TikTokでトレンド「#うちゅくしい」の意味は? スシローの“お寿司コーディネート”も斬新さで話題に
TikTokでハッシュタグ「#うちゅくしい」がトレンドになっている。ハッシュタグをつけるだけではなく、特定のアイテムを使うお作法が特徴だ。何がウケているのか、誰が生み出したのかを調査してみた。
「#うちゅくしい」は2023年の年始からよく使われているハッシュタグだ。アレンジしている動画が多いものの、多くはコーディネートを紹介しながら「うちゅくしい」「かわちい」と、スニーカーやパンツといったアイテムを讃えながら見せるものだ。特筆すべきポイントは、高性能マイクやiPhoneのイヤホンについたマイクに「うちゅくしい」と語りかけたり、ファスナーをあげる音などをASMRのように鮮明に収録したりする点だ。それ以外は、特定の楽曲やエフェクトを使うことはなく、フリースタイルで撮られている。
企業アカウントや有名人もこのトレンドに乗っている。
TikTokとともに話題になったことが記憶に新しい回転寿司チェーンの「スシロー」の公式アカウントも2月中旬に使用。キッチンにある食材を使った“お寿司コーディネート”を紹介した。「トップスはサーモン。この脂の乗り方がうちゅくしい」と、お決まりの流れでスタート。アウターのマヨネーズと帽子のシャキシャキのオニオンをまとって、寿司が回るレーンに出かけるためのコーディネートが完成する。
@trendkayoko みんなのいい女ワードも教えて🍫💋 #バレンタイン #うちゅくしい #大久保佳代子 ♬ オリジナル楽曲 - 大久保佳代子とらぶぶらLOVE
タレントの大久保佳代子はバレンタインに使える“いい女ワード”を披露する動画でこのハッシュタグとiPhoneに付属しているイヤホンのマイクを使用。「うちゅくしい」「かわちい」というキーワードはあえて使わずに、「ひとちゅめ」「ふたちゅめ」「みっちゅめ」と3つのワードを伝授したあとに、これを使えば「くぎちゅけ」になると、独自のワードを生み出していた。
@shige__ru9999 今日はドンキに行きました。 #メンズファッション #コーデ紹介 #ナイキ #ユニクロ #おすすめ #foryou #fpy #海外ファッション #ストリートファッション #冬コーデ #かわちい #うちゅくしい #綺麗めコーデ @Sleepy Boy&Girl ♬ Spongebob Squarepants (TikTok Remix) - Sleazy Stereo
このハッシュタグと一連の作法を生み出したのは「🔱SHIGE 🔱」というアカウントだ。UNIQLOやWEGOといった身近なブランドのアイテムを活用したストリートファッションのコーディネートを紹介し、24万人のフォロワーがいる。12月12日の投稿された動画で初めて「#うちゅくしい」というハッシュタグを使用し、動画が280万回以上再生されている。以降、このハッシュタグを何度も使っている。マイクを使い、ファスナーを上げる音やベルトを締める音を鮮やかに収録していて、聞いていて気持ちが良い。口元に髭をたくわえた成人男性が「うちゅくしい」「かわちい」とアイテムを愛でるギャップも素敵だ。ハッシュタグはついていないものの、前日にも同じフォーマットの動画を投稿しており、こちらも370万回以上再生されている。
@yuzumitsu10 このTikTok好きなのでやらせていただきました🥰お洒落ボーイになってもらいたいです🔥 #ゆずみつ #パンサー向井の子 #コーデ ♬ オリジナル楽曲 - ゆずみつ🐝
トレンドを後押ししたのはこのフォーマットを気に入ったフォロワー69万人の子育てアカウントの「ゆずみつ」だ。4歳のみつ君が自身のコーディネートを紹介する動画で使っていて、可愛らしい。「🔱SHIGE 🔱」の動画は成人男性が「うちゅくしい」と語る面白みがあったが、「ゆずみつ」の場合はしっくりと来る仕上がりだ。「ゆずみつ」を起点に、トレンドが広がっている。
メガネ・サングラスブランドの「OWNDAYS」は「#うちゅくしい」のハッシュタグとともに「ゆずみつ」へのメンションをつけており、「ゆずみつ」を通してトレンドを知ったことが伺える。前述のスシローも子どものような声でナレーションを入れていることから、「ゆずみつ」の動画を参考にしているようだ。
人気の理由は汎用性の高さだろう。好きなものを愛でるにあたって、使いやすい。他の方法やアイテムの評価を下げることなく、ただ純粋に好きなアイテムを褒めている。また、コーディネートを紹介するなど、有益な情報を伝えるにあたって、「知らない人に教えてあげる」という目線ではなく、同じ視座でアイテムを愛でているように見える点も使いやすそうだ。伝える側も観る側も、気負わずに知識を共有できる。
TikTokは一般ユーザーが人気者になれるプラットフォームであり、アルゴリズムによって共通の関心を持つユーザーを見つけやすいのも特徴だ。他人に迷惑をかける行為や危険な行為ではなく、好きなものを愛でられるトレンドが注目されている流れは、TikTokの良さが詰まっていて“うちゅくしい”のではないだろうか。