マヂカルラブリーとシャドバプロを対談させたら盛り上がりすぎて収集つかなくなりました【シャドバ7周年・特別インタビュー】

『シャドバ』7周年記念座談会

 とんでもない取材になってしまった……。

 Cygamesが配信する本格スマホeスポーツ『Shadowverse(以下:シャドバ)』が、6月17日でサービス開始より7周年を迎えるということで、M-1王者&シャドバグランドマスターのマヂカルラブリー、かつて優勝賞金1億円でメディアを席巻したシャドバ世界王者ふぇぐ、シャドバプロ随一のトーク力を誇るrigzeによる座談会を実施。

 しかし、おしゃべり軍団を泳がせた結果、収集つかないインタビューに……。

 混ぜてはならない4人による、10000文字越えのマシンガン対談トークがあまりにも面白すぎたので、ほぼそのままの内容でお届けします。

左から、野田クリスタル(マヂカルラブリー)、村上(マヂカルラブリー)、ふぇぐ、rigze
左から、野田クリスタル(マヂカルラブリー)、村上(マヂカルラブリー)、ふぇぐ、rigze

7年前のマヂラブは「『M-1』に本気になる直前」

ーーシャドバ7周年の企画にちなんで質問です。7年前はみなさんは何をされていましたか? またどのタイミングでシャドバと出会いましたか?

マヂカルラブリー・村上(以下、村上):2016年なので、デビューから9年目ですね。その時期は、仕事がうまくいっておらず、大宮の劇場に左遷されまして。

一同:(笑)

rigze:それって左遷なんですか!? 僕、最近大宮セブン(※1)の番組とか録画して観はじめましたよ!

※1:大宮セブン(おおみやセブン)とは、埼玉県さいたま市大宮区にある「大宮ラクーンよしもと劇場」を主な活動拠点としている吉本興業所属のお笑い芸人によるユニット。2023年現在、6組の芸人がメンバーとして在籍している。さいたま市を盛り上げる使命を担い結成され、2015年よりさいたま観光大使を務めている。

マヂカルラブリー・野田クリスタル(以下、野田):あれ、都落ち集団だから……。

村上:大宮セブンの結成が2014年なのですが、活動をやっていくうちに結構仕事がもらえるようになり「意外と(芸人として)食っていけるね」という状態にはなったものの、徐々に給料も下がって「そろそろバイトしなきゃいけないんじゃないの」と言い始めたのが2016年。そのころにゲーム好きの先輩にシャドバを紹介してもらって「これもしかしたら仕事になるかもしれないからみんなでやろうぜ」と言われたのがきっかけで、シャドバを始めました。

野田:僕は丁度、そのころから急激にマッチョになり始めましたね。筋トレのことしか考えなくなりました。

一同:(笑)

野田:その翌年、マヂカルラブリーとしては革命的なことが起こりましたね。『M-1グランプリ 2017』の決勝で最下位を取るという。そこからいろんなことが変わっていったので、2016年は激動の直前という感じですね。ちょうど、「『M-1』で決勝にいかないと、今後、芸人で飯を食っていくことはできない」と確信したタイミングで、本気を出していかなければと思っていた時期でした。

村上:当時、月収15万ぐらいでしたからねぇ……。

マヂカルラブリーの野田クリスタル(左)と村上(右)。
マヂカルラブリーの野田クリスタル(左)と村上(右)。

ーー生々しいですね。

野田:お笑いで15万って、高い方なんです。YouTuberで月収15万って、結構すごいことじゃないですか。それと同じ感じです。

 で、僕がシャドバをやりはじめたのは、YouTube番組の『#マヂカルシャドウバース』が始まった2021年4月のことなのですが、いまでも覚えているのが、rigzeさんに付きっきりでシャドバを教えてもらったことで。最初に教わったのは、守護ビショップのデッキだったのですが、配信の内外問わず、めちゃくちゃ丁寧に教えていただきました。

 僕がシャドバをプレイする配信を終えたら、rigzeさんから僕のプレイ画面のスクショが送られてきて、メッセージで「野田さんこの盤面でミスしているのですが、何がミスか分かりますか?」って書いてあったり。

ふぇぐ:すげえ……。

rigze:番組が始まった当時、野田さんがTwitterで「シャドバを教えてくれる人を募集」ってツイートした2秒後くらいとかに、「これはチャンス!!!」と思ってDMをしたんです。昔から本当にお笑いが好きなので、マヂカルラブリーのお二人とシャドバで絡めるというだけで本当に嬉しくて。

野田:そうやって、rigzeさんにいろいろと教えてもらいながら頑張って、最終的にはGrand Master※になりました。他のカードゲームもやってきたことはあるのですが、シャドバにもかなりの面白さを感じましたね。

