ここ数年で起きた“3つの動き”から見る「VTuberシーンの成熟化」 運営会社の統合や誹謗中傷への対処など、将来を見据えた整備が進む

VTuberシーン成熟化 "3つの動き"

 2022年12月5日、「ホロライブ」と「にじさんじ」を運営するカバー社とANYCOLOR社が誹謗中傷行為等に関する“共同声明”を発表した。

 その内容は「所属するタレントを著しく貶め、活動を妨害するような誹謗中傷行為に対し、2社が連携をとって対処していく」というアナウンスメントであった。

 2月1日には、にじさんじ元1期生として活動中の勇気ちひろに対して誹謗中傷行為を繰り返した人物に、「情報開示請求・損害賠償請求を行ない、約120万円の賠償金を支払う示談が成立した」というANYCOLOR社からのアナウンスも飛び込んできた。

 同日にはカバー社もANYCOLOR社に続いてアナウンスを発表。1年間において146件の誹謗中傷行為への対策・対応をしており、2022年にホロライブ所属タレントへの殺害予告が投稿されたことについても、現在係争中であると発表されたのだ。

〈出典:VTuberへの殺害予告は「人間に向けられたもの」 ツイッター社に開示命令…東京地裁 - 弁護士ドットコムニュース

 2023年1月27日には、あおぎり高校を運営するクリエイトリングからも、YouTubeのコメント欄やチャット欄での嫌がらせ・中傷行為に対して、法的措置を検討すると発表された

 にじさんじ・夢月ロアについての記事で触れたように、2000年代から続く芸能人などに対する誹謗中傷行為はいままで止まることなく続いてきた。

キュートで天真爛漫な小悪魔のにじさんじ・夢月ロアの"これまでとこれから" シーンに一石を投じた誹謗中傷との戦い

現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一つであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている…

 特にYouTuberやストリーマーらが徐々に台頭し、数々のSNSが登場した2010年代は、むしろ悪化の一途を辿ったともいえる。意識的に相手をこき下ろす特定の人物による投稿から、何気ない一言の悪口が非常に大多数の人から一気に出てくるものまで、その在り方は様々だが、ちょっとした悪態や罵倒であっても「インターネットの表通りから取り除こう」という動きが始まっている。

 この影響は、実際に生配信をするVTuber・バーチャルタレントにも出始めている。言葉に関するマナー・モラルを、配信者本人やリスナーも意識する状況にあって、表現が行き過ぎた言葉が出てくると、どちらからもそれを咎める声がよくあがるようになった。

 「それは言いすぎだよぉ!」とツッコミつつ、クローズな場所だからこその笑い話・笑いネタとして受け取られることが大半ではあるものの、日々こういった牽制・意識づけがあることで、ひと昔に比べれば生配信の炎上リスクもかなり減り、日頃から生配信を見るリスナーにも強く影響が出ているように感じられる。

 「インフルエンサーや芸能人に対して、気軽な気持ちでも悪口や誹謗中傷の言葉、荒らし行為やアンチ行為を繰り返すのは、そもそもかなりリスクのある行為ではないか?」

 こういった認識がいま、VTuber・バーチャルタレントシーンにおいてタレント・リスナー双方の立場で深く理解が進み始めているところなのだ。

 インターネットのアングラ・バイオレンスな部分に親しみを持つ演者・リスナーはかなり多く、エンタメを楽しむ上での演出として、軽口をあえて使うこともあるだろうが、タレントを守るためにもクリーンかつ非暴力的なカルチャーが広がっていくべきだろう。

 これもまた、VTuber・バーチャルタレントシーンの整備を目指す動きであり、視聴者側の視聴や応援のモラル・倫理観の改善を訴えるムーブメントである。今後インターネットやエンタテインメント全体へと波及していくことを願うばかりだ。

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