『R-1グランプリ2023』優勝本命芸人は? 特に注目したい4人のYouTube活動から分析
Yes!アキト・サツマカワRPG(怪奇!YesどんぐりRPG)
作年に続いて決勝進出を決めているのが「怪奇!YesどんぐりRPG」のメンバーでもあるYes!アキトとサツマカワRPGだ。怪奇!YesどんぐりRPGは、前述した二人にどんぐりたけしを含めたピン芸人3人からなるお笑いユニットで、『M-1グランプリ』では「プレイヤーチェンジ……」とつぶやきながら一発ギャグをローテションで行う革新的な漫才で衝撃を与えた。
豪快な見た目から想像もつかないほどテクニカルなギャグを放つのがYes!アキトだ。特に往年の名曲を替え歌したギャグは一級品で、決して譜割りや韻を崩すことなく、的確に言葉を当てはめ滑らかな動きとともに予想外のフレーズを歌い上げてくる。賞レースでは、著作権の関係からそのほとんどを封印しなければならないのが痛いところだが「ギャグのレパートリーは1000個」と本人が豪語しているように、替え歌がなくても彼のリズム感と形態模写の上手さから繰り出されるギャグは今大会の台風の目になることは間違いない。
圧倒的なスピード感とブッ飛んだ発想で暴走するのがサツマカワRPG。ユニット名の「怪奇」とはこの男のことを言うのではないかと思う。Yes!アキトと同じくギャグを得意としながらも時にはそれすらもフリに使うクレバーな一面もあり、登場時の地割れが起きるほどの大声自己紹介から、凄まじい緩急をつけて不条理でサイコなネタを放り込んでくる。「沈黙」を全く恐れておらず、全力の笑顔からの真顔によって一瞬で空間が掌握されてしまう。今大会のファイナリストなかで最も「なにをしてくるか分からない怖さ」がある男だ。
寺田寛明
最後に紹介したいのが、今年で3回目の決勝進出となる寺田寛明。準決勝でも2番手ながらその日一番とも言える大爆笑を起こしており、個人的に最も優勝に近いと思っている。芸人以外にも塾講師の仕事をしており、その話術は一級品。一見とっつきにくく人を選びそうな題材のネタでも凄まじい話術でどんどん観客を引き込んでいき、まるでパズルのように笑いがハマっていく感覚は寺田寛明を観ることでしか味わえない。
また、大喜利に対するこだわりは芸人界でも随一で、自ら大喜利ライブ『大喜利千景』を約10年主催し、MCや企画など全てを一人で行うほど。プロとアマが入り乱れて大喜利を競い合うYouTubeチャンネルである「大喜る人たち〈大喜利動画〉」でもその活躍は凄まじく、センスとロジックが融合した回答を連発している。個人的に最も喰らったのが「干からびた、ひろゆき。どんなの?」というお題に対する「それってあなたの乾燥ですよね」だ。お題が発表されてから一瞬で「最適解」を導き出す脳のスピードが尋常ではなく、笑いと恐怖で画面の前でガタガタと震え上がってしまった。
この4人の中に優勝者がいるのかは分からないが、我々視聴者は見守ることしかできない。決勝当日が彼らの人生を変える日になることを願いつつ、TVの前で待機しよう。