「みんながイメージする私」と「本当の私」にギャップーー人気YouTuberの苦悩から考える“視聴者の在り方”

 6月1週目、「미소 みそ」チャンネルを運営するみそが「YouTuberとして活動するなかで感じる苦悩」を明かした動画を投稿した。活動開始から5年が経ち、いまなお人気上昇中のYouTuberであるみそは一体なにに悩んでいるのか。今回はみその告白から、最前線を走り続けるために大切なことや、それを応援する「視聴者の在り方」について考えてみたい。

今後のYouTube活動について。正直にね

 愛媛県西条市出身のみそは、韓国に留学した経験をもち、その経験を活かして「韓国通YouTuber」として人気を集める女性だ。みそがYouTubeチャンネルを開設したのは7年前のこと。当時19歳だったみそは現在25歳になり、東京を拠点に活動を続けている。

 今回投稿した動画で、みそは「最近はYouTubeが撮れていなくて……」「YouTubeを撮るのがちょっと恐いなっていう時期だったかな」と切り出し、「心の底から楽しめない」とYouTube活動に悩みが生じていることを明かした。最大の理由は「みんながイメージしているみそと本当の私」に生じてしまったギャップだ。

 みそいわく、「みんながイメージしているみそ」というのは「上京前のみそ」のことで、「ブランド物なんて持っていなくて、芋くさくて、田舎の子」であるという。自らも「昔の方が自分のことを好きだったし、自信があった」と話す。

 YouTubeでの活動を始めた当初は、「自己肯定感“爆あがり”みたいな人間」「無敵状態」だったと語り、「目立つのも大好き」という性格からか、心から楽しんで動画を制作できていたようだ。

 その後5年の間にみそは、大きな転機を何度か経ることとなる。韓国への留学と帰国、活動拠点としていた西条市から上京するなど、環境の変化にくわえてみそ自身も徐々に垢抜け「芋くさい田舎の子」から羽化していった。しかし、そんな彼女の変化に対して一部の視聴者からは「西条にいた頃のみそちゃんが好きだった」「みそちゃんじゃない」というコメントが寄せられてしまう。

 「みそちゃんはみそちゃんだし、みそちゃんじゃないっていうのもなんかわからない」と苦しい胸のうちを明かすみそは、「もっと可愛くなりたいな、綺麗になりたいなって思うこともある」と、内心を吐露。視聴者からの反応を気にしすぎるあまり、大好きなハイブランドのアイテムをカメラに映らないようにするなど、さまざまな配慮を続けてきたことも明かした。

 「みんなが考えるみそちゃんであるべきなのか」「本当の私ももうちょっと出していきたいな」と悩み抜いたみそは、「自分が楽しめていないのに、人が楽しむことなんてできん」「“今の私もみそちゃんよ”っていうのをわかってほしい」と切実に訴える。「もっと自分を大事にしたい」「自分が楽しめるのを1番に考えてYouTubeやりたい」と続けると、「もしよかったら、これからのみそちゃんも、どんなみそちゃんも応援してもらいたい」と動画を締めくくっている。

 みそに限らず、19歳から20代中盤にかけての時期というのは、社会に出ることが増え、活動範囲が一気に広がり、大きく環境が変わるころだ。YouTuberを始め、多くの人に見られながら活動をする人間には、みそのようにパブリック・イメージが定着してしまいがちであるし、致し方ない部分でもある。しかし、そのイメージがみそを苦しめてしまった。

 今回明かされたみその苦悩は、視聴者あってのYouTuberたちにとって、自身の活動を“幸せなもの”にするためには、「求められるコンテンツ」と「自分が発信したいこと」をバランスよく発信することが大切だと気付かされる出来事だったように思う。視聴者もまた、些細な言葉が(たとえそこに誹謗中傷の意図がなくとも)彼ら/彼女らを苦しめてしまう可能性があることは、心の片隅に置いておいた方がよいだろう。

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