LJLキャスター・Revolに聞く『Worlds 2023』のメタとチームの“ガチ分析” 日本代表・DFMの鍵となるのは「BO5」マッチか

LJL解説・Revolの『Worlds』“ガチ分析”

LJLと世界の“差”はどこにあるのか そして、それでもなお期待されるDFMの実力

ーー現在のLJLと他リージョンとの差についてもお伺いしたいと思います。率直にみて、どういった部分に、どの程度の差があると思いますか?

Revol:前提として、『LoL』の競技シーンは、世界の地域の中で大きく二分化されています。先ほど挙げた4大リージョンはメジャーリージョンとして、日本や東南アジア、ブラジルなどその他の地域がマイナーリージョンという形で、下位カテゴリーに分類されるような形式になっています。

 LJLを含むマイナーリージョンとメジャーリージョンの間でいうと、個人的には頭2つ、頭3つぐらい差があるな、と。結構力の差を感じるような印象が強いです。

 全体の違いについて見ていくと、ドラフトに関してはそこまでの差はないと思っているのですが、一体一体のチャンピオンに対する理解度、基本的なレーニング、瞬発的なチーム内のコミュニケーション、そして集団戦・小数戦……そういったところで細かく差が積み上がっていって、最終的には先ほど言ったように頭2つ、頭3つぐらいの差ができてしまっているな、という印象があります。

 ただしマイナーリージョンの中だと、ここ最近はDFMの活躍もあって、LJLがかなり上位にいるような印象が強いので、今回のプレイインステージでプール2に配属されたのは少し意外でした。プール1の方が成績がいいチームで、プール2はプール1と比べるとこれまでの実績が低い、ということになるんですが、(DFM)はプール1でもいいのかなと……。

 過去の『MSI』や『Worlds』の戦績を振り返っても、DFMは先ほど言ったメジャーリージョンのチームに対しても勝利を収めていますし、その中でもトップクラスに強いチームをあとわずかというところを追い詰めたりもしているという実績がありますからね。

 なので、世界的に見ると、LJL自体は相対的にみて弱い部類のリーグではあるものの、DFMというチームは油断ならない相手だな、という評価になっているのかなと思いますね。

ーー個人的な印象としては、後半での試合の畳み方でも差があるのかなとも思います。

Revol:そうですね。やはり、メンタル面での「冷静さ」みたいなところが、大きな舞台であればあるほど、そして相手が強ければ強いほど保つのが難しくなってしまうのでしょう。そこで冷静になれているときは、有利を積み重ねていってチェックメイトまで持っていくような流れというのを作り出せているかな、とも思います。

 ただ、DFMに関してはその時の「殻の破り方」が面白くて。冷静に戦っていくんじゃなくて「とにかくアグレッシブに詰めていこう」「チェックメイトまで作っていこう」というアプローチをするんです(笑)。しかも、それを国際大会でやっているというのは、面白い殻の破り方だなと思いました。それは彼らがたくさん国際舞台を経験してきたからこそ見出せた回答なのかなと。

ーーそうした転換をおこなったチームというのは、ジャイアント・キリングを起こしがちですよね。過去で言えば『Worlds 2016』の「Albus NoX Luna」が、メタ構成ではなく自信のあるチャンピオンをピックしてプレイオフに進出した例など、アグレッシブにプレイをすると刺さる、というのは『LoL』の歴史が証明しているのかなと。

Revol:そうなんですよね。『LoL』ではパッシブな、カウンターや受け身な姿勢で格下のチームが成功したことって、まずないんですよね。主体的に自分たちから積極的に仕掛けていかないと勝てない。それを体現したのがAlbus NoX Lunaですし、ここ数年のDetonatioN FocusMeなのかなと思います。

ーー現状のDFMはいかがでしょう? 夏シーズンに関しては、メンバーやロール変更の影響もあり、苦しみながらつかんだ勝利という印象があります。ぜひ分析をお伺いしたいです。

Revol:国際的に見れば、DFMはここ数年ずっとLJL代表として国際大会に出場していますから、非常に評価が高いというのは間違いないと思いますね。ただ、個人的にはEvi選手の抜けた穴を埋め切れなかったのかな、という思いは強いですね。

 日本歴代最高峰のトップレーナーですから、彼が抜けた穴が大きいのは当然ではあるんです。けれど、いろんな意味でもがき苦しんでしまって、解決策をYutapon選手に頼ったのかな、というところはあります。

 ですから、チームとしての総合力の部分でも昨年と比べれば一段落ちる、というところは否めないと思います。今回の『Worlds』は、大会形式が非常にフェアになった一方で、むずかしいBO3を2回、そしてBO5をもう1回勝たなければ次のステージまで進めないという非常にハードなものになっていますから。

 そこを考えると、DFMはBO3を2回は勝てる、もしくは1回は必ず勝てると思っているんですけど、最後のBO5のところでかなり苦しむんじゃないかな、というのが僕の率直な、現実的な評価になりますね。

ーーその中でも、DFMの強みや注目ポイントはどのあたりになるでしょうか?

Revol:DFMの強みとしては、なんといってもミッドのAria選手とジャングルのSteal選手でしょう。マイナーリージョンの中でも突出した力を持っていて、メジャーリージョンの選手にも肩を並べるくらいの高いスキルを持った2人だと思っているので、ここはDFMの明確な強みだと思っていますね。彼らが非常にいいパフォーマンスを発揮してくれれば、プレイインステージ突破に向けた大きな原動力になると思っていますね。

 さらに、やはりYutapon選手もすごいんですよね。彼はSeason 1から『LoL』の選手としてキャリアを歩んでいるベテランですから。それでいて、プロ選手として13年間それを続け、しかも毎年成長するって、自分の仕事に置き換えてもなかなかできないことじゃないですか。競技シーンというレベルの高い場所で、それを続けていること、モチベーションを絶やさないこと。それだけで尊敬してしまうくらいのものすごい選手ですし、実力面でも世界クラスのADキャリーだと思っているので、彼が本来のロールで出場するのであれば、彼の活躍が間違いなく大きな要素になってくると思いますね。

ーーであれば、直前に加入した選手ではありますがapaMEN選手にも期待したいですね。

Revol:ただ、apaMEN選手に関してはやはり競技シーンから2~3年離れているというのが不安要素ではあります。国際大会の経験としては、過去に『RiftRivals』というアジア大会に出場しているものの『Worlds』のような大型の国際大会での経験はないですから。引退後はモバイル版である『League of Legends: Wild Rift』のコーチをしていましたが、『Wild Rift』と『LoL』ではやはり少しゲーム性が異なりますし、試合の時間なども全然違うので、そのギャップをここまでの約1ヶ月間で埋めきれているのかはすごく心配です。

ーー現実的にはYutapon選手がこのままトップレーナーとして出場しても何らおかしくはないということですね。

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