空間オーディオがコンセプトの新『HomePod』はホームエンタテインメントの主役となるか

新『HomePod』はホームエンタテインメントの主役?

 アップルが発売した新しい『HomePod』(実勢価格4万4800円)。実際に試すことができたので成り立ちなどから分かりやすくリポートをお届けしたい。

 まず、『HomePod』はいわゆるスマートスピーカーと言われるガジェットだ。第一世代が発売されたのは2019年。その後、販売は終了していて、アップルはもうスマートスピーカーを辞めたのか? なんてことも言われていた。しかし、2023年、新しい『HomePod』はスピーカーとしての本質をしっかり追求したモデルとして登場した。

 ……というのも日本市場では当初、スマートスピーカーと呼ばれるジャンルは「家電を音声で操作するためのデバイス」として普及した背景がある。しかしながら、スマートスピーカーが最初に普及した北米市場では、家電の延長線上としてのガジェットよりも、音楽ストリーミングサービスやポッドキャスト、ラジオなど音を楽しむための本義のスピーカーとして機能してきたのである。新『HomePod』は徹底的に音質を追求。Siriを搭載しているため音声コマンドでの操作などもできるが、あくまでメインの機能は様々なサウンドを高音質で楽しむことができるハイレベルなスピーカーなのだ。

360度に広がる空間オーディオが楽しめる

 簡単に『HomePod』の仕組みを紹介しよう。『HomePod』は4インチ高偏位ウーファーと5つのホーン内蔵したパワフルな360度スピーカーだ。本体上部にタッチセンサーを搭載し、ボリュームの調整などが可能。ただし、基本的な操作はiPhoneなどから行う仕組みとなっている。入力端子などは搭載しておらず全てワイヤレス接続なのが特徴だ。

 試してみるとiPhoneとの接続は非常に簡単。『HomePod』に電源コードを挿してiPhoneを近づけるだけで『HomePod』を認識する。上部に表示される光をiPhoneのカメラで写してペアリングしたら、あとは画面の指示に従って設置場所などの設定を進めるだけでいい。

 接続後にiPhoneを『HomePod』に近づけると音声を『HomePod』から出力するか確認が表示される。それをOKするだけでサウンド再生ができ、離れた場所にいる場合は、AirPlayから『HomePod』を選ぶこともできる。

 早速、『HomePod』で音楽を再生してみたが、そのサウンドの良さには驚かされた。『HomePod』の魅力のひとつが音の広がりのよさだ。「空間オーディオ」というコンセプトの通り、抜けの良い高音としっかりと響く低音が室内を満たしてくれる。音源に対して様々なオーディオテクノロジーを組み合わせて、サウンドを生み出す『HomePod』。正直なところ、音源によってその効果はさまざま。

 高音の伸びが気持ちいいAdoの「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」はまさに伸びやかな声が一面に広がる。個人的に何度も聞いたことのある曲なのに、ここまで広がり感があるのかと改めて驚かされた。もちろんボーカルのパワフルさもさらに強く感じられる。

 また、とても相性が良いと思ったのが、RADWINPS&陣内一真のアルバム『ずずめの戸締り』。映画の挿入歌が中心のこのアルバムには数多くのインストゥルメンタル曲が含まれているが、劇中にいるかのような臨場感を体感することができた。ヘッドホンで聴くのとは異なり解放感があるのもうれしい点だ。

 逆に相性がイマイチと感じたのが80年代ポップス。無理に空間オーディオ化しようとして噛み合ってないのか、音の定位が微妙で違和感があった。楽曲との相性はあるようだ。ただし、後述する通り、『HomePod』はステレオペアで使う方法があるのだが、2台利用にするとこの違和感はかなり解消されたように思う。

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