日韓で異なる“盛る”感覚 流行りのプリから見るZ世代の新たな楽しみ方とは

流行りのプリから見るZ世代の新たな楽しみ方とは

 若者の間で今もなお人気を誇るプリントシール機(以下、プリクラ)。次々と新機種が登場するなか、その加工の方法などに変化が表れてきている。平成レトロブームにより平成ギャル風の加工が楽しめるプリ機の登場がある一方で、“盛る“ことを目的としない韓国発のセルフ写真館や加工機能がないプリ機などもブームになっている。そこで本稿では「加工強めは嫌だ」といった声も上がる現代の若者たちのプリ機の楽しみ方の実態について調べていく。

盛れると話題の最新プリ機とは

 まずは、実際に周囲で調査した結果人気だったプリ機を紹介していく。人気のプリ機の加工には“盛る”ことに関する共通点も見られた。

『ハルイロセカイ』


 「自分専用の盛る」を叶えられるプリ機。それぞれ盛りたいパーツをタッチするとそのパーツのメイクパレットが出現し、自分好みの顔に盛ることができる。写り方もそれぞれ「いまっぽ主役」と「愛され主役」から選択可能で目の大きさも片目ずつ調節ができる機能か搭載されている。後ろにある鏡で自分の姿を撮影の開始直前まで確認できることも魅力だ。『ハルイロセカイ』は筆者の友人たちから最も支持を集めている機種だった。

『97%(キューナナパーセント)』


 筆者の一番のおすすめはこのプリ機である。涙袋の陰影がしっかり出るため、目がくっきりする印象で他の機種に比べて全体的にはっきりとした印象に仕上がるように感じる。座って取るスタイルのため身長差や前後さが解消され、より相手と密着して撮れることもうれしいポイントだ。

『ルートミー』


 「2.5次元盛れ」を売りにする最新プリ機。仕上がりはやわらかい印象になりながらも顔立ちがはっきりし、特に目元の盛れ感が評判である。「顔立ちがはっきりしすぎて濃い印象になってしまう」という声も聞かれたがとにかく盛りたい人にはおすすめの機種だ。
また、平成レトロブームの一つとして、「平成ギャルスペシャルモード」を10月2日までの期間限定で搭載。平成ギャルを彷彿とさせるデコフレームなどで平成プリを楽しめる。

・『THECANDYSTUDIO』


 沢山の人々に惜しまれつつ今年6月にサービスが終了した『THECANDYSTUDIO』、通称キャンスタ。7枚撮影できるという点や、画質がくっきりしており、目元の盛れ感やメイクが映える仕上がりになるため、キャンスタは多くの人に支持されてきた。筆者の友人もキャンスタのサービス終了にともない新たな盛れるプリ機を求めて色々な機種を試していた。

 筆者の周囲の人たちへの調査で人気だったプリ機プリクラはどれも「目元の盛れ感」を重視しているものが多い印象を受けた。涙袋の陰影やメイクが引き立つように映ると目元がくっきりとし、全体的に明るい印象に仕上がることがいまの“盛れる”ということなのだという。

加工なし!韓国プリ機とセルフ写真館

 最近、あえて盛ることを目的としないプリ機も流行している。インスタントカメラで写真を撮ることでレトロ感を出すなど「エモい」撮り方が流行しているように、加工機能がないエモい仕上がりになる韓国発のセルフ写真館やプリ機などもブームになっているのだ。
・韓国アイドルの間でも人気!韓国プリ機


 韓国プリ機とは、4コマ風に縦に4枚撮った写真が印刷されて出てくるプリ機のことである。韓国アイドルたちも撮っているため、ご存じの方も多いのではないだろうか。

 最大の特徴は“加工なし”で撮るという点だ。背景の色もそのまま印刷され、6色のなか中から選ぶことができる。あえて加工しないで撮ることが若者にとって「エモい」と評判なのだ。
 プリ機と言えば“加工をして盛るもの”という概念が覆される「エモい」プリが撮れるのは魅力的である。現在、韓国プリ機は東京や大阪にある『人生4カット』で撮ることができる。

・まるで映画の中にいるような写真が撮れるセルフ写真館

 
 
 
 
 
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 セルフ写真館では、15分間自分の好きなタイミングでシャッターを押すことで自由に写真を撮り続けることができる。撮った写真はその場でスマホに移すことができる仕組みになっており、おしゃれな写真を何枚も撮ることができるという。白黒が主流となっておりまるで映画のワンシーンのような写真が撮れることが人気の秘訣だ。

 今回の調査で、Z世代の若者たちは「盛れる」ことよりも「おしゃれ」や「個性」を重視しているように感じた。

 Instagramによって「映え」の意識が定着した現在、おしゃれにポーズを決めて撮るというスタイルだけでなく、個性を生かした撮り方が主流になってきた。また、「盛る」ことが当たり前になってしまったからこそ若者たちの間で平成レトロブームが起こるなど、純粋な「盛れ」ではないテイストを出すことに新鮮さを抱いているのだろう。

 そういう意味で、世代間の違いを認識してプリをとることも新たな楽しみの一つになるのではないだろうか。Z世代のプリ機の楽しみ方もいつの日か懐かしいものとしてブームが再来すると考えると感慨深い。

(画像=フリュー、人生4カットより)

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