にじさんじ随一の鬼才、グウェル・オス・ガールの“譲らないスタンス” 家族への愛を胸に活動を続ける特異なVTuber

グウェル・オス・ガールの“譲らないスタンス”

にじさんじ内では唯一 シーンでも類を見ない妻子持ちの“お父さんVTuber”として

 さて、冒頭でも述べたように、グウェル・オス・ガールは妻帯者であり、一児の父でもある。

 そのことが知られるようになったのは、彼が2019年11月30日にYouTubeデビューを果たしてから想像以上に早いタイミングだった。

 デビューから3ヶ月と少しが経過した2020年3月18日、グウェルとコラボ配信をしていたこともある神楽めあが、自身の配信内で「グウェルさんって既婚者だよね?」とおもわず口を滑らせてしまったのだ。直後にグウェル本人も謝罪配信を行ない、既婚者であることを認めたという経緯がある。

 ここまでの話だけを聞くと、神楽めあが大きな失態をしてしまったようにも映るだろう。だが、実際この一件はグウェル本人が神楽めあに提案した上でおこなわれた“仕込みネタ”。

神楽めあの配信で公開された「既婚者バレドッキリ」の企画書

 グウェル自身は「どこかのタイミングで結婚していることを伝えなければならないだろう」と感じており、神楽めあとともにうまく報告しようと試みたのだという。

謝罪
【#神楽めあを救いたい】汚物キャラのせいでグウェル・クソ・ガールに変な役を買わされました。どうも、こんばんわ。【神楽めあ】

 その後、2020年6月には第一子が誕生したことも報告。妻子を持ち、本業の仕事との兼業で活動するVTuberという、にじさんじ、いやシーンにおいても異色な存在として知られていくことになった。

 自分と妻子を含めた家族に重きを置く活動のかたわらで、先述したようなユニークな企画配信が生まれていたというのは非常に驚かされるだろう。グウェルは家族との生活を大切にしながら配信活動を続けていくこととなった。

 生配信中に子どもが近づいてきたらリスナーに一言断ったうえであやしてみたり、育児のことも考えて配信は出来る限り23時を目途にして終了したりといったように、グウェルの家族を大切にするスタンスについては、にじさんじリスナーにおいても注目すべき一面があったはずだ。

 30万人突破の耐久配信中には、子どもが配信中のグウェルの元へ乱入。配信者としてだけでなく、父親としての一面が垣間見える一幕も。なんとも心温まるハプニングであろう。

【にじさんじ】30万人突破で新ビジュ公開【グウェル・オス・ガール】

 3Dビジュアルお披露目配信を無事に終え、企画屋としての影響力も徐々に強めていくなかで、2023年7月上旬に「大事なお話し」と題した動画を投稿。その内容が大きな話題を呼ぶことになり、冒頭で紹介した動画「良かったら全部聞いてください」へと繋がっていくことになった。

 7月の動画で語られた内容をかいつまんでまとめると、企画配信をつづけるためのスポンサーシップを立ち上げたこと、連れ添ってきた妻に看護が必要な状況となったため本業の仕事を辞めたこと、そういった生活を数か月過ごしたのちに、再就職活動をスタートしていると明かした。

 一方で、これらの情報を一気に開示したためか「同情でスポンサーシップに入る方が多かった」とグウェルは話す。現在は動画そのものを削除、スポンサーシップの加入状況も白紙へと戻したうえで、あらためて「企画への応援」という形で加入してほしいと語った。

 なにはともあれ、彼がこのような状況で「VTuber活動は趣味である」と言い切り、辞める選択肢を選ばなかったことを、筆者としては非常に嬉しく思っている。

 仕事とプライベートの比重をどのように置き、自身の人生を生きていくか。そうした「ワーク・ライフ・バランス」の在り方は、現代において重要な問題として考えられている。そんななかで、多くのリスナーが「人生にとって大切なものは家族である」とはっきり言い切るグウェル・オス・ガールの活動をつよく支持していることは、時代背景・世代間の価値観の影響は大いにあるものの、とても重要な視点を感じられる。なによりも彼らの支持・賛同は、グウェル本人にとって心強い支えになるはずだ。

 ちなみに、グウェルは現在YouTubeチャンネル登録者数50万人達成を間近にしており、50万人を目指して「配信部屋を垂れ流し続ける」という一風変わったライブ配信を行なっている。時間によってはグウェル本人がリアルタイムで作業をしている姿が見られ、それ以外は部屋の風景が流れているだけという内容だ。

 まさに「なんでそんなアイデアを思いついて実行するんだ?」という彼の持ち味が活かされた内容で、どんな状況にあってもユニークな配信を続けようと試行錯誤するグウェルの姿勢を感じられるはずだ。今後もグウェルと家族の安寧を願いながら、活動を見守っていきたい。

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