中田敦彦の「松本人志氏への提言」に複数の芸人がネタやパロディで反応 騒動を笑いへ昇華する“芸人たちの妙”

 2023年5月29日、中田敦彦のYouTube大学でとある動画が投稿され話題を呼んだ。その動画は「【松本人志氏への提言】審査員という権力」と題されており、お笑い界の賞レースの現状について意見を述べる内容となっている。

【松本人志氏への提言】審査員という権力

 動画の内容は、現在お笑い界では『M-1グランプリ』『キングオブコント』などさまざまな賞レースが存在しているが、どの番組にも松本人志が審査員として登場しており、権力が集中しているのではないかという指摘だ。一個人の思考や好みによって「面白い・面白くない」が決定づけられることに対して、中田は疑問を呈している。

 TwitterなどのSNSでは連日この動画について議論が繰り広げられており、複数の芸人が反応している。真面目な議論を展開する人もいるなか、なかにはパロディやネタとして扱うことで、笑いに昇華する芸人もいた。

【緊急動画】中田さんの本音を本人に直接聞いてみた

 例えば、さらば青春の光は「【緊急動画】中田さんの本音を本人に直接聞いてみた」という動画を6月3日に投稿している。話題に上がっている人物たちと対談するのかと思われたが、実際に呼ばれたのは先輩芸人であるナターシャ。森田から「中田さん」と呼ばれていた彼の本名は中田善之で、苗字が中田敦彦と一緒なだけであり騒動とは無関係だ。

 その後も「松本さん」としてお笑いコンビ・だーりんずの松本りんすが登場したり「ホリエモン」として漫才56号の堀江俊介が出演したりと、視聴者の想像とは異なる展開が続く。結局のところ苗字が同じ知り合いを集めただけであり、本人たちは最後まで誰一人登場しなかった。事前に何も伝えられないまま召集され、困惑している芸人たちの反応を楽しむというのが今回の内容だ。本動画は130万回以上の再生数を獲得しており、かなり注目を集めている(2023年6月7日時点)。

提言 審査員の昇太氏の権力が強すぎる!【ラバーガール大水】

 また、お笑いコンビ・ラバーガールのサブチャンネルでは「提言 審査員の昇太氏の権力が強すぎる!【ラバーガール大水】」と題された動画を投稿。1966年から続くバラエティ番組『笑点』の審査について触れているが、内容は中田敦彦のパロディだ。動画内ではラバーガールの大水が、司会を務めている春風亭昇太の好みや機嫌で座布団を与える基準が決まるのはおかしいと指摘。「昇太さんをバカにするような答えだったりすると、面白いのに座布団持っていかれるとか。昇太さん1人の権限が大きすぎるんですよ」と、真面目な表情で話していた。

 『笑点』は大喜利番組だが、そもそも『IPPONグランプリ』のように優勝者を決める賞レースではない。司会の独断によって発生する出演者とのやり取りや笑いが醍醐味の1つであるため、視聴者は公平な審査を特に望んでいないはず。このズレを活かした本動画のコメント欄では「笑点を“これ座布団の権力が集中しすぎてんなぁ“って目線で見てるの面白すぎる」「笑点に置き換えたら面白いというところに気付けるセンスが羨ましい」など、称賛の声が多く寄せられていた。

 中田が動画の最後で「このあと私はどんな目に遭うのか。ぜひお楽しみに!」と発言していたように、どのような展開になるのか一種の緊張感もある今回の一件。他にも、TwitterではレイザーラモンRGが、中田の動画内でのセリフをパロディにするなど、多くの芸人によってネタとして取り上げられている。エンタメに昇華されることで、徐々に触れやすい話題として広がっている側面もあることだろう。今後、他の芸人たちが、先人たちと同じように見事な手腕で楽しめるネタに変え、発信することがあるかもしれない。議論の展開だけでなく、芸人たちのYouTubeチャンネルやTwitterなどに投稿されたパロディコンテンツにも注視していこう。

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