしょうね。

ーーしばらくずっと「スタティック・シヴ」がメタの中心でしたからね……。アイテム選択の幅も広がりそうです。

Revol:くわえて、ミッドレーンでもトリスターナなどがナーフされましたし、メイジ系のチャンピオンも出てくるでしょうね。

 ゲームのテンポに関しても、もしかしたら少し遅くなるかもなと思っています。これまでは「スタティック・シヴ」を急いで完成させ、どんどんレーンを押し込む、そこで有利をどんどん広げていく、という試合運びがアイテム一つで可能でした。そこが変わることによって、パワーの伸び方が少しなだらかになるかなと。もしかしたら2~3分、もしくは5分ほど試合時間が伸びるようなメタになって、中盤以降の集団戦が大きな目玉になると予想しています。

ーー少しチャンピオンにも触れられていましたが、現状のパッチで「バンorピック」となりうるチャンピオンはいますか?

Revol:個人的に注目しているチャンピオンは「タリヤ」。さまざまな地域の夏の決勝戦を見ているとピックされたり、バンされたり、登場する機会が多かったんです。少し前に受けたバフ(強化)によって、ジャングルでもミッドレーンでも使える柔軟なチャンピオンになっているので、ドラフトにおける大きなアドバンテージとなります。

予想が的中し、タリヤは10月12日時点で高いバン率・ピック率を誇っている

 過去に大会で活躍した実績もありますし、逆に過去にまったくピックされていないチャンピオンはプロでもあまり使いたがらない傾向にあるんですよね。タリヤの場合は競技シーンでも大きな実績がありますし、ミッドレーンでもジャングルでも成功していますから。かなりドラフトのところで登場するであろう、注目チャンピオンのうちの一体になるかなと思っています。

 視聴者目線でも、タリヤはアルティメットを使って縦横無尽に動くので、展開がすごくダイナミックになって面白いですよね。そういったところもかなり期待しています。

ーータリヤは少し意外でした。しばらく前からずっと強さをキープしている「カイ=サ」や、バフされた「オリアナ」などが挙がるかなと思っていたので。

Revol:もちろんそれらのチャンピオンも、とくにカイ=サはほぼ必ず出てくると思っていますよ。アイテムも「スタティック・シヴ」から「アンアンブラル・グレイブ」型の脅威ビルドが主流になっていて、序盤のキルポテンシャルが上がっていますし、非常に強力なチャンピオンです。正直、毎試合バンされてもおかしくないのかな、というくらいに高い性能のチャンピオンだと思っています。

 オリアナに関しては、結局『Worlds』でオリアナが出ない年ってまあ滅多にないんですよ(笑)。それから、レーン戦のところでは着実に有利が取れるメイジというのもあります。

 欠点としては、14分以降のサイドレーン担当になった時にすこし機動力に欠けるため不安な部分がある、という点だけで、基本的に万能なチャンピオンです。ダメージも出せるし、味方の速度も速めることができる、シールドも供給できるといったサポート性能もありますから、今回のパッチだとシンドラなどベタ足のメイジがミッドで復権するかもしれませんね。

ーーそれらのメタに対して驚くほど刺さるような「マル秘カウンターピック」のようなものは出てくるでしょうか? かつてT1のザイラサポートに対して同じくLCKの「ROX Tigers」が、ミス・フォーチュンサポートを持ち出したような、芸術的なカウンターピックも醍醐味だと思っているのですが……。

Revol:あれはすごかったですね……。対戦相手のT1ですら、「ミスピックでしょ」と言っていたわけですからね。そういうのが見れたらいいな、と僕も思うんですけど、ちょっと予想がつかないかな。

ーー逆に言えば、そこまで一強のチャンピオンがすごくいる環境ではない?

Revol:そうですね。ただ、メタへの理解度が進むにつれて「このチャンピオンが実はやばかった」といった形で評価が変わってくる可能性はもちろんありますよ。

ーー『Worlds』は毎年、“大会メタ”のようなものが生まれますよね。

Revol:そこが一つの魅力でもありますね。一つのパッチで一ヶ月以上、しかも世界最高峰のチームたちが戦うという場はこの大会が唯一ですから。大会を通して、彼らの中でのチャンピオンの評価がどんどんアップデートされていくんです。

 すごく面白くて、大会が開始した時点でのチャンピオンの評価リストと、決勝戦時点での評価リストがまったく違うものになっていることも珍しくない。そこの変化を追っていくのも、解説者としては非常に面白いですね。

ーーありがとうございます。最後に、今回の『Worlds』を観戦される方に向けたメッセージをいただければと思います。

Revol:これは毎年言っていることなのですが、決勝戦のオープニングセレモニーは絶対に素晴らしいものになると思うので、それだけでもぜひ見ていただけたらなと思います(笑)。最新のテクノロジーがふんだんに盛り込まれて、とにかく決勝戦を盛り上げるんだという意志を感じますし、ライアット・ゲームズの「素晴らしいエンターテインメントを作るんだ」という意気込みを強く感じるところでもあるので、私自身もすごく楽しみにしています。

 そしてなんといっても、『Worlds』は『LoL』における1年間の集大成となる大会です。その大会が1ヶ月以上おこなわれて、世界のトップ選手たちによる華麗なプレーが見られるというところで、まずはハイレベルな戦いを一緒に楽しみましょう。しかも、今回の『Worlds』は韓国でおこなわれますから、日本からでもかなり見やすい時間帯に試合をやってくれます。トップクラスのプレイや、大会の華やかさをぜひ堪能していただけたらと思います。

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