トーク排除動画でYouTubeランキング1位を獲得した「Saito さいとう」 人気爆発の要因は路線変更にあり?
YouTubeでノンバーバル動画を投稿しする「Saito さいとう」チャンネルが6月19日~6月24日のYouTube週間動画再生数ランキングで、ショート動画と全動画ランキングで1位を獲得(Digiral Creators発表)。「Junya.じゅんや」や「Sagawa /さがわ」を抑え、トップに立ったさいとうの動画から、ノンバーバル動画の進化について考えてみたい。
(参照:先週の人気YouTubeランキングTOP10 『鬼滅の刃 柱稽古編』アニメ化、江頭2:50の炎上問題などが話題に)
「Saito さいとう」はYouTubeやTikTokにノンバーバル(言語に頼らない/非言語)動画を投稿している動画クリエイター。本人に関する情報はネット上にはみられず、年齢や経歴などは謎に包まれている。YouTubeでのチャンネル開設は2021年7月と、ちょうど2年が経とうとしているなか、登録者数は959万人を突破(7月1日時点)。人気の高さがうかがえる。
2023年6月29日に投稿された動画を見てみると、多くのYouTuberが実践するような冒頭の挨拶やトークは一切なし。さいとうが車や歯ブラシ、絆創膏といった外面上部に表示されるアイコンを指さすと、アイコンに連動したお菓子などがさいとうの前に出現。さいとうは前に出されたお菓子やジュースを口にし、「YES」「NO」ボタンで「あり/美味しい」か「なし/いただけない」かを判定していく。
お菓子はチョコレートやグミ、キャンディが多いが、アイコンによってときにはお菓子の大きさも変化。なかには自作したかのような巨大なものや探し出すのが難しそうなお菓子もあり、大人でも思わず見入ってしまうほど中毒性がある。
途中には人気YouTuberたちも動画にしてきた、左右どちらかの食材を選び、ミキサーにかける「右左どっち?」チャレンジも差し込まれており、しっかりとYouTubeのトレンドも抑えている模様。カラフルなお菓子がたくさん出てくる動画は、一見すると小さな子どもが喜びそうな仕上がりだが、よくみてみると、独自性と人気コンテンツを融合したオリジナリティ溢れる動画になっていることがわかる。
これまでノンバーバル動画といえば、「Junya.じゅんや」や「Sagawa /さがわ」といった、体を張った説明不要のおもしろおかしい「やってみた」動画が人気の中心だった。視聴者を制限する可能性があるトークをなくし、身体の動きとリアクションのみで伝わる内容の動画を制作する彼らは、日本のみならず海外視聴者からの支持も獲得。じゅんやに関しては、現在の日本のノンバーバル動画の先駆者ともいえるポジションにあり、今年1月には日本人初となるチャンネル登録者数2000万人を達成。歴史的な記録を作り続けている。
さいとうが現在のスタイルの動画を投稿しはじめたのは、2022年6月のこと。さいとうのYouTubeのチャンネルを遡ると、それまではじゅんややさがわのようなチャレンジ系の動画がメインだったことがわかる。伝説級のチャレンジ系ノンバーバル動画先駆者がいるとなると、何かを変えなければ数字が頭打ちになってしまうことは想像に容易い。
さいとうがこのように思ったのかはわからないが、チャンネルに投稿されている動画を人気順に並びかえてみると、上部に表示されるのは路線変更後の動画ばかり。今年の2月19日に投稿された動画にいたっては1090万回以上再生されており、路線変更が人気爆発の要因となったと考えられる。
さいとうのアイコンをうまく使い、ゲームを彷彿とさせる動画からは、ノンバーバルコンテンツの新たな可能性さえ感じられる。じゅんやのチャレンジ動画の功績から注目をあびはじめたノンバーバルジャンルでは現在、じゅんやの活動をみてきたであろうクリエイターによってアイディアとオリジナリティ溢れるエンタメ動画が続々と誕生。日々進化しているようだ。