ゲーム実況者たちの“実写動画”がYouTubeで人気沸騰中のワケ レアエピソードと本音トークが視聴者を虜に

 3月5週目、ゲーム実況者のフジが投稿した「最終兵器俺達」の実写動画がYouTubeの急上昇にランクイン。Vlog系YouTuberが多く存在するなか、ゲーム実況者たちの実写動画はなぜ人気なのか。今回はフジの動画からその理由について考えてみたい。

 フジは2009年からゲーム実況者として活動を開始、2014年にゲーム実況者や歌い手で結成された「ゲーム実況者わくわくバンド」ではベースを担当するなど、幅広く活動する動画クリエイター。今回急上昇入りしたのは、フジのチャンネルで投稿された、フジ、キヨ、こーすけ、ヒラの人気ゲーム実況者4名で結成されたグループ「最終兵器俺達(通称:最俺)」の実写動画だ。

 この動画は高校の同級生である4人が地元である北海道を旅した後、空港に向かう車中で撮影されたもの。4人が学生時代の思い出やこれまでの活動に関する本音を赤裸々などを語っている。冒頭では、北海道で活動していた当時にお互いの家を自転車や原付バイクで行き来していたこと、家族ぐるみの思い出やヒラの門限の話など、実写動画でもなかなか聞けないレアエピソードも披露されている。

 最俺結成のきっかけといえるキヨは、相当ストイックであることが暴露されている。「(ストイックさは)ないよ、もう今は」と話すキヨだが、昔は相当ストイックだった模様。声の張り方や配信に対する心構えは人一倍強かったようで、「疲れたって言うな」「実況中にため息つくな」など、メンバーを叱咤していたという。こーすけはそんなストイックなキヨを「カッコよかった」と話す一方、フジは当時のキヨのストイックさに「しんどかった」と本音を吐露。爆笑のなか、分析好きなキヨがフジ、こーすけ、ヒラを選んだことについて、「俺が思う最高のメンバー集めたわ」「俺にとってのアベンジャーズ」と述べる場面も収められている。

 北海道時代になかなか4人で動画が撮れなかったことについては、メンバーのなかで1番早く上京していたヒラに言及する場面も。北海道と東京という距離の問題で、一時期はヒラ以外で動画を撮影し、お盆などの休みを使って撮影していたことが明かされている。このエピソードについてヒラは、3畳一間の部屋で配信に参加していたことや、動画の後半には会社員との二足の草鞋を履いていたことなども振り返っている。

 なんとも貴重なエピソードが聞ける動画となっているが、この動画が公開される1週間前ほどの3月16日、ヒラは数年間にわたる肉体的、精神的不調を理由に無期限の活動休止を発表。ヒラの活動休止発表後に投稿された動画ということもあって、ヒラが悩みながらも活動を続けてきたことに思いを巡らせるファンもいたようだ。

 さらに今でこそゲーム実況で生計を立てている4人だが、4人が活動を始めた2009年ごろは、「実況でお金もらうなんて大炎上もの」という時代。再生回数が将来にどのように繋がるのかわからないという当時の漠然とした不安や、「当時はこれが仕事になるなんて1ミリも思ってない」という4人の発言は、ちょっとした活動への葛藤を感じさせるものだった。

 今回の動画が注目を集めたのには、いままで明かされたことのなかった最俺結成秘話や、各々の役割をしっかりと自覚した、抜群のチームワークによる会話にあると考えられる。最俺には長年不仲説がつきまとい、メンバーたちが自らネタにしたこともあったが、今回の動画は過去の不仲の噂を吹き飛ばすほどの4人の信頼関係がみてとれる。こういった視聴者の疑問に答えている点も、この動画が注目された理由のひとつなのではないだろうか。

 ゲーム実況者のチャンネルでは、いうまでもなくゲームの実況動画がメインのコンテンツとなるわけだが、昨今は実写動画の人気が日々増している。3月4週目にはトラゾースタジオチャンネルで公開された実写動画が急上昇に登場しているほか、今年2月には人気ゲーム実況者mkが実写専用チャンネルを開設するなど、ゲーム実況者たちもより実写動画に力を入れている傾向がある。

 今回急上昇入りした最俺の動画を振り返ると、普段のゲーム実況動画では披露されない姿・エピソードがファンの心を掴んでいることがよくわかる。YouTubeで人気を博すVlog動画があるなか、ゲーム実況者たちの実写動画は、レアなエピソードや彼らの本音がわかるからこそ、支持されているのかもしれない。

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