にじさんじ随一の鬼才、グウェル・オス・ガールの“譲らないスタンス” 家族への愛を胸に活動を続ける特異なVTuber

グウェル・オス・ガールの“譲らないスタンス”

「わたしは企画屋です」 宣言通りにつぎつぎと生まれる秀逸な企画たち

 その後グウェルが4年近くに渡ってリスナーやファンに届けてくれたのは、企画を軸にした種類の配信だ。

 グウェルは「にじさんじに応募した理由は何ですか?」というリスナーからの問いに対し、「わたしは企画屋で、にじさんじにたくさん人がいるから応募した」「同じ企画でもメンバーが違えばそれだけで違ったものになるし、人が多ければ違った企画を作れる」と答えている。

 そんな彼が手掛けてきた企画のなかには、今でも定番・名物として人気を博しているシリーズがいくつかある。

ウミガメのスープ

【 #げまじょのスープ 】げまじょでうみがめのスープ【本間ひまわり/笹木咲/赤羽葉子/椎名唯華/魔界ノりりむ/グウェル・オス・ガール】

人狼系ゲーム

【 にじさんじ】#VTA組人狼【グウェル・オス・ガール/VOLTACTION/Ranunculus】

ワードウルフ

【 #にじさんじ研究者組 】研究者組ワードウルフ【にじさんじ/アンジュ・カトリーナ/甲斐田晴/グウェル・オス・ガール/レオス・ヴィンセント/葉加瀬冬雪 】

 テーブルゲームやクイズゲームを中心にしつつ、様々な企画を展開してきたグウェル。なかでも高い人気を誇る企画といえば『PanicQube(パニックキューブ)』であろう。

 バラエティ放送コミュニティとして活動しているグループ「Box TV」が制作・企画にくわわっており、クイズ番組としてのクオリティの高さからもリスナーの支持を集めている。

【テンパるアタマのラビリンス】PanicQube (パニックキューブ)【にじさんじ/鷹宮リオン/葉加瀬冬雪/フレン・E・ルスタリオ/グウェル・オス・ガール】

 番組構成・内容がまとまっていることもあってか、これまで2021年・2022年と2度開催されてきた大型イベント『にじさんじフェスティバル』ではステージプログラムの1つとしてピックアップされている。

ガーデンステージ Day1前半 公式放送 【#にじフェス2022_Day1】

 ほかにも、多くの人があまり思いつかない・辿り着かないアイデアを見出し、実際にやってみてしまおうという行動力の高さも、彼が人気を集める理由だろう。その一例をご紹介しよう。

「水中マリカ」

【 マリオカート8DX 】水中マリカ杯【 にじさんじ 】

 こちらは『マリオカート8 デラックス』で「水中」があるコースを走り、操作キャラクターが水中に入ったら、参加者も「水中にいるかのような“ブクブク声”を発しながら走らなくてはいけない」という縛りを設けた対決。「水中芸」とも呼ぶべき鉄板のネタを見事に企画に仕立てており、一度見ればクセになる内容だ。

「にじさんじ五十音順に描いたら画力上がってる説」

【165時間】にじさんじ全員描いたら画力爆上がりした【グウェル・オス・ガール】

 タイトル通り、にじさんじに所属する面々を「あ」から始まる名前順に描いていけば、自然と画力が上がるのでは? という検証系の企画だ。

 2020年8月11日からスタートしたこの企画は、回を増すごとにグウェルがイラスト制作に力を入れるようになり、途中からはペンタブと『CLIP STUDIO PAINT』を導入するほどに。企画途中から「本気で画力向上に挑む」企画へと変貌していった。

 長期間にわたって続いた同企画は、さまざまな事情によって休止期間をはさみつつも、2022年6月20日に無事に「童田明治」のイラストを描ききったことでひとまずの終わりを迎えることになった。

 足掛け2年近くの間に新たなメンバーが加入したという経緯もあり、今後は企画途中でデビューしたメンバーにも不定期で挑戦していくとのこと。

「グウェルがにじさんじのメンバーに教える勉強企画」

魔界ノりりむが 積分の問題を解けるまで おわれません 【にじさんじ】

 2020年9月19日、グウェルは「魔界ノりりむに積分の問題を解かせるまで終われない」という耐久配信を実施した。

 グウェルの予想では、数時間ほどで終わるだろうと考えていたようだが、想定よりもりりむが数学を不得意としていることがわかり、分数・方程式・一次関数・極限と小・中学生レベルの数学から順を追って教えていく流れに。

「こうして答えは出せたけど、なんでこういう答えになるのか分からない」など、わからないことがあれば積極的に尋ね、意欲的に数学に取り組んでいく魔界ノりりむ。

 それに対し、グウェルも一段と熱を入れて教師役を務め、公式を丸暗記させて終わらせるのではなく、「なぜその解が導き出されるのか」ということを図や絵も駆使しつつ、イメージから理解してもらおうと工夫していくことに。

 不定積分の問題を解いたあと、「感動してしまった。ひとが積分することで感動したなんて初めてだぞ」と感激するグウェル。おそらく見ているリスナーの多くも、「積分の問題を正答するだけで感動した」ことはなかったはずだ。

 不得手な人間も一定数いるような「数学」という学問をライブ配信のネタにし、親切な応対や適切な言葉遣いと判断により、「中学1年生が学ぶ数学の理解すら怪しい人が、最終的に積分・微分の問題を解けるようになる」まで根気よく教えてしまう。教育職でもないのにそんなことをできる大人は、実際のところそう多くない。彼だからこそエンターテインメントできた企画であろう。

 教育・勉強といった、エンターテインメントからは少し異なる分野をドラマティックに仕上げた本配信は、、気がつけば8時間にもわたる長時間の「数学配信」となり、この日のTwitter(現:X)でも話題を呼び、教育系YouTuberが言及するなど、各所に届き話題を呼んだ。

 おそらく、グウェル・オス・ガールの名前を一気にシーンの外まで知らしめることになったきっかけを挙げるとすれば、この企画は大きなファクターとなるだろう。

 また、後日フレン・E・ルスタリオ、山神カルタといったメンバーも勉強企画に参加し、同様に非常に実りある時間を過ごしている。どちらも見どころがあり、しっかり「企画」としてリスナーの間にも定着しているようだ。

 この他にも、非常に多くの企画配信を手掛けているグウェル。その量・質ともに申し分はなく、彼の「企画配信」というだけで期待してしまうファンも多いことだろう。

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