発売から3日でソフト売上1000万本突破 『ゼルダの伝説TotK』の“ヒットの要因”とは?
5月12日に発売されたNintendo Switch用ソフト『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(以下、『ゼルダの伝説TotK』)が、リリースから3日と間もないのにも関わらず、早くもソフト売上1000万本を突破したと話題を集めている(国内外の市場を含む)。
『ゼルダの伝説TotK』の快進撃はリアルタイムに進行中で、イギリス地域では「バッケージ版の売上が今年最大級のスマッシュヒットになった」といった意見も実際に上がっている。コミュニティにおける反響も大きく、「有給を取ってハイラル巡りに出発した」という冒険者が続出。シリーズファンや新規層を含め、数多くのゲーマーが本作の虜になっているところを見ると、『ゼルダの伝説TotK』は上半期のみならず、2023年度を代表する一本になったと考えてまず間違いないだろう。
ここで気になるのは、やはり“なぜこんなにも売れているのか?”という点。「任天堂が誇るゼルダの伝説シリーズの最新作だから」「全世界で3000万本売り上げた『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下、『ゼルダの伝説BotW』)の続編だから」と、ヒットの要因はおおよそこの2点に集約できるし、発売前の期待度からも”売れる”ことは決定づけられていたように思う。しかしそれでは説明があまりにも単調だ。
今回はもう少しだけ掘り下げて、『ゼルダの伝説TotK』がユーザー間で注目されているポイントを取り上げつつ、ヒットの現状について言及したい。
ポテンシャルの発露 人気を示すバロメーターとしての「ウルトラハンド」
まず大前提として、『ゼルダの伝説TotK』は『ゼルダの伝説BotW』の数年後を描く“続編”であることを押さえておきたい。ゆえに、本作は『ゼルダの伝説BotW』が切り開いたオープンワールドアドベンチャーとしての「ゼルダの伝説」に則り、その上であらゆる面が正統な進化/深化を遂げている。すでに『ゼルダの伝説BotW』の時点でもハイクオリティな作品だったが、それらを根幹に新たな可能性を示したのが『ゼルダの伝説TotK』なのである。
天空から地下にまで広がる冒険の舞台に、より洗練されたボリューム満点のサイドミッション。知識欲と好奇心をそそるメインストーリーもあれば歯ごたえ抜群のバトルシーンも健在……と、ゲーム最序盤から十二分なポテンシャルを放つ『ゼルダの伝説TotK』。とりわけ本作からの新要素「ウルトラハンド」は、”オブジェクトやアイテム同士を接続する”というキャッチーな仕様も相まってか、天啓を授かった大量のプレイヤーが独創的な作品をネット上へ続々とアップしている。
本作はオープンワールドアドベンチャーという性質上、”どこで何をするか”の大部分がプレイヤーの手に委ねられており、基本的なチュートリアルはあるにせよ、ゲームを進めるならば必然的にDIY(Do It Yourself)の精神で挑むことになる。そして、このコンセプトは上述のウルトラハンドにもよく現れていて、「木の板を組み合わせて橋を作る」「並べた丸太に扇風機を取り付けてボートにする」といった具合に、実に多種多様な場面でプレイヤーの独創性が試されるのだ。
ウルトラハンドは冒険をスムーズに運ぶためのツールという立ち位置でありながら、全く冒険に役立たないような産物を生み出すこともできたりと、『ゼルダの伝説BotW』からクラフト要素が格段にパワーアップしているのは言うまでもない。イノベーティブなプレイヤーが風変わりな作品を作り、SNSや動画配信プラットフォームに上がった作品例を見たユーザーがそれらを模倣と改良を施し、様々な反応と共にコミュニティ内外を巻き込んで盛り上げていく。プレイヤーの独創性やセンスが否応なく表出するクラフトアクションは、本作の人気ぶりを表す一種のバロメーターとして立派に機能していると、筆者は直接手にとって感じた次第だ。
すでに国内だけでも220万人余りが本作を体験済みという報道の通り、現在進行系で関心を引き続けている『ゼルダの伝説TotK』。本稿ではウルトラハンドを中心に取り上げたが、ぜひ自分自身の手でハイラルを巡りつつ、本作の魅力やヒットへいたった要因の語り口を見つけてみてはいかがだろうか。
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