新規VTuber事業に企業VTuberスタッフ、アイマス新プロジェクト――新年度スタートとともに始まる新展開

新年度とバーチャルの新展開

新年度スタートのVTuber事業たち。2023年もVTuber業界は新規参入が続く?

 新年度の始まりとともに、新事業の始まりもよく訪れる。VTuber業界では、新規グループや事務所の設立がよく見られた一週間だった。

 「ぶいすぽっ!」や「RIOT MUSIC」などを有するBrave groupは、すべてのプロジェクトを対象とした総合オーディションの実施を発表した。複数プロジェクトへの同時応募を実現することで、どんなVTuberになるかビジョンが定まってない人の応募ハードルを下げる意図があるようだ。ゲーム実況、アーティスト、アイドルと、多岐に渡るグループを有するBrave groupならではの施策だろう。

 さらに、新たな事務所「HareVare」も始動させ、第1期生メンバーのオーディションをスタートさせた。女性だけでなく男性も募集し、「興味があるが経験はない」「音楽やゲームなどの自信はない」「新規プロジェクトからデビューしたい」といった、様々なニーズを受け止める狙いがあるようだ。

 もちろん「HareVare」も、上記の複数プロジェクト同時応募の対象にも含まれている。統合化以後、なにかと加速が続くBrave groupだが、今年はさらに「横に広げる」ベクトルも加速させていくのかもしれない。

新VTuberグループ『HAPPY HUNTERS HAVEN』ティザーPV

 アニマックスのeスポーツプロジェクト「e-elements」からは、「HAPPY HUNTERS HAVEN」というVTuberグループが始動した。eスポーツチーム「GHS Professional」の新部門とのことで、『VALORANT』などのFPSタイトルなどに取り組むとのことだ。

 初期メンバーは5名で、キャラクターデザイン担当イラストレーターは過去に人気VTuberを手掛けるなどした著名どころがそろっている。「担当イラストレーターのネームバリューが強い5名始動」という立ち上げ方は、昨年立ち上がった「Varium」などにも共通しており、こうした初動の出し方は、VTuber事業の立ち上げでは定番になりつつある印象だ。

 ほかにも、BitStarがひさしぶりのVTuberユニット「金曜日の放課後」を発表したり、インクストゥエンターとSpiceの共同事務所「iSpark」が発表されたりと、ニューカマーの登場が続いている。2023年現在も、VTuber事業はまだまだ参入が続きそうだ。

VTuberの社会参画は広まるか。株式会社lucoの「VTuber採用」に注目

 VTuberという職業には、「活動終了後に(特に企業所属VTuberが)その実績を公表しにくい」という問題点が以前から指摘されてきた。活動を通して得たスキルをどう活かすかを含め、「VTuberのセカンドキャリア」は業界の持続性を占う上でも重要なトピックだろう。

 そんななか、配信画面のデザインサービス「スコラボ」を提供している株式会社lucoが、2名のVTuberをスタッフとして起用したことを発表した。宣伝・広報担当として鯨野アイカ。UI・UXデザイン担当として夢乃ほのか。合計2名のVTuberが、一企業にスタッフとして参画する。タレントとしての所属ではないため、VTuberとしての配信活動の両立も視野に入れて業務にあたるとのことだ。

 「VTuberとしての存在を維持しながら社会参画する」というケースは、直近で事例も増えてきた「アバターワーク」のさらなる延長線とも捉えられる。しかしながら、VTuber領域ではまだまだ絶対数が少ない(公表していないケースはあるはずだが)。VTuberのためのサービスを提供する企業が、こうした取り組みを率先して行う流れはよい兆候かもしれない。

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