山下穂尊のリアルプロダクト体験記 第2回(Scene3)
山下穂尊も驚嘆した「狭小空間」を上手く使うキャブコン、「お洒落」トラキャン&バンコンのこだわり
自身もキャンピングカーオーナーとして国内旅を楽しんでいる元・いきものがかりの山下穂尊。あらゆる種類のキャンピングカーが結集するアジア最大級のキャンピングカーショーにて気になったキャンピングカーをリアル取材。アイデア勝負のキャブコン、ハイラックスサーフをベースにしたお洒落キャンピングカーなどを体験してきた。
今回は限られた空間を上手く使っているキャンピングカーや、トラックやワゴンベースにしたお洒落なキャンピングカーをご紹介したいと思います。まずはアイデア満載のこちらのキャブコンから。
キャンパー厚木・Puppy210
ベース車両はトヨタ・カムロードベースですが、変わった車両。個人的にもお世話になっております、キャンパー厚木さんです。こちら、キャブコンでも個性的な車種をビルドしている会社です、実は個人的に日頃からお世話になっております。
こちらのビルダーさんは「Puppy」というシリーズを作っておりまして、これまで紹介した2社もトヨタカムロードベースだったのですが、同じカムロードでもシェルと呼ばれる外層がスリム形です。基本的に車幅2メートルを超えるキャブコンが一般的ですが「Puppy」シリーズは1740mm。これはカムロードのキャブコンでは最細クラスではないでしょうか。コインパーキングや街乗りでも走行は快適だと思います。
そして最新作が『Puppy210』。これにはかなり驚きました。普段は車高が209㎝!と、その辺の立体駐車場なら余裕で入ります。それがご覧の通り、ポップルーフシステムを採用。これはカムロード仕様のキャブコンにはなかった発想かもしれません。たしかにどうやってもキャブコンは高さと幅の問題が出てくるのですが、それをどちらとも解消するアイデア。
車体が大きくなればそのぶん、横風の煽られや横揺れ、特に高速走行時の不安定感は否めません。それをシェルごと可変してしまうという発想はなかったかもと。目から鱗ですね。走行中はもちろん着席なので移動に特にストレスはないと思いますし、一度目的地についてしまえばポップアップの天井を上に押し上げてしまえば広大な空間が出現します。
さらに初見のアイデアが下写真のこちら。ダイネットを展開すればオールフラットベッドになるのはあるとして。内側のサイドウィンドウ上に取り付けられたこちらは、なんとハンモックになるから驚きです。この発想も初見で、これまでのキャンピングカーで自分は見たことがないです。
バンクベッド自体を取り除き、空間をうまく利用しております。社長さんに聞いたら、ヨットなど船舶系では使われているアイデアなんだそう。知識と技術あってのキャンピングカーへの応用ですね。それを実際にやってしまうのが素晴らしい。さて、イタリアはDUCATOのキャブコンへ。
ROLLAR TEAM ・ZEFIRO285TL
これ、たまに走ってるの見ると目を奪われるんですよね。ただ、都内在住からすると、なかなかまぁ、諸事情で難しい。もちろん憧れはありますが。
DUCATOやヨーロッパ系のキャンピングカーとして一番羨ましいところは運転席、助手席のシートが回転する、という点です。これは空間をうまく使う技で、国内のバンコンなどでは一部背もたれを反対に倒して座席にする……というのはありますけど、なかなか見かけません。運転席、助手席のシートと、キャンピングカー内の居住空間はどうしてもセパレートされることが多いので、画期的です。
キッチンやリア常設のキング?クイーン?ベッドも、もちろんセパレート出来るベッドはただただ豪華。
そんな豪華な広いリアベットがあると言うことは……? 外に回ってみましょう。
とんでもなく広々とした収納空間が広がります。正直大人三人くらい余裕で寝られるのではないでしょうか。自転車4台、単車2台くらいは収まります。まぁ、たとえて言うならば、すでに紹介したフロントエントランスキャブコンを偉い豪華に広くしたイメージでしょうか。そして忘れてはいけない設備がプルダウンベッド!! これは憧れます。普通のキャブコンには常設のバンクベッドが付いていますが、こちらはスイッチひとつで、電動で大きなダブルベッドが運転席上部から降りてきます。カムロードでは確実に出来ない設計ですね。
ため息しかでない設計でありました。