3億円の豪邸に1億円超の別荘……なぜYouTuberは高価かつ巨大な撮影スタジオを求めるのか?

 これまでYouTubeで親しまれてきた大型企画といえば、無人島企画や旅行企画などが挙げられる。これらの大型企画は撮影場所を借りて行われてきたが、昨今自分たちで購入した巨大なスタジオで撮影する動きが見られるようになってきた。今回は、YouTuberが巨大スタジオを持つ意味を紐解いていく。

【破産】スカイピース1億円の土地買いました!!!

 2023年1月、人気YouTuberのスカイピースが「【破産】スカイピース1億円の土地買いました!!!」と題した動画で1億円の土地を購入し、体育館をテーマにした撮影スタジオをつくったことが話題になった。購入したのは人工芝のコートや森も付属した広大な土地であり、動画内では森の開拓企画を行うことが示唆している。メンバーのテオくんは「できる企画が倍くらい広がる」と意気込みを見せた。

3億円の豪邸を買いました!

 先駆的にスタジオでの撮影を始めているのがはじめしゃちょーである。自宅兼スタジオとして使用している3億円ハウスでは、「世界一黒い部屋」や「お化け屋敷」などエンタメ性の高い部屋に改造したり、「サウナ」や「エレベーター」といった自宅のアップデートをコンテンツにしたりと、規格外の動画を次々と公開している。借りているスタジオや部屋では他人に迷惑がかかってしまうような改造も心置きなくできるため、確実に動画の幅が広がっているのだ。

 近年芸能人を含む多くの人物がYouTubeチャンネルを持ち、視聴者は限られた時間の中で視聴するチャンネルをより厳選しなければならなくなった。専業YouTubeの第一線で生き残るためにはショート動画やグッズ販売などでも収益を確保しつつ、一定の再生回数を獲得し続ける必要がある。巨大スタジオをつくるには多大な資金が必要だが、大型企画を随所に挟むことで動画のマンネリ化を防ぎ、視聴者を飽きさせない戦略にもなるのではないだろうか。

 また、2019年にいち早く巨大倉庫を借りて大規模な実験動画を公開しているYouTuberのすしらーめん《りく》にも注目したい。初期の室内撮影の動画では「いずれ家が壊れるのでは?」と危惧されるような場面もあったが、巨大倉庫で撮影するようになってからは独創的なアイデアに縛りをかけず、かつ視聴者は安心して動画を視聴できるようになった。(肝心の彼自身の安全は保証されていないため、コンテンツの醍醐味である危うさや結末のドキドキ感は失われてはいない)彼はかねてから自身の夢を「月面での体力測定」と定め、その第一歩として「大きな敷地で色々なことをする」という「すしランド計画」を進めている。第一弾は「最強の家を作る」企画だという。すでに土地は獲得しているが、家を作る資金や技術を蓄えている最中だ。

 巨大スタジオの背景にある夢や目標が明らかになれば、視聴者はスタジオ完成までの過程で大きな夢を追うストーリーを楽しめるだろう。今後も巨大スタジオを持つYouTuberたちの動向に注目していきたい。

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