※ Grand Master(グラマス)とは、「ランクマッチ」でBP(Battle Point)を50000獲得することで到達できるマスターランクの、さらに上のランク。

rigze:仕事として本格的にシャドバを始めた芸能関係の方で、Grand Master(以下、グラマス)まで到達した人ってなかなかいませんし、村上さんもMasterですから、コンビでここまでやり込んでいただいているというのは本当にすごいです。

野田:グラマスに行くのは期間がある程度あったのでまだ余裕だったんですが、『RAGE』(RAGE Shadowverse 2023 Spring)への準備が大変でした。デッキを用意して登録するのに2週間ぐらいしか期間がないし、毎日のように強いデッキや環境が変わるのがめっちゃ面白かったです。

rigze:2023年だから、スペルウィッチから八獄ウィッチに変わった時代ですね。スペルウィッチが強いと思われていたけど、徐々に財宝ロイヤルと八獄ウィッチがメタゲームに食い込んできたとき。

 当時、僕が驚いたのは、野田さんもスペルウィッチではなくて、最新のメタに合った八獄ウィッチでRAGEに出ていたこと。「え!? 最新のメタに対応してる」と思いましたから(笑)。

野田:rigzeさんにすごいって言われたいから、八獄ウィッチを使いましたよ(笑)。

rigze:『RAGE』の1日目が終わって、ホテルに戻ったあとも、野田さんは「シャドバ強くなりたい」って言って、深夜1時くらいまで、僕と通話しながら練習していたんです。

rigze「あの試合で“負けた”からプロになった」

rigze
rigze

ーーrigzeさんとふぇぐさんにもシャドバとの出会いについて聞きたいです。

rigze:僕がシャドバと出会った7年前は高校生のときで、文化祭の準備の期間中、帰宅途中で友人に「お前、カードゲーム得意だったよな? シャドバのストーリーがクリアできないから俺のスマホでやってくれ」と言われたのがきっかけです。

村上:高校生かぁ……。初プレイをして、そのストーリーは勝ったんですか?

rigze:勝ちましたね。

村上:すげぇ。

rigze:当時シャドバのことは分かりませんでしたが、カードゲームの基本として「リソースを高く保つ」というのは共通項かなと思い、それに従って、《フェアリーウィスパラー》を使ったら勝ちました。その後「面白かったし自分のスマホでもやってみよう」と思ったのがスタートです。

 大学に入ったあたりで、僕の大学の友人がヴァンパイアランキングで1位を取っていて。その友人から「俺、ランキング1位にいるよ」と言われて、僕もゲームで負けたくなかったんで、2017年12月のネクロマンサーランキングで1位を取りまして、これからも1位になりたいと思ってシャドバを続けました。

ーー当時からプロになることは意識していたのでしょうか?

rigze:プロになるつもりはありませんでした。僕は大会で結果を出していたわけではなく、実績がなかったんですよ。

 大学を卒業したら学校の先生になるつもりだったので、それまでに『M-1』に出たりYouTuberになったり、やれることを全部やろうと考えていて。

 そんななか、テレビ番組で『シャド場~シャドウバースで繋がるゲームバラエティ~』(TOKYO MX1)という番組の「勝ち抜け!シャドバキング!」という企画を見つけて。「テレビに出れる!」と思って応募したら、出場できたうえに、5週連続勝ち抜きも達成したんですよ。そうしたら、今度は10連勝を懸けた別の収録にも呼んでいただいて。

ふぇぐ:僕もその収録現場にいたんですが、(そこで勝ち抜いた人が)最後に僕と対戦するみたいな企画だったね。当日、いきなり(初対面のrigzeに)鳥みたいなポーズを見せつけられて(笑)。

rigze:僕なりのファイティングポーズだったんですよ。当時はプレイよりもキャラで魅せて、爪痕を残そうとしていました。対戦の内容については、前回の段階で5連勝だったので、6戦目からスタートしたのですが、初戦で負けました(笑)。

 実はその日が(2023年4月まで所属していた)シャドバのプロチーム「GxG」のメンバー応募最終日だったんです。「負けたままシャドバを終わるのもなぁ」と思って応募したら受かりまして。プロになってからは人生が激動しました。

ーー負けたことがキッカケになったということなのでしょうか。不完全燃焼だったから、プロを目指したといいますか。

rigze:そうです! 10連勝していたら、プロに応募してなかったかもしれません。というか勝ち上がっていたら、応募期限に間に合っていなかったかもしれません。当時、負けてすぐに履歴書を用意して、応募の締め切りの2分前に書類の提出が終わったので。

ふぇぐ「シャドバに人生を救われた」

ふぇぐ
ふぇぐ

ーーふぇぐさんはいかがでしょうか? おそらくシャドバと出会って最も人生が変わった1人だと思うのですが。

ふぇぐ:僕もrigzeと同じく2016年の9月ごろにシャドバを始めました。当時は大学3年生なのにもう留年も決まっていたころです。大学の喫煙所から一歩も動かないという、ダメな大学生でした。

