渋谷を舞台に世界初となる「エアレース」のXR観戦が実現 『AIR RACE X』開催決定

渋谷で世界初「エアレース」XR観戦

 次世代モータースポーツ『AIR RACE X』の決勝トーナメントが『AIR RACE X 2023 - SHIBUYA DIGITAL ROUND』として10月15日に開催される。会場は渋谷。都市型XRエンターテインメントとして、「エアレース」の世界初となるXR観戦が実現しようとしている。

 7月13日に渋谷ストリームホールで開催された『Metaverse Japan Summit 2023』 のプログラム「【NEW World】時空を超えたスポーツの熱狂体験 - 世界初 AIR RACE X -」が「AIR RACE X 記者発表会」として行われ、アジア初のレッドブルエアレース・パイロットであり、『AIR RACE X』の発起人でもある室屋義秀氏(エアレース・パイロット/LEXUS PATHFINDER AIR RACING)をはじめ、豊田啓介氏(東京大学 生産技術研究所特任教授 建築家/一般社団法人Metaverse Japan 理事)、渡邊信彦氏(株式会社Psychic VR Lab 取締役COO)、長田新子氏(一般社団法人渋谷未来デザイン 理事・事務局長/一般社団法人Metaverse Japan 代表理事)が登壇した。

長田新子氏(一般社団法人渋谷未来デザイン 理事・事務局長/一般社団法人Metaverse Japan 代表理事)

 そもそもエアレースとは、飛行機を用いて飛行技術や機体性能、スピードを競い合うモータースポーツ。最高速度370km/h、最大負荷10Gにおよぶ過酷な空中タイムトライアルの連続でイベントが構成され、「空のF1」とも形容されており、今回XR技術を活用した新しいエアレースシリーズ『AIR RACE X』が立ち上がる。

室屋義秀氏(エアレース・パイロット/LEXUS PATHFINDER AIR RACING)

 室屋氏は「モータースポーツとXR技術は親和性が高い」と選手の立場からの考えを話す。フライトデータとして飛行機のあらゆるデータが取れているエアレースは、そのデータをXR技術を用いて導入し、再現しやすく、そこに解説が加わることによって、専門的な知識がなくとも気軽に楽しめるようになるという。また、2022年12月から2023年2月までの期間で開催されていた、バーチャルの渋谷キャストが舞台の『エアレース渋谷2022-2023』が今回の『AIR RACE X』に繋がるきっかけとしてある。そこで渋谷を飛んだ室屋氏は街自体に愛着が湧いたといい、渋谷全体を飛行することで街を熟知でき、さらに愛着が深まると思うと期待を込めた。

渡邊信彦氏(株式会社Psychic VR Lab 取締役COO)

 『AIR RACE X』の実現を支えるコアテクノロジー・リアルメタバースプラットフォーム「STYLY」を提供する渡邊氏は、都市レベルでモータースポーツと街が融合するのは初めてだとコメントする。渋谷の上に様々なレイヤーを重ね、選手データや広告データなどを、スマートグラスやスマートフォンで見ることができ、同じ体験ができる仕組みを構築していった。実際に行われるリアルなエアレースではあらゆる制限があったが、「eスポーツがスポーツの殻を破っていったように、実際のリアルな迫力と現実では起こり得ないところでの重なり合わせを実現することができる。全く新しいルールや見方、新しいユーザー開拓ができると思う」と渡邊氏は考えを膨らませる。

豊田啓介氏(東京大学 生産技術研究所特任教授 建築家/一般社団法人Metaverse Japan 理事)

 これまでメタバースとは、個人でバーチャル空間に繋がり没入していくということがメインだった。建築家の視点から豊田氏は、「振動や音という共有体験ができるようになり、街全体でフェス的な盛り上がりが伝播する」のではないかと自身の考えを示す。また今後の展開について、豊田氏は「実際の都市ではできない、例えばスポンサー企業が実際には建っていないビルを建ててもいい権利というような遊びもできる。そういった相乗効果を試してみたい」と構想を話す。渡邊氏も「体感を高める雰囲気をいろんなパートナーと一緒になって渋谷を盛り上げていければ」とコメントした。室屋氏が目指す場所は初開催と初優勝。その上で、「若いパイロットも参加できるように競技全体を広げていき、2025年のグランドチャンピオンシップ開催を目指していきたい」と意欲を示していた。

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