 母親にも(留年に)気づかれていて「留年後の学費は自分で払いなさい!」と言われていたので、「学費の100万円をどうしようかなぁ」と悩みながらも、毎日飲んでるだけの日々でした。

村上:私も似たようなものですねぇ。

ふぇぐ:え!? そうなんですか?(笑)

村上:しっかり留年していますから。学費は親が払ってくれましたけど(笑)。

ふぇぐ:先輩と何人かでお酒を飲んでるとき、中高くらいまでカードゲームをやっていた、という話をしたら「カードゲーム好きならやってみようよ」とシャドバを半ば強制的にインストールされたんです。アプリゲームは続かないタイプの人間だったのですが、やればやるほどカードゲーム好きとしての情熱がどんどん蘇ってきて、これまで喫煙所にいた時間が、ずっとシャドバをするという生活に変わりました。

 その後、大学で疎遠になっていた昔のカードゲーム仲間に声をかけてみたら、みんなもシャドバをやっていて、そのタイミングで「2017年2月にファミ通CUPというシャドバの大会があるから応募しろよ」と言われました。

 優勝を目指しているわけではなく、同窓会気分での出場ではあったのですが、出るからにはいいところまで行きたいと思ったので練習して臨んだら、なんとベスト8まで残って。優勝賞金が400万円なので「あと3回勝てば留年の学費が払えるなぁ」と思い、自分の中で出せる力を全てシャドバに注いで練習をして、なんとか3回勝って優勝させていただいたんです。

村上:すごいなぁ。

ふぇぐ:優勝インタビューで、父親と母親に向けて「賞金は留年の学費に使います」と言ったら、それを聞いた父親が震えてたらしいです(笑)。

rigze:400万円って、結構な大金ですもんね。

ふぇぐ:その後、リリース初期の大会に優勝したというのもあり、シャドバの公式番組にもたくさん呼んでもらえたんです。

rigze:当時は「シャドバのスタープレイヤー=ふぇぐさん」というぐらい公式側の人間になっていましたよね。どんなにミーハーでもふぇぐさんのことだけは知っているみたいな。

ふぇぐ:番組の出演料にも驚きました。当時、学生の僕からすると割りのいいバイト感覚で出演していました。

 すると「1位と2位は世界大会にも出れるよ」と言われて、「また賞金がもらえるかも。ラッキー!」くらいの気分で、そこまで練習にも力を入れずに世界大会に臨みましたが、運も味方してか、僕よりシャドバが強い人はたくさんいるのにベスト8まで残ったんです。そこから「勝ちたい」という気持ちがまた出てきたものの、そのトーナメントでは、その年の世界チャンピオンにボロボロに負けてしまいました。

村上:ベスト8は賞金はもらえなかったんですか?

ふぇぐ:賞金は30万円でした。でもめっちゃ悔しくて。優勝決定後の集合写真を取るとき、みんなしっかり賞金のパネルを持って立ってるんですけど、僕だけパネルを縦に持ってふてくされてるんです(笑)。

 その年末年始に親戚で集まった時、父親に「あと1年、シャドバを本気でやらせてほしい。番組の出演もあるし、配信で稼ぐし、足りなければバイトで稼ぐから」と伝えました。当時はプロリーグが発足されていたわけでもないので、ただ「1年間シャドバをやらせてほしい」と。

 そこからプロリーグが発足され、トントン拍子でチームに所属することになったのですが、また僕の悪い癖が出てきて、「実績あるし、俺がシャドバで一番強いだろう」と思っていたら、プロリーグでボコボコにされたんです。

村上:強い奴が隠れてたんだなぁ。

ふぇぐ:そうなんです。プロになるまで「誰、こいつ?」と思ってた人たちに本当にボコボコにされるんです。それが悔しくて、かなり練習もしたけど、成績が全然ついてこなくて。『RAGE』も勝てない時期が続いたのですが、最終的に世界大会への出場権のラストチャンスを掴むことができたんです。

 その世界大会は、1位になることしか考えてなくて。というより前年の自分を越したいという気持ちが大きくて、それをモチベーションに頑張っていたら、そのまま優勝することができました。いろんな人がシャドバと出会って人生が変わったと思うのですが、僕はシャドバに最も人生を救われた人間だと思います。

野田:ふぇぐさんの世界大会優勝は他のゲームにも影響を与えたと思いますよ。日本人が世界で優勝するなんて滅多にないことで、しかも優勝賞金が1億円でしたから。

rigze:世間も「ゲームで賞金1億円ってどういうこと?」と驚いていましたね。

野田:あの世界大会をきっかけに、色んな企業がeスポーツに注目したに違いありません。「eスポーツって、マジですげえ夢のある仕事なんだ」と色んな人に思わせた出来事でしたよ。

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